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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第5章 暁の国・平定編(前編)

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第184話 簡素な卦

 昼餉の献立はシンプルなものであり、調理にそれほどの手間はかからなかった。晴明と竜次たち一行は、既に調理と配膳を終え、囲炉裏端にそれぞれの座布団を敷いて座り、


『いただきます』


 と、手を合わせた後、和気あいあいとした様子で料理に箸をつけ始めている。居間の囲炉裏端からは、窓を通して村の田舎景色を楽しむことができ、その眺望は、気の置けない仲間たちとの食事を更に素晴らしいものにしていた。仲間になったばかりの晴明にとっても、晴明を迎えた竜次たち一行にとっても、心が和む、最高の一時である。


「とても美味しい。でも、日陰の村に来てから、私たち食べてばかりですね。私、ちょっと太ってしまいそう」


 縁の国の姫君らしく、咲夜は少々恥じらいの微笑みを見せている。それは非常にチャーミングな微笑であり、銀髪姫が幼い頃から自然と身につけている、全く嫌味のない品格と合わせ、咲夜の魅力がその愛らしい表情により、とてもよく引き立てられていた。姫のそうした遠慮とは対照的に、


「…………」


 あやめはどんどん箸を進め、咲夜の横でパクパクと豚肉と日陰菜の肉野菜炒め、豆腐の味噌汁、白飯を、大方平らげてしまった。晴明と竜次がメインで作った料理が、本当に美味しかったのだろう。忍びのあやめは、美味しいものを食べるのが大好きなのである。食欲旺盛な美少女の、気持ちの良い食いっぷりを見て、


『わっはっは!!』


 竜次と晴明は、たまらず哄笑してしまった。年頃の娘らしく、太るのを気にして恥じらう咲夜も魅力的だが、ガッツリと食べてくれるあやめも非常に魅力的である。簡単な男の料理にしても、作った甲斐があるというものだ。




 昼餉をそれぞれが食べ終わり、食器を全て片付け終わった後、あやめが晴明に、これからのことを尋ねている。


「縁の国にもう他の強い鬼がいないのなら、どこに行けばよいのでしょうか?」


 リアリストで冷静なあやめらしい、単刀直入な尋ね方である。晴明は昼餉の前に、私が仲間になるから今は占いをして道を示す必要はない、と答えた。だが、国鎮めの銀杯を探す旅の道を知っているのは、どちらにしろ晴明しかいない。深緑色の着流し姿で食後の茶をすすっている端正な陰陽師に、何らかの答えをもらうしかない。


 あやめに問いかけられた晴明は、どこからか()を立てる用具を取り出し、簡素な形で占った。少しの間だけ、立てた()を見ていたようだが、


「まず、暁の国に行けばよい」


 それだけを皆に示すと、また落ち着いた様子で茶をすすり直している。

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