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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第5章 暁の国・平定編(前編)
176/321

第176話 再始動

「皆、よく集まってくれた。これから国の進むべき道を決める大評定を行うわけだが、まず、縁の国とアカツキノタイラの現状を、皆に話しておこう」


 頭領、平昌幸が評定の間の隅々までよく通る声で話し始めると、集まった臣下は皆、姿勢を正して静まり、主君である御館様の言葉を漏らさず聞き入っている。


「皆の働きにより、縁の国には一応の平和が戻った。3度の国鎮めの儀式を執り行った後、オーガや怪異による民への被害は激減している。しかし、アカツキノタイラ全域に目を向けると、そうではないようだ」


 昌幸は言葉を一旦切り、もう一度、評定の間に集まった臣下たちの統制を見回すと、長男幸村に目を向け、何かを示し合わすようにうなずいた。意を酌み取った幸村は昌幸のあとを引き継ぎ、説明を続ける。


「縁の国は、暁の国と宵の国、2つの国に挟まれているのは知っていよう。東にあるのが暁の国、西にあるのが宵の国だ。アカツキノタイラ全域が不穏ながら、東からも西からも、今まで我が国との人と物の交流は絶え間なかった」


 やはり幸村は、昌幸と桔梗の自慢の息子である。縁の国が現在どういう立場に置かれ、その状況からどういった問題を今、洗い出そうとしているのか、着眼点が正確であり、臣下の皆にも自国の現状と洗い出しを、正しく伝えることが出来ている。


「しかしながら、近年その傾向が顕著だったのだが、暁の国と宵の国からの情報や、旅人、商い人などの人の流れが、この数ヶ月の間で明らかに減少しており、特に宵の国からのそれらは、ほとんど無くなってきている。流れ入る情報量が少ないため、我々の推察という形にもなるが、縁の国の隣国である2つの国に、良くない何かが起こっていると考えざるを得ない。両国からの人の流れが絶えかけている」


 縁の国周辺国の現状を極めて客観的に分析し、幸村は臣下たちに説明したわけだが、国を取り巻く不穏な状況を伝えたにもかかわらず、評定の間の皆は統制一致で、全く乱れない。それどころか、頭領昌幸の跡継ぎである幸村の聡明さを、全ての臣下たちは非常に頼もしく思い、


(我が国は大丈夫だ。御館様と若殿をお支えしていこう)


 と、静かな礼節を保った美しい態度で、皆、そう考えていた。


「うむ、よいだろう。現状は幸村が話した通りだ。それを前提として、これから主命を申し渡す。お前たち一人一人の働きが、縁の国とアカツキノタイラの命運を握っていると言っても過言ではない。各自励んでくれ」

『はっ!! 仰せのままに!!』


 これからも縁の国は盤石な一枚岩であろう。そして、アカツキノタイラを平定し、平穏と平和を取り戻すため、竜次を始めとする将たちは、ここから新たな決意と共に再始動する。

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