表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第1章 果てしなく広がるアカツキノタイラ
17/321

第17話 大金を持った帰り道

 店主は乙種甲冑装備を、無料で竜次に譲っただけでなく、レッドオーガと真黒き怪異を倒したとき手に入れた宝珠を、なかなか良い金額で買い取ってくれた。レッドオーガの宝珠1つは金貨2枚、真黒き怪異の宝珠1つは銀貨2枚、合わせて1200カンという額である。異世界アカツキノタイラの通貨単位は『カン』という。


「竜次、お主は急に大金を手にしたが、遊びに使いすぎぬようにな。連理の都は栄えていて面白いが、誘惑も多い」

「はあ。この1200カンって金は、そんなに大した額なんですか? こっちの世界で初めて手にした金なんで、どうもピンとこねえなあ」


 竜次は実感が持てていないが、大金なのだ。彼は足軽大将に任ぜられている。その月給が800カンである。縁の国において、軍の階級を持っている層の待遇はとても良く、例えると、竜次が自分を含めた4人家庭を持っていたとしても、800カンという給料があれば、ひと月、楽に養える。そうであるので、当座の支度金としては1200カンという金は破格であった。


 まとまった金が手に入ったことよりも、竜次は素晴らしい防具を譲り受けたことが嬉しかった。だが、戦隊スーツのような防具一式をもらったにもかかわらず、彼は大きな荷物をどこにも持っていない。どういうことかと言えば、竜次が腰に下げている宝刀ドウジギリの柄に仕掛けがある。


(一回、試しに着けてみたが、魂消たなあ。異世界ってのは魂消ることだらけだ)


 武具屋での不思議すぎる試着体験を、竜次は月明かりを見ながら思い出している。




 店主はガラスケースから乙種甲冑装備を取り出すと、指でつまめるほどの大きさしかない青いボタンに、その防具一式を縮小して収納してしまった。そして、ドウジギリの柄に幾つか空いている、小さな穴の1つにボタンをうまい具合にはめ込んだ。


「よし、これでよいでしょう。竜次様、この刀の柄に付けたボタンを、押してみて下さい」


 かさばっていた防具が小さなボタンに収まった時点で、竜次は呆気にとられていたが、店主の親父に言われるがまま、ドウジギリの柄に新しく付いた、青いボタンを押してみた。すると、一瞬ボタンとドウジギリ、それに竜次の体が七色に光り輝いたかと思うと、いつの間にか竜次は乙種甲冑装備を身に着けている。


「えっ!? 何が起こった!? ボタンを押しただけで、俺は変身しちまったぞ!?」

「はっはっはっ!! 変身はよかったな! その青いボタンには、縮小の法力が使われており、刀の柄に付けると仕掛けが連動して、ボタンを押すだけで防具一式を装備できるのだ。もう一度押すと、普段着に戻るぞ。便利であろう」


 守綱は、部下である竜次の純粋なリアクションが面白いらしく。大笑いしながら上機嫌で説明した。もう少し詳しく聞くと、この驚くべき装備様式は、軍の階級持ちにのみ許されているものらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 マジで変身、いや装着か。  だとすると戦隊ではなく、宇宙刑事だ。(笑)
[良い点] 刀の柄のボタンを押すと瞬時に装備される乙種甲冑装備は、さながら特撮番組のヒーローのスーツですね。 これは便利で良いですね。 そして帯刀した特撮ヒーロー風の戦士が和風の異世界で活躍する世界観…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ