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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第4章 縁の国・平定編(後編)
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第165話 光の門

「あの光の門は!? 見たことがあるぞ! 俺がこの世界に来る前に通ったやつと同じだ!」


 磨かれた床平面部のすぐ上に、大人の背丈より二回りほど大きい、明るい空間の歪みが現れている。竜次が発見し、思わず大きな声で皆に知らせているように、その形状や色などの特徴は、咲夜が日本で『紡ぎ世の黒鏡』を使用し作り出した光の門と、ほとんど同じである。


「これは……異空間への歪みで間違いないですね。アカツキノタイラと歪みを通して繋がる世界は、表裏一体の日本しかありえませんが、闇雲に何も考えず歪みを通るのは危険が残ります」


 四象の杖と赤珊瑚の髪飾りの効果があるとはいえ、星熊童子との激戦で大量の力を使った咲夜は、疲労の色が濃く肩で息をしていた。銀髪姫の呼吸は荒く整っていないが、残っている体力でゆっくりと竜次がいる方へ近づき、異空間の歪みについて危険性を含め説明している。この地下空間を支配していた星熊童子が死んだ今、現れた歪みに何らかの罠があるとは考えにくいが、それでも細心の注意は必要になる。


「咲夜様のおっしゃる通りですな。まだ我々は、ここにあるであろう国鎮めの銀杯を手に入れておりません。異空間に入るのは最終手段にして、まず、この鬼の巣だった地下空間を隈なく探すのが、良い手順でござろう」


 精兵400名を率い、オーガの大群を殲滅した守綱が、竜次と咲夜の会話に入り、そう的確な提案をした。愛刀コテツを目一杯働かせ、激戦を制した守綱も、体のあちこちに軽傷ではあるが手傷を負っている。その傷を国の幹部となったこの歴戦の将は、手慣れた様子で傷薬を使い、自分で治療を試みていた。幾多の国を守る(いくさ)で彼はこうしてきたのだろう。軽傷とはいえ傷は回復途中だが、痛がる素振(そぶ)りも見せない。


 咲夜は守綱の提案を採り入れると、体力が残っており動ける将兵たちに指示を出し、広い地下空間内を隅々まで共に探索した。しかしながら国鎮めの銀杯は、どこを探しても見つからない。


「時間をかけて探したのですが、銀杯はありませんね。となると、やはり……」


 あやめは異空間への歪みを冷静に見て、推察を巡らせている。時間が経ち呼吸が整い、体力と法力が回復してきた咲夜は、あやめに向けてうなずくと、


「国鎮めの銀杯は、あの歪みを通った先にあるのでしょう。私と竜次さんで異空間に入ろうと思います。竜次さん、ついてきてくれますか?」


 竜次に三日月目を向けて、そう尋ねた。竜次はすぐにうなずき、意に従うことを示す。異空間への歪みが日本に繋がっていると聞いた時から、彼の心構えは既に十分であり、咲夜に言われずとも、光の門へ飛び込む決心は出来ていた。

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