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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第4章 縁の国・平定編(後編)

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第163話 仁王島の戦い・その5

 飛燕すら2、3羽同時に落とそうかというあやめのすくい斬りを、星熊童子は身を(すんで)のところで引き、かろうじてかわしたが、後に続いた竜次が放つ渾身の兜割りは、星熊童子をもってしても到底防ぎきれるものではなかった! バランスを完全に崩している青肌の女鬼は、体をもがくようにしてひねる! 星熊童子の脳天目掛けて振り下ろしたドウジギリの刃は、わずかに狙いが外れ、青く細い女鬼の左腕を肩から斬り飛ばした!


「なっ!? グッ……!?」


 致命傷寸前の深手を負った星熊童子は動揺を隠せなかったが、ここから命をつないで戦うのに驚愕している暇はない。悔しさと忌々しさに一瞬だけ歯噛みをすると、竜次とあやめの追撃を振り切るため、強力な刀を持つ2人の将にほんの僅かな隙を見出し、激痛を堪えながら星熊童子固有の高速移動で距離を取った。


 ドウジギリによる見事な斬り口で星熊童子は肩から左腕を失い、傷口からは、おびただしい血が流れ出ている。さしもの四天王の一と言えど、このままでは戦えない。星熊童子は残った右手を左肩の傷口にかざし、紫色に光る妖力を右(てのひら)に集中させると、流血は見る間に止まっていった。だが、膨大な妖力を短時間で使い、出来たのは止血までで、星熊童子は肩で息をしている。傷と体力の回復までには至っていない。


「こうなったら……刺し違えてでも!!!」


 捨て身の覚悟を決めた星熊童子は、自身に残された体力と妖力を顧みず、ありったけの力を全身に集中し、禍々しい赤に輝いている!


「鬼岩衝!!!」


 青い体に集中させ切った赤色の妖力を全て解き放つと、上方の空間にとてつもない巨岩が幾つも現れ、その全てが隕石のように咲夜たち討伐軍へ落ちていく! 今いる地下空間に当然逃げ場は無く、このままでは何もかも終わりかと思われた。しかし!


「咲夜ちゃん! 防ぐよ! ありったけの力を出すんだ!」

「はい!」


 上空から勢いを増して落ちてくる巨岩を、仙と咲夜は明鏡止水の心で見つめると、ほぼ同時に緑色の法力を全身に集中させ、その全てを解き放つ!


「風霊壁!」

「青龍壁!!」


 九尾の狐と銀髪姫が作り出した風の守護結界は、同属性の位相の重なりによる相乗効果で極限まで強まり、ドーム状に討伐軍を覆うと、上空から迫り来る巨岩を風圧により粉砕していき、星熊童子が捨て身で放った鬼岩衝の大部分を相殺した!


「……どういうことなの!?」


 青い体に内在する莫大な妖力をほとんど使い切った星熊童子は、目の前で起こった事象が信じられず、呆然としている。

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