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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第1章 果てしなく広がるアカツキノタイラ
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第16話 乙種甲冑装備

「良い御仁のようだ。少し私どもと雰囲気が違いますが、異国の方ですかな?」

「ありがとうございます、出自に関してはそんなところです。今夜は防具を求めに参りました。見せてもらってもよいですか?」


 店主はにこやかな表情で武具屋店内に案内する。そこには、歴史大河ドラマで見るような立派な甲冑が、幾つも置いてあり、そんな光景を初めて見る竜次は声を上げて感嘆したものだった。とは言うものの、それを自分が身につけて戦うというのは、どうもピンとこない様子である。


「立派な甲冑ですが、俺はこうしたものを身に着けるのに慣れてなくて……できれば、もう少しスッキリとした型の防具が欲しいのですが」

「そうしたのをお望みでしたか。ございますよ。きっと気に入られると思います。こちらへどうぞ」


 品揃えに自信があるのだろう。店主の親父は、竜次の要望にどっしりと構え何も動じず、店のもう少し奥へ進み、竜次と守綱に手招きした。




 ガラスケース内に展示されているのは、甲冑というよりプロテクターであった。胸や肩、腰などの急所を的確に守る手の物で、戦隊スーツのような、伸縮性が高い丈夫な服の上からそれらを装着するらしい。


「こりゃあいいや! 動きで邪魔になるところが全くない! こんな防具があるとはなあ」

「気に入ったか? これは乙種甲冑装備と言ってな、我が国の軍で正式採用されておる防具だ。これより優れた甲種甲冑装備もあるのだが、今現在、それを作れる職人が不在でな。この様式では今のところ、乙種が最も良い装備なのだ」

「へぇ~! これよりいい防具があるんですか。それも見てみたいが、そういうことならしょうがないな。これに決めました」


 守綱が国の背景も軽く絡め、説明するのを聴きながら、よほど自分の感覚に合ったのか、竜次は透明なケースを通して、乙種甲冑装備を色んな角度からずっと見続けている。そんな彼の様子を予想通りと、満足そうな笑みで店主はしばらく見ていたが、


「とても気に入っていただけたようですな。それでは、その乙種甲冑装備を一式差し上げましょう」

「えっ!? 代金はいらないと!? しかし、それでは……」

「なあに、竜次さん。あなたとは長い付き合いになりそうです。これはお近づきの印です。この防具を用いて、縁の国をお守り下さい。今後ともご贔屓に」


 と、非常に気前良く、売り物の防具を譲ることに決めた。様々な人相を見てきた、この経験豊富な親父は、竜次をとても気に入り、彼の器量を買ったわけである。良質な防具一式くらい投資として渡しても、全く惜しくないということだろう。

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― 新着の感想 ―
 せ、戦隊スーツ……。  戦国歴史ものイメージの世界観に特撮ヒーローを思わせるコスチュームを想像してギャップに笑ってしまいました。
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