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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第4章 縁の国・平定編(後編)

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第159話 仁王島の戦い・その1

「封をした鉄門を壊して、土足で私たちの棲家に入ってきた。金熊童子は帰ってこなかった……あんた達がやったの?」


 少しかすれたハスキーボイスで青肌の女鬼は、侵入者の竜次たちに聞いてきた。岩石質の平らな地面から階段状に数段上がった場所へ目を向けると、女鬼の足元には磨かれた床が広がりを見せている。そのひんやりと整った地下空間の床と同質の冷酷な美しさを持つ鬼は、虎の皮をなめして作った衣を身にまとい、こちらを推し量るように見据え、気だるそうに立っていた。


「金熊童子は俺たちが倒した! お前が鬼の巣の総大将だろう! 名をなんと言う!」


 女鬼の冷たい眼力に気圧されず、竜次が威勢よく啖呵を切った。青肌の美しい鬼は、整った切れ長の吊り目を下に向けると鼻で笑い、


「私たちの棲家に勝手に上がってきて何なのあんた? それにその刀の力……金熊童子を斬ったのはあんたね? まあいいわ、名前を教えてあげる。私は星熊童子。あの忌々しい坊主の仏師たちに封じ込められて、ここにずっといる羽目になったの。もっとも、見た通り棲みやすいようにいじっていったから、今じゃこの穴の中が気に入ってるけどね」


 星熊童子は竜次や咲夜たちに名乗ると、周りに数多く点在するオーガ発生母体の文様を指し、蔑んだ目を向けて不敵に語り始めた。その語る目には人に対する積年の激しい怒りも見える。


「よく見ると、その刀はアレだね。思い出したよ、昔のことを。それと同じ刀を持ったやつに、私も金熊童子も一度斬られた。首を斬られたまま、長い間封じられてたから忘れかけてたけど、あんたは私たちを斬ったやつに何か似てるね。気に入らないよ!!」


 怒りに満ちた切れ長の吊り目が赤く光ったかと思うと、膨大な妖力が地下空間内に充満し、オーガ発生母体で(うごめ)いていた繭玉に包まれたオーガたちが、全て孵化した! 生まれた数十体のオーガたちは、星熊童子を刷り込みのように親と見なし、反対に竜次と咲夜たち将兵は、オーガの本能的に、殺すべき敵と認識された!


「これは! 囲まれてしまったの!?」

「大丈夫です、咲夜様。拙者と精兵たちがオーガの群れを食い止めます。咲夜様は竜次たちと、あの女鬼の退治に集中して下され」


 絶対的なピンチに若干狼狽しかけた咲夜を落ち着かせるため、守綱はニヤリと笑うと、抜き放ったコテツで頼もしくそう請け負った。


「皆の者!! 行くぞ!! 我がコテツに続け!!」

『応!!!』


 先陣を切った守綱の号令を受け、精兵400名の士気は、地下空間の天井を突き抜くほどに高まった! 精兵を率いる守綱は、レッドオーガの1体に目をつけ駆け走ると、大上段にコテツを振りかぶり高く跳躍し、生まれたばかりで完全に虚をつかれたレッドオーガの素首を、刀の導きにより斬り飛ばす!

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