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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第4章 縁の国・平定編(後編)
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第128話 小手調べ

 漆黒の甲種甲冑装備が持つ特殊効果で、竜次の戦闘能力は飛躍的に上がっている。それに加えて金熊童子という、とてつもない力を持つ鬼とも過去に結ケ原で対峙し、彼は勝利してきた。体に回った毒が消えれば、今の竜次にとってオーガの群れは、それほどの脅威ではない。


「よし、残りは2匹だな! 黒いのと青いの! せめてもの慈悲だ。苦しまねえように斬ってやろう」

「私はブルーオーガを斬ります。ブラックオーガは竜次さんにお任せします」


 5体いたオーガの内、3体を既に斬った。恐慌に駆られた目でこちらを見ているのは、黒鬼と青鬼の2体だけだ。一対一の戦いで対応できる状況がつくられた。これなら勝負は決していると言ってよい。


『ガアアァァァ!?』


 知性が足りないながら、本能で絶望的な力の差を感じ取ったのか、ブラックオーガとブルーオーガは同時に悲壮な雄叫びを上げ、竜次とあやめに殴りかかった! 巨木の幹のような腕から繰り出される拳を喰らえばただでは済まないが、そんな大雑把な攻撃が当たることは万に一つもない。


「セイッ!!」

「ヤッ!!」


 竜次とあやめは造作もなくオーガたちの拳をかわすと、体が流れ態勢を崩した鬼たちの首を一瞬で断ち斬り、宣言通り最小限の苦痛で黄泉送りにした! 頭を失った黒鬼と青鬼の巨躯は、鈍く大きな音を立て、岩石質の固い地面に横たわり、少し経つと、黒と青の宝珠へと大きな体が消えて変化した。他3体の鬼の亡骸も同様に、それぞれの肌色に対応した宝珠へと変わっている。




 晴明の言う所定の敵を倒した竜次とあやめであったが、当然ながら、これが課された試練の全てではない。


「黒曜石の玉の1つ目は手に入れたが、この程度は小手調べってとこなんだろうな」

「そうでしょうね。言ってみれば準備運動のようなものでしょう。次の敵がどれほど強いか、いい予感はしませんね」

「そうだなあ。それでも進む以外にないわけだが……」


 先程の戦いで自分たちの体が異常を負っていないか確認した後、竜次とあやめは黒曜石の玉を台座から手で取り、あやめが腰に付けている無限の青袋にそれを仕舞った。問題なく会話をしながら次のフロアを探している通り、2人の体調は万全で、再び戦いが起こっても対応できる。しかしながら竜次の言う通り、倒した5体のオーガたちは、ただの小手調べであろう。次にどのような一筋縄でいかない難敵が現れるか、全く分からない。


「うん? この岩は動きそうだな? あやめさん、ちょっと手を貸してくれないか?」


 黒曜石の玉が置かれていた台座辺りを中心に『浮き明かり』を使い調べると、自然洞窟にしては不自然な置かれ方をした岩が、台座の左側近くにあることに気づいた。竜次とあやめは協力してその岩を、強い力で押してどかすと、次のフロアへ進める短いトンネル状の通路が現れた。

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