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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第4章 縁の国・平定編(後編)
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第123話 課された試練

「あなた方の力を引き出そう」

「えっ? どういうことです?」

「私が稽古をつけると言っている」


 出てくるはずのない言葉が、変わり者の晴明の口から出てきたので、思わず咲夜は聞き返してしまったのだが、どうやら嘘偽りない本気の話らしい。古くからの付き合いがある仙も、偏屈な陰陽師のイメージと今発した言葉とが簡単に結びつかないようで、少しの間だが、真意を問いただせず固まってしまった。


「お前さん変わったねえ。そこまで竜次を気に入っているのかい? まあ、分かるけどね」

「あまり言うな。私も少々照れくさい。竜次殿、咲夜姫、あやめさん、あなた方には多大な力の伸びしろがある。それを修行で一定程度引き出せば、姿見に写っていたあの女鬼とも渡り合えよう。ひいては、あなた方自身を守る力になる」


 晴明は、また古くからの親友を見るような目を、竜次へ向け話している。


(俺に何か特別な思い入れがあるのは分かる。でも、なぜそこまで?)


 着ている青衣に似つかわしい涼やかさを漂わす陰陽師が、自分に強くこだわっている理由は分からない。恐らくそれを晴明に聞いたところで、理解につながる言葉を引き出せるとは思えない。それよりはこの問いを投げかけ、一つだけハッキリさせた方が良い。


「その修業を俺たちが成し遂げれば、青い女鬼と戦っても死なずに済むんですか?」

「必ずとは言えぬが、そうだな。あなた方がどれだけの力を付けるかで、生き残る運命を格段に引き寄せ易くなろう。ただ、修行は一筋縄ではいかぬぞ」


 人や俗世に関心が薄い晴明が、これだけ肩入れしているのだ。どんな修行が待ち構えているにしろ、竜次たちが採る選択肢は一つしかなかった。


「やります! やらせて下さい!」

「よかろう。良い返事だ。では、修行の内容を話そう」


 進むべき道に光明が見えたことから感情が高ぶり、竜次は思わず立ち上がって大きな声を出した。晴明は、竜次らしいその心の動きを眺め、嬉しそうに笑い、柔らかい所作で座布団に座り直すよう促す。




 晴明が与える試練は、竜次、咲夜、あやめ、それぞれの力の特性によって2種類に分けられていた。竜次とあやめには、日陰山の中腹にある自然洞窟へ行き、所定の敵を倒し、その洞窟内のどこかにある2つの黒曜石の玉を持ち帰ることが修行として課せられ、そして咲夜には、晴明自らが稽古をつけるという。


 九尾の狐の仙だけが余っているが、彼女はもともと非常に強く、ここで修行を積む必要はない。その代わり仙は、咲夜の力を引き出し易くするためサポートを行うよう、晴明から稽古場への同行を依頼された。

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