表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第4章 縁の国・平定編(後編)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

122/321

第122話 助け船

 占いの結果について一通り話し終えた晴明は、竜次たち一行に手伝わせ、占い道具を物置へ片付け始めた。竜次は、晴明に言いたいことがまだあったようだが、その言葉を飲み込み、努めて感情の乱れを抑え、それなりの重さがある姿見の鏡を運んでいる。美しい鏡面を見ると、そこに先程まで写っていた青い女鬼の強大な妖力が思い出され、竜次の心中に複雑な不安と不甲斐なさが生じかけた。


(勝てないなら、俺はどうすればいい?)


 自分への腹立たしさというより、焦りである。これから何をやっていけばいいか分からなくなると、人というものは途方に暮れるものだ。今現在の竜次には、進むべき道を照らす光が欲しいのだが、彼の迷いを全て見通しているのか、陰陽師晴明は、静かに竜次の深く悩む様子を見守っていた。




「よく手伝ってくれた。これを飲んで落ち着くとよい」


 占い道具を片付け終えた竜次たち一行に、晴明はまた冷茶を出してくれた。それぞれの湯呑みには、先程の半分ほど冷茶が汲まれている。ゆっくり飲み、気を静めるには丁度よい量だろう。


「晴明さん、あなたが送ってくれた書には、国鎮めの銀杯の在り処を占う他に、所用があると書いてありました。それはなんですか?」


 少し湯呑みの冷茶に手をつけた後、あやめが聞きたいことを直接的に切り出している。晴明はそれを聞くとうなずき、


(よかろう。話すとするか)


 何かのタイミングを測っていたのか、湯呑みを置いてこちらを真剣な目で見る竜次たち一行に体を向け、口を開き答え始めた。


「一言でいえば、あなた方の強さに関連したことだよ。それを詳しく説明する前に、先程の言葉を訂正しよう。竜次殿、私はあなたに『あの青い女鬼には今勝てぬ』と言ったな?」

「はい、間違いなくそう聞きました」

「うむ。正確に言えば私の言葉は間違いだ。あなた方の仲間には、九尾の狐の仙がいる。仙と力を合わせて戦えば、勝つには勝つだろう」


 晴明の言葉はまだ続きそうだが、苦笑を浮かべた仙が間に入り、青衣を着た陰陽師の話を一旦止めさせた。


「えらく持って回った言い方するねえ、晴明? 何が言いたいんだい?」

「勝ちは拾えるが、仙以外の誰が死ぬか分からぬということだ。伝説にある2匹目の鬼を倒したところで、まだ4匹残っている。ここで死んでしまってはどうしようもなかろう」


 多大な犠牲を伴えば、青い女鬼にもかろうじて勝てる。その戦力分析は、仙も納得できる。


「じゃあどうするんだい? 私も竜次たちを死なせたくはないからね」


 大霊獣の意外な言葉を聞き、晴明は少しだけ微笑みを見せた。そのすぐ後、この陰陽師が続けた言葉は、竜次たちにとって、これ以上ない大きな助け船となる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ