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【Decisive battle!Sanada Maru②(決戦!真田丸)】

 止めどなく流れ出る涙を砂で拭いた。

 今は泣いている場合じゃねえ。

 ナトーが守ろうとしたものを、俺が守らなければならない。

 14時30分、ようやく敵本体のお出ましだ。

 その距離は現在500m。

 まるでなっちゃあいねえ“へっぴり腰”で如何にも用心深いと言った風に上って来るが、それじゃあ目立ち過ぎて“撃って下さい”と言っているようなものだ。

 さて、どこから撃ち始めるべきか……いつもなら、こういう指示はナトーが出してくていた。

 “思い出せ、ナトーの言葉を!一番ナトーの事を好きだった俺なら、一字一句間違いなく覚えているはず”

 近過ぎると敵に一気に雪崩れ込まれる。

 遠すぎると散開されて、周囲を囲まれやすい。

 M-16の有効射程は500m、発射速度は毎分900発……いけねえ、相手も同じ銃だ。

 比較的平坦とはいえグラウンドのようにはいかない。

 大きな石が少ないだけで人の頭ほどある石はゴロゴロしている。

 100mはどうだろう?

 突撃してきたとしても20秒ほどは余裕がある……いや、100は駄目だ、訓練された俺と素人たちの射撃の精度が、そう変わらねえ。

 200mも大して100と代わり映えがしねえ。

 300mだとライフル射撃愛好家にとっては、日頃練習で慣れ親しんだ距離になる。

 300m以上の射撃距離競技は無いし、300m以上の長さを持つ民間の射撃場もない。

 400mなら先ず敵が俺と言う的を当てる事は困難なばかりでなく、一気に突撃を掛けるにしても1分以上走り続けなければならないし、この荒れた上り坂を1分以上走り続ける事が出来る奴も限られる。

 しかも、着いた時には酸欠でヘロヘロ。

 戦える状態ではない。

 敵の本体をなるべく長くここに留めるのが俺たちの役目、無駄な殺傷は控えたい。

「なあ、そうだろうナトー」

 敵との距離が400mになった所で、少し手前を狙って威嚇射撃をした。

 案の定、敵は伏せて動きが止まり敵も一斉に撃って来るが、弾は散発的にヘリの外板をノックするだけ。

「もっと撃て!」

 人数が多い分、撃った弾の補充は難しくなるはず。

 こっちはスコープを付けて、一人一人狙い撃ちにすればいいのだが、ナカナカ当たらねえ。

 しかし馬鹿みてえに横に一列になっているものだから、距離(高さ)を合わせれば狙った奴には当たらなくても、隣の奴に当たってくれたりするからつくづく射撃は奥が深いと思ってしまう。

 もちろんナトーの様に上手く急所を外すなんて器用な事は出来ねえからヘッドショットを狙ってはいるが、俺の場合結果的に的を外れて、そうなる事が多い。

 まあ、日頃真剣に射撃訓練をしていねえから仕方ねえが、これは屹度ナトーの意志がそうなるように弾道を変えているとしか言いようがねえ。


「本隊、止まりました」

 作戦司令部用のテントに戻り、遅い昼食を取っていた時、血相を変えた前線の管理を任せていた部下が汗だくの顔でテントに入って来た。

「進ませろ!ヘリの中に居るのは、たかがザリバン兵だ!」

 ナトーを撃った事で、気持ちがムシャクシャして怒鳴り声を上げてしまった。

 さっきから敵の射撃音は聞こえているが、軽機関銃でもなく同じM-16の、しかも単発で一人。

 いちいち、その様な相手に300人の部隊が足止めを食らったのでは、戦にならない。

 POCにいて、このアルバイト戦闘員と言うのだけは納得いかない。

 確かに犯罪歴のある死んだって誰も悲しまないような奴もいるが、大半はただ銃が好きとか戦争が好き喧嘩が好きというだけで、この様な奴らは確かに戦争や紛争が起こった場合率先して武器を手にするるだろうが、まともに戦えるとは到底思えない。

 現に彼らがまともに戦えるのであれば、パリ支局は十分に守れたはず。(『コードネームはダークエンジェル』)

「第一その様な連絡は無線でしろ!前線を任せてあるお前がノコノコ返って来てする事ではない」

「それが……」

「無線が故障したとでも?」

「はい。で、でも、故障ではなく、やられました」

「!誰に?」

「敵の狙撃兵にです」

「敵の狙撃兵!?距離は?」

「約450!……流れ弾か?」

「さあ、それは……」

 幾重にも人が重なる中で、無線機を発見するのは容易な事ではない。

 流れ弾による不慮の事故なら仕方がないが、彼の言うようにそれが狙撃兵の仕業だとしたらこれは憂慮できかねる問題だ。

「ヘリの狙撃兵と言うのは、どの程度の腕なのか?」

「はい、それはもう敵ながら相当な腕で、なにしろ奴はこっちの兵の左肩ばかり狙っていて負傷者が多数。士気も落ちて来ています」

「おい、測定器のメモリーを見せろ!」

 俺は、さっきナトーを狙撃した時に観測に当たったサポーターに測定器を見せるように言った。

 この測定器はメモリー内に映し出した映像を保存できる最新式の物。

 手に取って見ると、たしかに弾はナトーの顔面を捉えている。

「そんなバカな」

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