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【Emergency lifesaving②(救急救命)】

 衣料品を抱えてホテルに戻って作戦を練った。

「P子に付けたカメラの分析結果から、検問は峠の入り口と出口の40㎞間に2カ所設けられていて、それぞれがこの2日間午前4時に始まり午後8時に終わっているわ。その間、1時間おきに峠の両側から車両を出してパトロールをしている。午後8時から翌朝4時までのパトロールは2時間おきよ」

「深夜はパトロールだけなんだな」

「そうね。おそらく彼等もアサムたちが、ある程度奥深い所に隠れて居ることは感付いているのでしょう。暗い中、山の中に入るのは危険だし、その中で傷ついたアサムを搬送するのは、もっと危険で時間も掛かると言う事を」

「しかし24時間体制の方が、厳重に見張れるはずだろ?」

「厳重に見張った所で、侵入者は取り締まれるけれど、アサムの隠れ家は分からないでしょ」

「と言う事は、奴らはある程度誘いを掛けているって事か?」

「居場所が掴めないから、隙間の時間を作って誘き出しを狙っているのでしょうね」

「じゃあ、どうやってこの医療道具を届けに行く?車で行くとバレてしまうぞ」

「もちろんバイクで行くわよ」

「もう1台調達するのか?」

「いいえ、1台だけよ」

「積めるのか?」

「あら、意外に積めるものよ」


 日が落ちてからバイクに二人乗りして、峠を目指した。

 俺はリュックを胸の方に担いで、サオリは背中に担いだ。

 酸素ボンベは、サオリのリュックに縛り付け、その他の物はシートの両側に振り分けた。

 意外に乗るものだ。

 峠の登り口でパトロールする車が戻って来るのを隠れて待ってから出発した。

 さすがに荷物を含めると3人乗りに近い重量になるので、このオートバイには負荷が大きすぎて坂道を登らない。

「ナトちゃん、もっとスピードを上げて!これじゃあ、人が走っているのより遅いわよ」

「だって、重すぎるんだもの!」

「嘘!オートバイって、こんなに力がないのに時速200キロ以上も出るの?」

「あー時速200キロ以上出るのは1000㏄クラスのバイクだから」

「あら、じゃあこのバイクは何㏄なの?」

「200㏄だと思うよ。サイドカバーに書いてあったから」

「200って言えばコップ1杯じゃない。そんなので走れるの?」

「オフロードバイクは大体200㏄から450㏄が主流だよ」

「なんで1000㏄は無いの?」

「無い事はないが、1000㏄の図体ではオフロードは走れない。オフロードバイクは低速の出力と軽さが必要なんだ」

 そうこうしている間に、昨日のポイントに着いた。

 サオリに降りてもらい、俺はリュックを背中に担ぎなおして昨日バイクを隠したところまで乗って行った。

 サオリが後から付いて来るが、その距離はドンドン開いて行く。

 バイクを隠し終わって、しばらくすると、ようやくサオリが追い付いた。

「なるほど、この200㏄のバイクは、スピードは出ないけれど凄いわね。岩場なんてへっちゃらで、スイスイ登って行く」

「そう言う造りなんだよ」

 昨夜と同じルートで山道を5時間かけて歩き、やっとアサムの隠れ家に着いた。

 ここまで来て初めてサオリがニカブを着ていない事に気が付いた。

 これではザリバンの連中はサオリがターニャだと言う事が分からない。

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