緑の星ルーナ
ある小さな星の物語。
ある日彼らは奴隷となった。
ルーナ星の住人レプスは未確認生命体に支配されのだった。
それまでレプス人たちは緑と豊富な水資源に囲まれた環境下でひっそりと生きていた。
仲間たちと共に窪地を掘りそこを住処としていた。
性格は温和で争い事を好まないレプス人は静かに子孫を増やしながら細々と宇宙の片隅で命の灯火を燃やしていた。
ルーナ星からは二つの星が見える。
一つは赤い星。
もう一つは青い星
赤い星の光は生命を育み、青い星は死者が暮らす死後の世界だと伝えられていた。
そんな平和な星に突如として現れた、未確認生命。
彼らはある日を境に地中から湧き出てきた。
大きなハサミと十本の足を持ち横歩きでに猛スピードで動き回る。
長い耳と艶のある白黒の縞模様の毛ぐらいしか特徴のないレプス人は大きなハサミを持つ彼らになす術なく支配された。
ルーナ星の自然は未確認生命体に踏み荒らされ今でもは岩肌が剥き出しとなってしまった。
荒廃したルーナ星で多くのレプス人はその場で未確認生命体に八つ裂きにされたが幾人かは生きたまま捕らえられたのだった。
彼らはかつて自分たちの住処だった場所に収容された。
未確認生命体は図体の割に口が小さく、殺したレプス人の肉を細かくしなければ食せなかった。
そこで、収容したレプス人に殺した彼らの仲間をハンマーで潰させた。
肉塊も骨も判別できないくらいドロドロになるまでハンマーを振るう。
その労働は食欲旺盛な未確認生命体に食わすために、昼夜を問わず行われた。
生き残ったレプス人は、目の前で自分の仲間がぐちゃぐちゃになる様を延々と見続け精神は病みそのせいか毛は真っ白になってしまった。
一日中働かされ、眠ることは許されず、目は充血し真っ赤になってしまっている。
それでもいつか青い星で仲間と出会えることを願いながら生きながらえている。
ある幼い子供が道端で母親に自慢げに言う。
「知ってる?月ってよーく見るとウサギがおもちをついているように見えるんだよ。」
母親も微笑みながら応じる。
「たっ君はもの知りね〜?」
「すごいでしょー!」