表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/107

危惧

ドルティアウは大変なロクデナシだったものの、彼について詳細に描写されるのは本編のまだ先の方なので、ここでもあまり丁寧には描かれない。


ジュゼ=ファートとファリ=ファールの境遇について触れた際に僅かに出てくるだけだ。


が、それももうしばらく後なので、まずは話を進めよう。


と思ったが、


「アリシアァッッ!!」


突然、明らかな怒声によって名を呼ばれたアリシアだったものの、実はそれよりも早く異変を察知していた。


だから、放たれた<魔術>に対して<抗魔術>を使うことができた。


「ラウル・ディルティクス!」


視界に捉えたその者の名を口にする。


そう。人混みにまぎれて彼女目掛けて魔術を放ったのは、ボーマの街で戦った<戦術師>ラウル・ディルティクスであった。


ラウルが、人混みにも関わらず、爆炎系の魔術を放ってきたのだ。


だから抗魔術で打ち消したのである。


辛うじて間に合った状態だったが。


「やはり、あなたも召還されたのですね……!」


アリシアの危惧していたとおりだった。ナニーニとコデットが、自分に紐付けされたデータとして召還されたのであれば、当然、ラウルが召還される可能性もあった。


「な、何!?」


「なんだあいつは!?」


ナニーニとコデットも反応する。しかし二人は昨夜のラウルを見ていないので、当然、戸惑うだけだ。


二人を庇いつつ、


「ラウル! こんなところで!!」


諫めるように声を上げるが、だがそれを聞き入れるような相手ではない。加えて、彼にしてみれば訳も分からずこのような場所に召喚されて、しかもそこにアリシアがいたとなれば、なるほど頭に血も上るというものだろう。


イベントが始まって早々、大変なことになってしまった。


だからアリシアは、決断する。


『死亡も含めて、彼を完全に無力化する!』


と。


たとえVRアトラクションのキャラクターとはいえ、仮にも<人間>として設定されているものの命を奪うことはしたくなかった。したくなかったが、このような人混みの中で爆炎系の魔術を放つなど、無差別テロ犯と同じである。


だから、無関係な人々に被害が及ぶ前に、速やかに対処しなければならない。


今の彼女は、その優先順位をはき違えることはしない。


一方、周囲の人々は、明らかな怒声を上げる異様な風体の男に、怪訝そうな、不快さを隠さない視線を向けるものの、最初の爆炎魔術が不発だったこと、彼が無詠唱で魔術を使っていたことで、自分達が実は大変な危険に巻き込まれようとしていることにまったく気付いていなかった。


ゆえに、迷惑そうに視線は向けるものの、誰も危険を察して避難を図ろうなどとはしなかったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ