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崇拝の対象としての偶像

これまでいろいろと衝突もあった二人なのに、ゴーレムに埋め込まれた<術式が刻まれた核>をスティールで奪い取ろうとするコデットをナニーニがしっかりと守ろうとしてくれている。


もうそれだけでアリシアには嬉しいことだった。


しかも、


「スティール!」


コデットが三度目のスティールを唱えた時、ゴーレムがガクン!と揺れた。しかもそのまま動きを止め、崩れ落ちていく。


と同時に、


「なんだ、こりゃ。気持ち悪ぃ!」


吐き捨てるように声を上げながら、コデットが手にしていたものを放り出した。


まるで血のように赤く、しかもぬるりとした粘液に濡れた、<歪な卵>を思わせる塊が地面を転がる。


ゴーレムの頭に埋め込まれた、<術式が刻まれた核>だった。人間で言えば脳と心臓が一体になったものとでも言えばいいだろうか。


これに魔力も込めて頭部に埋め込むことで、ゴーレムは自律行動が可能になる。


もっとも、基本的には命令がなければ動けず、判断能力も幼児並みなので、完全な自律行動とは言い難いかもしれないが。


いずれにせよ、あのままアリシアが地道にゴーレムの頭部を削っていたのではさらに時間が掛かっていたであろう所を、コデットが早々に片付けてくれたのである。


彼女のスティールはこのようにしてどんどんと面倒を片付けてくれるので、非常にありがたい能力だった。


ちなみに、ゴーレムに<スティール対策>が施されていないと疑問に思うかもしれないが、コデットが三度目でようやく成功させたように、正確な位置を意識しないと上手く奪えないのだ。しかも、そうやって何度も繰り返しているうちにゴーレムに攻撃されてしまえば、スティール程度しか使えない者など、ひとたまりもない。


今回はアリシアが援護しながらのことだったので、何度も試せただけだ。


一回目で当りを引き当ててしまうようなのはほとんど<事故>のようなものであるため、そこまで対策する必要もないというのが実のところなのだ。


いずれにせよ、コデットのおかげで予測よりもずっと早く片付けることができた。


「そんな…! ジュゼ=ファート様のゴーレムが……!?」


およそ並の魔術師ではどうすることもできなかったであろう強力なゴーレムがいともたやすく倒されてしまったことに、村人達はショックを受けていた。


彼らにとっては、戦力的な意味以上に、<崇拝の対象としての偶像>の意味が大きかったのだと思われる。


「お前達! なんてことを……!」


村人達は怒りの視線を向けるものの、ナニーニが剣を構えると、途端に尻込みしてしまったのだった。



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