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妖かしの使い方  作者: 総督琉
妖かし連盟VS闘妖
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第25話 闘妖、

引き金は引かれた。

銃弾は銃口から放たれ、聖華が囚われている檻の鍵を破壊した。


「何を……」


状況が理解できなかった。

神木は聖華が逃げられるように、なぜか檻の鍵を壊した。

だが驚いたことはそれだけではなかった。神木が手にした拳銃は黒い霧へ変化して聖華の横へ移動する。そこに出現したのは黒猟犬(ブラックハウンド)であった。


「私の妖かしを、妖器に!?」


「やはりこの技は知らないようですね。まあ仕方ありません。恐らくあなた方は独自の技術で妖かしと戦ってきたのですから。ですので天城聖華、これよりあなたへ私の知る限りのことを教えましょう」

神木は檻の扉を開け、そう言った。


聖華はずっと状況を理解できないまま固まっていた。


「なるほど。まあそうなるか。一つだけ言っておくが、私は妖かし殺しの仲間ではない。それだけは理解してくれ」


「妖かし殺し?」


「な、なるほど。それも知らないか。まあ良いだろう」

神木は何も知らない聖華に半ば動揺の色を示すも、深呼吸をし、精神を整えた。


「天城。僕へついてきてくれ」


聖華は黒猟犬(ブラックハウンド)とともに恐る恐る牢を出た。

だがこの牢へ容れられる原因となったのはこの神木という男で間違いない。それが分かっていたからこそ聖華は未だ神木へと敵意を向けていた。

それに気付いてはいるものの、神木は無反応に壁へ手を当てた。


「万華鏡」

そう呟くと、壁は砂を散らして動き出し、そこに人一人が通れるほどの通路が出現した。


続け様に神木は"十面小僧"と書かれた札を取り出すや、その札は十面小僧の体を生成する。

「十面小僧。天城に変身して檻の中に入っていてくれ」


「分かった」

小さな子供のような容姿をしていた十面小僧であったが、その容姿は変化し、聖華の姿へと変貌する。

その容姿で檻へ入ると、まさに先ほどの光景が神木目線で見れるというわけだ。


「では行きましょうか。天城聖華」


「ああ。くれぐれも私を殺そうとするんじゃないぞ。神木」


「分かっていますよ」


聖華は神木の背後を歩く。

黒猟犬(ブラックハウンド)は聖華の肩に乗り、用心深く神木を観察していた。だが特に怪しい行動はなく、むしろなぜ聖華を背に一度も振り向かないのかと疑問に思うほどだ。


「着いたぞ。ここが我々反妖かし連盟組織"闘妖(とうよう)"のアジトだ」


着いた場所は大きな円形の闘技場。大きさは半径十メートルほどで、周囲を十メートルはある壁が囲んでいる。その壁の上には人が座れるような場所がある。

その場所は語り部の際に戦った会場に酷似している。


それらを目にいれつつ、聖華は神木の発言が気になっていた。

「反妖かし連盟組織?ですか」


「僕たちは妖かし連盟に対する組織、いわば妖かし連盟を変えようと裏で暗躍している組織です」


「もしかして……灼猫もいるのですか?」


「その通り。私もいるさね」

猫を連想させる仮面をつけたポニーテールの女性が壁の上から降りてきた。


「それに、君の仲間もいるさね」

壁の上には才花が聖華に手を振っていた。


「これで私も妖かし連盟にとっては犯罪者だな」


「本当に申し訳ありません。ですがあなたの戦いを見た限り、あなたならばきっとこの世界を変えてくれるだろうと、そう思ったのです。だから天城、私たちに協力してほしい」

灼猫は真剣な眼差しで天城へとそう言う。


「なるほど。だがその前に聞きたいことがある。なぜお前たちは妖かし連盟を変えようとしている」


「妖かし連盟、彼らはある組織の手下と成り下がっている」


「ある組織」


「それはーー」


「ーー神木さん。大変です。赤妖市にある赤妖火山が……噴火しようとしています」

突然入ってきた男が神木の言葉を遮った。


「あの火山が……。あの火山は噴火しないようにこの前妖かし連盟が大遠征をしたはずだろ。それにそこには僕も参加していたはずなのに……妖かし連盟……」

神木は頭を抱え、苛立っていた。


「神木、どうする?」


「妖かし連盟は信用できない。僕らが噴火を止めに行く。闘妖、全員出撃だ。聖華、君はここにいてくれ。すぐに君を鍛えてくれる者が来るから」

焦りながらそう言い、神木は灼猫たちとともに走り去っていく。


「なあ。火山の噴火は止められるものなのか?」

残された聖華は肩に乗る黒猟犬(ブラックハウンド)へと言った。


「まあね。妖かしには色んなものがいるし、もしかしたら噴火を止める妖かしがいると思われる」


「なるほど。で、私を鍛えてくれる相手とは誰なのだろうな」


「さあね」


そんな会話をしている間に、年老いて腰の曲がっている爺さんが聖華の前へと現れた。


「あなたが私を鍛えてくれるのですか?」


「ああ。君にこれから四つの技を教える。全て覚えられるかは分からんがな」

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