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妖かしの使い方  作者: 総督琉
第二十六回語り部
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第18話 宍道VS六花

聖華は勝利した。失われた腕は既に元通り。

そして六つの会場の生き残りが一つの部屋へ集められている。そこそこに広い部屋、そこにはソファーが幾つか置かれ、他にも新聞やコーヒーメーカーなどが充実している。


聖華ははただ腕を組み、壁に寄りかかって神経を研ぎ澄ましていた。

そんな彼女を睨む一人の男がいた。

男は立ち上がって聖華へと歩み寄ろうとしたが、その前に絨毯の上に乗った一人の少年が現れた。


「生き残りの皆、よく頑張ったね。僕は開闢(かいびゃく)、妖かし連盟の幹部さ。君たちにはこれから一対一の戦いをしてもらう」


「一対一か」


「そう。あとは説明しなくても良いよね。ここまで勝ち抜いてきた君たちならば、この先どんな戦いが待っていようとも平気そうだし。じゃあ、始めよう」


絨毯に座る少年ーー開闢はここまで勝ち抜いてきた六人の妖かし語りを笑みを溢しながら見ていた。


「ではまずは、宍道(ししどう)君と六花(りっか)君、君たち二人で戦ってくれ」


開闢が視線を向けた二人の妖かし語り。

一人は全身獣の毛皮で身を包み、もう一人は露出が派手な服装で頭には花で作られた冠を被っていた。


「じゃあ二人とも、僕についてきて」

二人は開闢へ促されるように、足を進めてその部屋から消えていった。


数分後、鏡には宍道と六花が何もない円形の闘技場の中で向かい合っている姿が映されていた。


「六花と言ったね。君の初戦が俺の相手だなんて、残念だったね」

そう言い、宍道は毛皮を脱ぎ去った。

すると宍道の上半身が六花の前へと晒された。


盛り上がっている胸筋に刃など通らないような分厚い筋肉、腕や太ももにも筋肉はたっぷりとついており、宍道はその筋肉を見せびらかすようにしてそこに立っていた。


複製腕(ツチグモ)

そう唱えると、宍道の手のひらに乗っていた小さな蜘蛛は砂のように変化して宍道を覆った。

砂が晴れ、宍道の背中からは八本の腕が生えていた。


「それが君の妖器か」


「ああ。お前の妖器はどんなものだ?」


「見せて上げるよ。私の妖器を」

六花の背後には巨大な木が突如として生えた。


大森林(フルツバキノレイ)

その木を中心とし、砂上だった地面には草木が生え始め、四方には自然が恵まれ始める。

森と化したその場所で、六花は木の上に立って呟いた。


「私のフィールドでは誰も勝つことはできない。行くよ、古椿(ふるつばき)の霊」


六花は宍道を指差した。

宍道の周囲の木々はねじれ始め、宍道を襲う。それらの木々を宍道は背中に生えた八本の腕で捌いていた。

腕へ絡み付こうとした木を引きちぎり、木の上に立つ六花へと走る。


「私にはたどり着けない」

宍道の足に木の根が絡み付き、動けなくなる。

そこへ鋭く針のように尖った木が宍道目掛けて進む。


「終わりだ」


木は宍道の体を貫く。

その前に宍道は足に絡み付いた木の根を引きちぎり、木の上まで飛び上がって尖った木を避けた。


「筋肉馬鹿じゃなかなか厳しい戦いになりそうだね」

六花は木の上を走って宍道との距離を取る。


「このままじゃ決着はつかねーか」

宍道は木の上から降り、生えている木を掴んで引っ張っていた。


「あの男、何をしている……ってまさか!」

気づいたのが遅かった。


宍道は生えていた木を無理矢理引っこ抜き、その木を遠くに逃げていた六花へと投てきする。

六花は周囲の木々でその木を防ごうとしたものの、まるで銃弾の如く速さで投げられた木を防ぐことができずその木に体を直撃させた。

六花は木から落ち、壁にぶつかって意識を喪失させる。それとともに会場を覆っていた木々はなくなった。


「能力が能力なだけに、裏目に出たな」

宍道は肩を回し、妖器を妖かしへと戻した。



聖華たちのいる部屋にて、開闢は再び姿を現した。

「では次の戦いを始めましょうか。次は氷上(ひょうじょう)君と雪平君」

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