東大寺先輩のご立腹
拙い文ですが気楽に読んで頂ければ幸いです。
ファンタジー要素も多いので現実では起きないような事も起こります。ご了承の上お読み下さい。
『おい、広瀬。 お前今、「ゲッ」って言ったな。 遅刻した上に、珀まで連れ出し、挙げ句の果てに担任に対するその態度。 お前、本当に良い根性してんなぁ。その根性、叩き直してやろうか。』 ズモモモモ.. ボキッ、、ボキボキッ、、
「アワワ、、先生、落ち着いてください! 暴力はいけませんよ、暴力は!!」
『兄貴、違うんだ! モモは悪くない! 俺がモモと話したくて無理やり連れ出したんだ!』
「何言ってるんですか、先輩! 私が勝手にしたことなんで先輩は何も悪くない!大切な先輩に何かあったら私、耐えられません!」
『モモこそ何言ってんだよ!モモは何も悪くない!俺だってモモが大切なんだ!』
「私の方が先輩を大切に思ってます!」
『嫌、俺の方がモモを...』
「...先輩♡」『...モモ♡』
『(ブチッ)この期に及んで俺の前でイチャイチャするとは...』
「あ、、ヤバ。」
『お前ら2人とも、放課後居残りだ!! 雁首揃えて、理化学室に来るように!!』 ドッカーーンッ!!
~~~~☆~~~~☆~~~~☆~~~~
『モモちゃんのバカちんが! 突拍子のない行動も大概にしてよね! 僕が機転を利かせて誤魔化さなかったら大事になるところだったんだからね! 僕に感謝しなさい! 崇めなさい!! 崇拝しなさい!!』
東大寺先生に確保された私達は、敢えなく授業に引き戻された。
放課後には東大寺先生のお叱りタイムが待っているが、それはあくまで東大寺先生個人からのもので学園公認のものではない。 と言うのも、他の先生達にはサボりとばれなかったのだ。 私のクラスではナヨ君が私が1週間悩まされた便秘のせいでトイレから出てこれなくなったと教科担任に言い、先輩のクラスでは安倍さんが先輩が家庭の事情で授業を抜けていると説明してくれていた。
ナヨ君と安倍さんには助けられた。..ナヨ君の説明には悪意が感じられるけどね。まぁ兎に角、ナヨ君には頭が上がらない訳だ。
だから、私は休み時間の度にこうしてナヨ君にネチネチ責められ続け、昼休みの今もナヨ君のお小言タイムにも堪え忍んでいる。でも、流石にもう良いでしょうが!
「も~~、そんなに何度も言わなくても分かったってば。 ちゃんと感謝もしてますぅ~~。 ナヨ様、君主様、大天子様~~、もう許して下さい~~! 今日はお弁当も作れなかったしさ、校売にパンを買いに行かなきゃ。ついでにお詫びと言っちゃぁ何だけど、ナヨ君の好きなクマさんクッキー買ってあげるから! ねっ? もう機嫌直して、校売に一緒に行こ!」
『..何個?』
「え? 何が?」
『クマさんクッキー、何個買ってくれるの?』
「えっ..な、何個でも..好きなだけ..みたいな?」
『良し! 何してんのモモちゃん! クマさんクッキー売り切れちゃうよ! 早く行こ♡(ウキウキ♡)』
つ、釣れたーーッ! 思いの外チョロいな、ナヨ君! 今迄のお小言タイム何だったの??
無事、私のパンとクマさんクッキーをゲットした私とナヨ君は教室に戻る途中だ。
『モグモグ..パラパラ.. モグモグ..パラパラパラ..』
「ちょっと、ナヨ君。 教室までクッキー我慢出来ないの? 食べカス落としてるし、お行儀が悪いよ!」
『モグモグ..ゴックン。 何さ、モモちゃんにだけは言われたくないね。 あ、そう言えば。 ねぇねぇモモちゃん、僕がちゃんと教科担任を誤魔化したのに何で東大寺先生にばれちゃたの?先輩の方も安倍先輩が誤魔化してくれてたんでしょ?』
「う~~ん、私もそこは良く分からないんだよねぇ。 東大寺先生って、何かセンサーでも付いてるのかなぁ。 何処から情報を仕入れたのか、突然現れた時は驚いて思わず『ゲッ』って言っちゃったよ私。」
『ふ~~ん。 流石、東大寺先生だね。 でも、学園には報告されなかったんでしょ? 良く分からない先生だよね。』
「ホントそれだよね。気紛れなんだか知らないけど、報告されなかったのは助かったよ。」
東大寺先生は私と先輩が揃いも揃って授業に出ていないことを何故か察知し、校内を探したところまんまと私達を見つけたのだ。驚いたのは、他の先生に今回の真相を報告しなかった事だ。私の知る先生なら即刻報告しそうなもんなんだけどな。もしかして、自分の受持つクラスの生徒と、身内の醜態を知られたくなかったとか? 保身? そんなのに興味は無さそうだけど、う~~ん、、良く分からん奴だ。
『後、モモちゃん、、(コソコソ..)』
「何よ、ナヨ君。」
『まさかとは思うけど、先輩にブライアンとの事は言っていないでしょうねぇ(コソコソ..)』
「え? うん、、まだ言ってない。だけど、隠すのも何か先輩に悪いし、ちゃんと言おうとは思ってる。」
『なっ!! このバカ野郎!! そんな事やめときな!!』
「でも、」
『でももへったくれもないの! 自分の彼女の浮気話なんて誰が聞きたいのさ! 先輩と別れたくないならやめときな!』
「ちょっと、ナヨ君! 声が大きい! それに、この間から人聞きが悪いよ! 私は浮気なんてしてないし、しようとも思ってないから! そりゃ、ブライアンにときめいてしまったのは認めるけど、それは不可抗力であって、」
『 今の、どういう事? 』
「『 (ビクッ)!!! 』」
この声は、、後ろから声を掛けられて、恐ろ恐ろ後ろを振り向く。
クルリ.. 「『 先輩!!! 』」 お決まりかよ!!
アワアワ... ヤバイよ、ヤバイよ~~!! 先輩にちゃんと言おうとは思ってたけど、今じゃない! 心の準備がまだだって~~!
『浮気とか、ブライアンにときめいたって聞こえたけど。 モモ、どういう事か説明してくれる?』 じっ...
目が怖いって! ナヨ君助けて! チラッ..
『あ! 僕、校売でいちごミルク買うの忘れてた!』 そそくさ..
に、逃げたーーっっ!! あの野郎、覚えてろよ!!
『..モモ、説明して。』 じっ...
うっ! 先輩には嘘も言いたくないし、誤魔化しきれない。
「あ、あの実はこの間ブライアンに賭けで負けてしまって、2人で天狗山にハイキングに行ったんです。その時にブライアンが私の為に色々と考えたり、頑張ってくれたりして。私、その姿を見て嬉しくて、気付いたらドキドキしている自分がいて。 でも、だからって邪な気持ちや、ブライアンに先輩以上の特別な好意があるって言うわけではありませんよ!」
『ふ~~ん、分かった。賭けでモモと2人の状況を作るとか、ブライアンも姑息な手を使うな。 で? 他には何もなかったの?』
「え? 他に、、ですか、、」
どうしよう、、言うべきか? 隠すべきか? オロオロ..
『その様子からして、、何かあったんだね。 モモが俺の事を誰よりも好きなのは分かってるし、怒らないからちゃんと言って。』
嘘を付いても、隠しても同じだ。 え~~いっ、悩んでも仕方ない! ここは一か八か、私と先輩の絆を信じよう!
「...ブライアンに告白されました。 それと、、軽くキスも、、。」
『は? キスとかマジあり得ないんだけど。 それって無理やり? それとも、まさか合意? 正直に言って。』 ギロリ.. ズモモモモ..
怒ってますやん!! その目付き、ものすんごくご立腹ですよね??
「あっ、、嫌、無理やりって言うかブライアンはカナダ人だし、軽い気持ちだったと思います! ちょっと、触れただけですし、私も隙があったから悪かったんです。 ご、ごめんなさい!! それに2人で出掛けたことも、友達でも一応男の子と2人だし、先輩が嫌ならちゃんと断ろうと思って先輩に電話もしました。 でも、繋がらなくて。 ブライアンは友達なのに理由もなく断る方が可笑しいと思って、行っちゃいました。先輩の気持ちも聞かずに嫌な思いさせてごめんなさい!!」
『..ここは日本だよ、モモ。 彼氏がいる女の子に軽くでもキスなんてしない。ましてや、隙を狙ってキスするとか、モモに更に自分を意識させる為の只の独りよがりだろ。 ブライアンもそれは分かってるはずだ。
でも、俺が電話に出て止めれてたら、そんな事にならなかったんだよな。漬け込む隙なんてもう与えないって思ってたのに、ダメだな俺。』 グッ..
先輩が拳を強く握っている。 爪が手のひらに食い込みそうなくらいに。
「、、先輩。 何を言っても言い訳になってしまいますけど、私の特別は先輩だけなんです。 私も1人の人間です。時にはブライアンみたいなイケメンに優しくされたら、そりゃあ一時はときめいちゃったりもします。 ぶっちゃけ、ブライアンに告白されて悪い気もしませんでした。 でも、、今回ブライアンに軽くでもキスされて改めて分かったんです。 私がキスや触れたいと思うのは先輩だけ。 何時だって私の心の中心にいるのは先輩なんです。 それだけは、信じて下さい。」
ギュッ.. 先輩が抱き締めてくれる。
『、、分かってる。 そうだよな。 モモが思ってるのは俺だけだもんな。』
「先輩、許してくれるんですか?」
『仕方ない。 今回は俺も悪い所があったし、許すよ。 でも今後、俺以外の男と2人で遊びに行くのはダメだ! それに、キスさせる隙なんて、絶対に見せないこと!!』
「そ、それは、、本当にごめんなさい。」
『良し。 そうとなれば、行くぞ!』
「え? 行くって何処にですか?」
『何処って、ブライアンのとこに決まってんだろ。 どうせブライアンに言いくるめられて、ちゃんと告白の返事してないんだろ? 俺も、ブライアンに釘を刺しておきたいしな。』
ええっ?! 今ですか?? ブライアンの事はちゃんとケジメを付けようとは思ってたけど、先輩も一緒に??
大丈夫かなぁ~、、不安だぁ~~!!
お読み頂き有難うございます。誤字脱字がありましたら直ぐに直しますので教えてください。




