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ときめき...

拙い文ですが気楽に読んで頂ければ幸いです。

ファンタジー要素も多いので現実では起きないような事も起こります。ご了承の上お読み下さい。



『モモーー、頑張れーー! ペースが落ちてるよーー!』

「ちょっと待ってよ! つか、何で上級者コースにしたの?! 今日ってハイキングじゃなかったけ? これ登山じゃん!!」


ブライアンから予想外の言葉を受けた翌日。 私は今、ブライアンと2人で、地元で天狗山と呼ばれている山にハイキングに来ている。 天狗山はこの時期、花が沢山見れる事で、知る人ぞ知る人気スポットなのだ。


先輩という彼氏がいる私が何故、ブライアンからのデートのお誘いを受けたかと言うと、、、



~~~~☆~~~~☆~~~~☆~~~~☆~~~~☆~~~~


『モモの1日を僕に頂戴♡ 僕とデートしよ♡』


「え? デートって、それは出来ませんよブライアンさん。 私は彼氏持ちの身なのですよ。 浮気は出来ません。」

男の子と2人でデートなんて先輩に誤解を与えてはいけないしね。


『フフッ♡ モモ、面白~~い! 僕、浮気しようなんて言ってないよ~。 この前、大学寮の先輩に天狗山のことを聞いたんだ。 この時期、綺麗なお花が沢山見れてハイキングにピッタリなんだって! その話を聞いてから行きたくてしょうがなくなってさぁ、1人で行くのは淋しいから友達としてモモを誘ったんだよ!』


「え? そうなの? 何だよ、デートって言うから勘違いしたじゃん!」


『へぇ~~、モモは僕の事をそういう対象で見てたんだぁ~~。 へぇ~~、意外~~。(ニヤニヤ)』


「(カァァァ..) ば、ばか野郎! ち、違うよ! ブライアンは大切な友達だもん!」

って、ばか野郎は私だっての! 何をアホみたいにブライアンを意識してるんだよ! 自意識過剰か!


『なら、大丈夫でしょ! 決まりね! じゃあ、早速だけど明日行こ! GW中に行かないと何時行けるかわからないし、グズグズしてたらお花がなくなっちゃうよ!』


「う~、でも、いくら友達でも男の子と2人は先輩が嫌がるかも知れないしなぁ、、。」


『じゃあ、先輩に電話して聞いてみなよ。 今、ここで。』


「え? 今、ここで?」


『そう。 ここで。』 じっ...


...どうしよう。ここで電話をかけたら先輩と今、連絡が取れていないことがブライアンにバレてしまう。


「や、やっぱりいいよ! ブライアンは友達なんだし、よく考えたら先輩もそんなに心の狭い人じゃないしね! 明日は私の予定も空いてるし、天狗山行こう!」


『(ニコッ♡)わ~~い♪ 明日、楽しみだね♡』


~~~~☆~~~~☆~~~~☆~~~~☆~~~~☆~~~~


という経緯で今日に至ります。 ブライアンが帰った後で先輩に電話してみたけどやっぱり繋がらなかった。 それならと、ナヨ君に一緒に来ないか聞いてみたけど急なことで予定が合わず断られた。 しかも、ナヨ君には怒られる始末だ。


《全く、モモちゃんはまた迂闊な約束をして! この間僕が言ったことを忘れたの?! 面倒な事になっても僕は知らないからね!》


この間、ナヨ君に言われた事はちゃんと覚えている。


《ブライアンはモモちゃんを異性として見てる》


正直、ブライアンが私をどう見ているかはわからない。 でも、例え異性として見ていたとして、それが全て恋愛感情に結び付くということはないんだし、ブライアンは先輩と私が付き合っている事を知っているんだ。 ブライアンみたいな類い希なるイケメンがわざわざ彼氏持ちの女に固執する必要なんてないじゃないか。 それにカナダのパーティーで美女の選り取り見取り状態だった男なんだぞ。 どう考えても、ナヨ君の思い過ごしとしか考えられない。




ゼェ、、ゼェ、、ゼェ、、

それにしても、何だこのコース?! さっきから岩だらけで登山どころか、ロッククライミングだぞこれは!! 可憐な女子をこんな過酷なコースに連れてくるとは、アイツ鬼畜か?!! 


「ゼェ、、ゼェ、、」


『モモ、これを登れば8合目に到達だよ! よく頑張ったね。 さぁ、捕まって!』


ブライアンが手を差し出してくれた。 ブライアンの背から光が差し込み逆光になって眩しい。 心なしか私を見るブライアンの顔が優しく微笑んでいるように見えたのは気のせいだろうか。


「あ、ありがとう、、。」

私は差し出された手をおずおずと握った。


グイッ..   パァァァァア...

 

「わぁ...」

目の前に広がったのは、見渡す限りに広がった色とりどりのポピーなどの花ばなだ。 


「綺麗..」

『うん、、綺麗だね。 厳しいコースを頑張り抜いた後に突然目の前に別世界が現れたみたいだね。』

「本当、、別世界みたい。 さっきまでの疲れが一気に何処かへ行っちゃったよ。」


『良かったぁ。 本当は他のコースからでも良かったんだ。 でも、急に現れるこの風景は上級者コースからじゃないと見られないって聞いてたから、どうしてもモモにこの感動を味わって欲しかったんだ。ニコッ♡』


「え? 私の為に?」

『うん。 モモに1番綺麗な景色を見てもらって、幸せな気持ちでいっぱいになってほしかったんだ。』


今日は将棋勝負に勝ったブライアンの願いを叶える為にここに来たはずだった。 それなのに、私に幸せでいっぱいになって欲しい? 、、何で?



『 モモ。 今、幸せ? 』 



ブライアンから目が離せない。 何て綺麗な目をしてるんだろう、、。

何て幸せそうに、、私を見つめるんだろう。



「 幸せだよ。 幸せな気持ちで、いっぱいになった。 」



自然と言葉が口から出ていた。 


心が、暖かい。 まるでお日様の光にじわじわと暖められるように、心地いい暖かさ。


『良かった~~! ここに着くまで、思った以上に過酷だったから、モモが怒ってるんじゃないかって内心ヒラヒヤしてたんだ! 安心した~~! ハハッ♪』


ブライアンが屈託のない笑顔で喜んでいる。 その一つ一つの仕草が、どうしてなのか、何時もよりずっと鮮明に見えるような気がする。


「ブライアンは、、今、幸せ?」



『 うん、幸せだよ! 今日、モモとここに来れて、凄く幸せ! ニッ♡』


普段のブライアンから見ることが出来ない、幼さが残ったような無邪気な笑顔、、太陽の光を浴びて光輝いているように見える。


今日はなんでこんなにブライアンの一つ一つの仕草に目が離せないんだろう。 



トクン、、トクン、、 何だこれ、、おかしい。 


トクン、、トクン、、 心臓が痛いぞ。


トクン、、トクン、、トクン、、トクン、、


『モモ、どうかした? 顔が真っ赤だよ? 具合でも悪いの?』

ブライアンが心配した様子で顔を覗き込んでくる。



ーーーーーー ドクンッ!! ーーーーーー



バッ!! 咄嗟に顔を隠すようにうずくまる。


「な、何でもない!!」


何が自分に起こっているのか分からない。


『モモ? 何か様子がおかしいよ? 本当に大丈夫?』


自分でもおかしな事をしているのは分かっている。 でも、恥ずかしくて顔を上げることが出来ない。


「大丈夫! 急に疲れが出ただけだから!」

『え?! じゃあ、ここで一緒に休もう!』

「いい! ブライアンはお花見てきて! 少しの間、私一人で休ませて! お願い!!」

変なお願いをしているのは百も承知だ。 でも、今はどう思われようと一人になって冷静になる時間が欲しい。


『分かった、、じゃあ、僕は休憩所に自販機があるはずだから何か冷たい飲み物買ってくるね、、。 何かあったら直ぐ戻るから携帯に電話して。』


「うん、ごめん。ありがとう。」

顔を上げないまま返事をする。


『、、じゃあ、行ってくる。』




「・・・・・・・・。」


ドクン、、ドクン、、ドクン、、ドクン、、

何これ。 何なのこの胸の痛み。 全然収まらないじゃん。

落ち着け。 こんな時は精神統一だ。 よし、深呼吸をしよう。 


「スーーーハ~~~ッ..スーーーハ~~~ッ..スーーーハ~~~ッ..」

目を瞑って心を無にし深呼吸をする。


《今日、モモとここに来れて、凄く幸せ! ニッ♡》


ーー !! ーー 


心を無にするどころか、目をつぶって直ぐにブライアンの顔が浮かんだ。

な、何で? 落ち着け! よし、もう一度だ。


「スーーーハ~~~ッ..スーーーハ~~~ッ..スーー..」 


《 モモに1番綺麗な景色を見てもらって、幸せな気持ちでいっぱいになってほしかったんだ。ニコッ♡ 》 


ーーー !!!! ーーー


まさか、、だよね。 パチッ、、瞑想を諦め目を開ける。


目の前に広がる草原にはこの時期多くの登山客が花ばなを見ようと訪れている。 その中で、綺麗な花ばなも登山客も関係なしに、いの一番に1人の人物に目がいってしまう。


満開の花ばなに引けも取らず、太陽の光を浴びて蜂蜜色の綺麗な髪と透き通るような白い肌がキラキラ輝いている。



『モモ、体調もう大丈夫? はい、これスポーツドリンク。 冷たくて美味しいよ! ニコッ♡』



キュゥゥゥ~~...ドキン..ドキン..


どうしよう、、。 私、、ブライアンにときめいてるんだ。 



 

お読み頂き有難うございます。


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