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建前と本音

拙い文ですが気楽に読んで頂ければ幸いです。

ファンタジー要素も多いので現実では起きないような事も起こります。ご了承の上お読み下さい。




『 こんばんわ、お義母様。 お久しぶりです。 』


え? 今、お義母様って言った?


『あら、珍しいお客様だ事。 こんな寂れたカフェに来るなんて一体どういう風の吹きまわしかしら? まさか、目の上のたんこぶの私に会いに来た訳でもないでしょうに。』


『フッ、、相変わらず、お元気そうで何よりですわ。 あいにく私も経営から退いた方に会いに来るほど暇じゃありませんの。 だからそんなに牽制しなくても、用を済ませたら直ぐに帰りますのでご安心を。』


自分の後ろで何が起こっているのか意味が分からない。

今、私の後ろに居るのは多分、先輩のお母様だ。 

これが家族の会話?それにしては不穏じゃないか? あっ、もしかしてテレビで良く見る嫁×姑問題? そうなのか?



『珀。 あなた、こんなところで何をやっているの?』

『俺は、、時間が出来たからばあちゃんの様子を見に来ただけです。 母さんこそ、何でここに来たんですか。 今日は重役会議があるって聞きましたが。』

『あら、おかしいわね。 それではまるで私の目が届かない時を狙ってここに来たみたいな言いぐさじゃない。 珀。 あなたまさか、今まで許可なく外出していたことを私が知らなかったとでも思ってるの?』

『...どういう事ですか。』


先輩が緊張しているのが声で伝わって来る。 

何、この緊張感? いくら世界的大企業の重役って言っても、親子だよね? それなのに2人の会話からは親子間の親しみみたいなものが感じられない。 それに、今時親に対して敬語っていうのも珍しい。   


なんかこの家族、、違和感半端ねーー!!




『(クスッ)まさかと思ったけど、本当だったとは。 本当にあなたは未熟なのね。 あなたが時折無断で外出していたことは知っていたわ。 何やら仲の良いお友達も出来て、その子と良く会っていることも。』

『ーーーッ!! な、何で、、』

『何でって、本当におかしな事をいう子ね。 私はあなたの親なのよ。 そして、あなたは将来我が社を継ぐ後継者。 今後の事を考えて、交遊関係や行動を把握しておくのは当たり前でしょ? あなたの行動は()()把握しているわ。』


違和感っていうか、これはもう、、、  異常だ。

何これ。 本当にドラマか何か? いくら大事な跡取り息子だからって、高校生になった息子の行動や、交遊関係をいちいち把握する? 娘ならまだしも相手は息子だぞ?


先輩のお母様なのにこんな事言いたくないけど、、この人はヤバい。

とてもじゃないけど、今の私が太刀打ちできる相手じゃない。

この場の緊張感に体がすくんでしまう。 先輩に言われた通り早くこの場から離れないと。


『さぁ、無駄話はこれで終わりよ。 珀。 車に乗りなさい。』

『結構です。 俺は、寄るところがあるから一人で帰ります。』

『何を甘えた事を言ってるの? あなたにはやることがあるでしょう。』

『やることはちゃんとやってます! 空いた時間くらい自分の自由に、』

『あなたに、空いた時間なんてないわ。 自分の立場を考えなさい。 今までは見過ごしてきたけど、まさかお義母様の所にわざわざ()()()()()()()()()なんてもう見過ごせないわ。』


「『ーーーッ!!』」


『先程から後ろに居る彼女。 その方があなたが仲良くしているお友達でしょう?』


げっ!! バレてる!! どうしよう、怖い!!

でも、無視する訳にもいかない。 恐る恐る後ろを振り向く。


ギギギギギギッ...緊張で動きが強張ってしまう。

「こ、こんばんは。 初めまして。 私は、広瀬モモと言います。 先輩には色々お世話になっておりますです。」 ガバッ!

グフッ、、私のバカ!! 何だよ、おりますですって!!

恥ずかしくて頭を上げることが出来ない。


『こんばんは。 何時も珀がお世話になっております。 どうぞ、頭を上げて下さい。』

え? 思いもよらない、優しい言葉に頭を上げる。


初めてしっかりと先輩のお母様の顔を見た。

元女優さんということもあって、とても綺麗な方だ。 先輩と東大寺先生に似てスラッとした体型で、洗練された印象を与える佇まい。 そして、優しそうな笑が、


『珀のお友達として仲良くして頂いてありがとうございます。 あなたはお友達も多くて皆さんからも信頼されている、とても優秀な女性だと聞いていますわ。』


笑顔が何か、、 「いいえ。 私なんてそれ程でも、、。」


『今日も皆さんと遊びに行くのに、珀を遊びに誘って頂いたんでしょう?』


何か凄く、、 「はい。 潮干狩りに行ってきました。」


『潮干狩りですか、そう言えばその時期ですわねぇ。 さぞかし珀も楽しかったことでしょう。(ニコリ)』


()()()()!! 


「はい。 皆で楽しむことが出来ました。」

目が笑っていない! じっと、私を見ている目が怖い!! 

それに言ってることは普通の会話なのに、何故か暖かみを感じない。


『それは、良かった。  ですが。』


私をい抜くような、冷たい目。



『珀は将来我が社を継ぐ為の勉強がありますので、此れからは余り珀の事を気にして頂かなくても結構ですわよ。』


「え? どういう事ですか?」


『ですから、お気遣いはありがたいのですが珀は勉強が忙しいので、誘わなくても結構ですと言っているんです。 あなたにはお友達も沢山居るのですから珀を気にせず他のお友達と沢山遊んで下さい。(ニコリ)』


『母さん! いい加減にして下さい! モモは俺の、』

()()()。 そうでしょう? 只の友達に何をそんなにこだわっているの。 遊んでいる時間のないあなたに、友達なんて必要ないでしょ。』

『クッ、、』


そうか。 普通に会話しているのにどうしてこんなに冷たく感じるのか分かった。 


ーーーー 建前 ーーーー


先輩のお母様は本当に私と会話をしているんじゃない。 

これは只の建前。 この会話に意味なんてない。 

お母様にとって私が誰だろうと関係ないんだ。 


『さぁ、時間が勿体ないわ。 早く車に乗りなさい。』

『...嫌です。 俺はモモを送ってから帰ります。』


『いい加減にしな、』

『珀! 今日はもう雅さんと帰りなさい。 モモちゃんなら私が送っていくから大丈夫よ。』

『でも、ばあちゃん!』

『珀。 今は耐えなさい。 急いでも良いことなんかないわ。 ね?』


『クソッ、、。』 





クルリ、、、先輩が私の方に振り向く。


『モモ、嫌な思いをさせてごめん。 後で電話するから。』 


「ごめんなんて言わないで下さい。 私なら大丈夫ですから。」


『珀。 早くしてちょうだい。 時間がないわ。』

『...分かりました。  じゃあな、モモ。』 ザッ、、、



「先輩! 電話、、待ってますね!」

『フッ...』



バタンッーーーー

先輩はお母様と一緒に帰っていった。

最後の先輩の力ない笑顔が、私には先輩が泣いているように見えた。






そして、その夜。 約束した先輩からの電話はなかった。










***************************************************


ブォォォォォォ......

『副社長、本当にあれで良かったんですか? 珀さんもまさかこんな事になるとは思って居なかったようですが。』


『クスッ、、何を聞いてくるのかと思えば、珀の心配でもしているの? 堂島にもまだそんな感情が残っていたのね。』


『心配というか、自分の高校生の頃を思い出すと珀さんの背負っているものが大きすぎて少し可哀想になってしまいました。』


『可哀想なんてふざけた事を言わないで頂戴。 あの子は我が社を背負っていくのよ。 今からそれを自覚するのも必要だわ。』

 

『しかし、彼女の事は副社長も今は放っておいて良いと言っていたじゃないですか。 将来添い遂げる事がないにしても今は自由にさせるつもりだったのでしょう?』


『あの女の子? 自由にさせるもなにも遊び相手にとやかく言うことないじゃない。』


『では何故今回はこのような行動に?』


『...堂島。 もう、着くわ。 気を引き締めなさい。』


『申し訳ありません。 少し無駄話が過ぎました。』




あの子が誰と遊ぼうと気にする必要なんて今までなかった。 特定の女の子と仲良くしていることを聞いても高校生の好奇心からくるものだと気にも止めていなかった。 その私の甘さが仇になり、あの子に隙をつかれるとは。 


まさか、お義母様に紹介するとは思わなかった。 

お義母様が関わった以上、もう見過ごすことは出来ない。






キィィーー..ガチャ

『副社長、到着しました。』


『ええ。 さぁ、行きましょう。 役員達が待っているわ。』

お読み頂き有難うございます。誤字脱字がありましたら直ぐに直しますので教えてください。

参考にさせて頂きますので感想、評価宜しくお願いします。

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