お婆様のカフェ♪
拙い文ですが気楽に読んで頂ければ幸いです。
ファンタジー要素も多いので現実では起きないような事も起こります。ご了承の上お読み下さい。
ガタンゴトン、ガタンゴトン...
皆と分かれ、私と先輩は電車で隣町にある先輩のお婆様のカフェに向かっていた。
チャプン..ゴロ..チャプン..ゴロゴロ..
フッフッフッ、、やっぱりクーラーボックスを持ってきて大正解だったなぁ。当初の目的とは違うけどこんな形で役立つとは!
ナヨ君が私の荷物を持って帰ってくれる事になったが、ミニクーラーボックスだけは渡さなかった。
『モモ、何でナヨにクーラーボックス渡さなかったんだ? 』
「フフッ、これは渡せないんですよ。この中にはお婆様へのお土産が入ってるんです。」
『ばあちゃんに? まさかアサリが入ってんの?!』
「はい♡採れたてだからきっと新鮮で美味しいはずです♡」
『喜ぶとは思うけど、アサリなら海水も入れてるんだろ? 重いから俺が持つよ、貸して!』
「良いんです。こうやって自分で運ぶことで愛情を込めているんです。」
『でも、、、フッ、言っても無駄か。辛くなったら直ぐ言えよ。俺が持つから。』
先輩のお婆様に初めて会った時に沢山おもてなしして頂いたから、今日は少しでもあの時のお返しをしたい。急だったけど、こんなに良い手土産は他にはないだろう。
フフッ、、喜んで頂けると良いなぁ♪
『おやぁ、潮干狩りですか?』 え?
急に声を掛けられ顔を向けると、白髪混じりのお爺さんがどうやら私達に話しかけているようだ。
『はい。かいかい海岸の帰りなんです。』
『そうですか。そう言えば今年は大漁と聞きましたねぇ。その様子だと彼女も十分楽しんだようで、きっと良いデートになったでしょう。』
「はい♪ 楽しかったですよ♪」
『ハハハッ、本当に可愛いお嬢さんで。 いつまでも童心を忘れないでいてくださいね!』
なんだか良く分からないが、褒められたのか? なぜ?
『モモ、次の駅で降りるぞ。』
「分かりました! それじゃあ、お爺さんサヨナラ!」
『はい。さようなら。いつまでも仲良くね。』
先輩と一緒に電車のドアまで移動すると、ふとガラスに写った自分の姿が目に入った。
げっ!! なんだこのボサボサ頭! それに炭や泥があちこちに付いた汚い身なり!! 私、こんな汚い身なりで先輩とずっと一緒だったの?!
あのお爺さんが言ってた童心って、これが原因か!! 確かに今時の女子高生は泥んこまみれになんてならないもんな。
これから先輩のお婆様の所に行くのにどうしよう、、。
《 珀が可哀想だと思わないわけ? 》
ふと、思い出したくない言葉を思い出してしまった。 はぁ、、こんなに汚い子が彼女だと思われると本当に先輩が可哀想だわ..。
「先輩! あの、私一旦家に帰りたいんですけどダメですか?! 後、余り私に近付かないで下さい!」
『え? どうして?』
「だって。 私今、頭もボサボサで炭とか砂で凄い汚いから。 一緒にいると先輩が笑われちゃいます。」
『バカだなぁ。 そんなの気にしなくて良いよ。 モモはどんな姿でも可愛いんだから。』 ナデナデ♡
先輩が優しく頭を撫でてくれる。 うぐっ、、やっぱりこのまま行かなきゃ行けないのか。
『モモ! さぁ、下りるよ!』 ギュ♡
先輩はこんなに汚い私の手を全然恥ずかしがることなく繋いでくれた。
そうだよね、先輩は身なりがどうこうで人を評価する人じゃないもんね。
ほこ♡
よし! 身なりがダメなら、気持ちでカバーしていこう!! このアサリさんを大事に運んで、喜んで貰うんだ!
木々に囲まれた中心に一軒の古びた洋風のカフェ。
歴史を感じる風格で、周りの草木に自然と溶け込むヴィンテージ感。
懐かしい~~♪♪ やっぱり先輩のお婆様のカフェ、好きだぁ~~♡♡
『モモ! 何してんの?! 早くおいで!』
カフェに続く並木道、門の手前でカフェが佇む風景を満喫していた私を先輩が呼ぶ。
「あ、はい!」 タッタッタッ...
ガチャン・・・。
『あれ? 閉まってる。』
「え? 留守ですか?」
『嫌、この時間は何時も居るはずなんだけど。裏庭かなぁ。 モモ、行ってみようか。』
「はい!」
前回、来た時はカフェの裏には行っていない。正面からは建物の両サイドに木々が並んでいて裏庭がどうなっているのかは分からなかった。どんな風になってるんだろう? 楽しみ~~♪♪
カフェの横の木々を抜けて裏庭に出ると、
「!!! うわーーー!!! 凄いーーー!!!」
目の前に広がったのは東京ドーム2個分はありそうな開けた空間だった。
手前は噴水をメインとしたイングリッシュガーデン風になっていて、芝生の上に置かれた青銅で作られたガーデンテーブルとチェアがとっても可愛い。奥はガーデンスペースより1段下がっており、きちんと土が耕されていてどうやら畑になっているようだ。
ドッドッドッドッ.... ん? トラクター?
『いた! ばあちゃんだ!』
「え?! あの大きなトラクターを運転してるのお婆様なんですか?!」
『うん! 前は爺ちゃんが畑を管理してたんだけど、爺ちゃんが死んでからは、ばあちゃんが免許を取って一人で管理してるんだ!』
「ふぇ~~、凄いですねぇ!」
あの可愛らしい感じのお婆様がトラクターを? しかも一人でこのだだっ広い畑を管理してるなんて、見た目からは想像もできないパワフルさだ。
『フフッ、俺のばあちゃん凄いだろ♪ おーーい!! ばあちゃーん!!』 ブンブン!!
「!!!」
先輩が普段余り見せないはしゃぎっぷりでお婆様を呼ぶ。
先輩のこんなに嬉しそうな姿、初めて見た。
「先輩もそんなにはしゃぐことあるんですね~! 以前来た時はそんなにはしゃいでなかったのに。」
『うっ、、。だって、あの時はまだモモと知り合って間もなかっただろ。俺、ここで爺ちゃんとばあちゃんと一緒にいる時だけが何のしがらみもない自分になれたんだ。だから、ここに来ると自然とテンションが上がっちゃうんだよ。モモの俺のイメージ崩しちゃったな。こんな俺、変だろ。』
変って言うか、、何て言うか、、、 何とも、、萌ゆる♡
何なのこのギャップ! 可愛すぎか!
「フフッ♡ 全然変じゃありません。寧ろ、こんなに可愛い先輩を見れて嬉しいです♡」
『可愛いってなんだよ! 可愛い奴に言われたくないっての!』
「フフフッ♡ ねぇ、先輩。」
『な、何だよ。』
「私以外に、そんな可愛い先輩見せないで下さいね♡」
『××××~~..。 モモ、可愛すぎ!!』
フフッ、本当にこんなに素の先輩を見たのは初めてだ。 私だけが知ってる先輩が増える事が幸せだ。 ただ、好きだから一緒にいる。 それなのに、どんどん私を幸せな気持ちにさせてくれる。 改めて思う。
私は先輩が大好きだ。
お読み頂き有難うございます。誤字脱字がありましたら直ぐに直しますので教えてください。
参考にさせて頂きますので感想、評価宜しくお願いします。




