表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/87

レール

拙い文ですが気楽に読んで頂ければ幸いです。

ファンタジー要素も多いので現実では起きないような事も起こります。ご了承の上お読み下さい。




ガヤガヤ、ガヤガヤ....

『おばちゃん、俺A定食ねー!』『私はBで!』.....ガヤガヤ.....




「パクっ...モグモグ...パクっ...モグモグ...ゴクンッ...」

モモにまた感情をぶつけてしまった。 あんなこと言ったんだ。 モモは暫く俺に会いには来ないだろう。 他の誰でもない、俺自身がモモがいないとダメな癖に。 自業自得だ。 でも、昨日の事といい、今朝の事といい、モモは一体どうしたんだ? 何をそんなに焦ってる?


《先輩のご両親に認めて貰うには並大抵の努力じゃ足りないんですよ!》


俺の親の事に随分固執してたな。 そう言えば、昨日もそんなようなことを言っていた。


《私達がこの先、誰を相手にするのか考えて下さい!》


あれは俺の親の事を言ってたのか。 でも、何で急に焦りだしたんだ? 

モモの両親の前で初めて俺の親の話をした時は、驚きはしていたが普通だった。 昨日の朝も少し挙動不審気味だったが、何時ものモモだった。


となると、モモの様子がおかしくなったのは倒れた後だ。

倒れた後に何があった? 


《こんなことやってるから激甘なんて言われるんです!!》


それにあの言葉。 モモは自分がそう思ったって言ってたが、どう考えてもおかしい。 誰に言われたんだ? 昨日、モモは授業に出ずに帰ったとナヨが言っていた。 だったらモモが会った人物は限られているはずだ。

とすると、思い当たるのはアイツか、、。



『珍しいわね! 珀が学食に来るなんて初めてじゃない?』 

「!」

急に声をかけられて顔を上げてみれば、幼馴染みの南 夏音(カノン)が立っていた。


「南。 何だよ、何か用か?」

『何か用かって相変わらずつれないなぁ。 少しは昔の幼馴染みの事にも興味をもってよね! どうせ、今だって何時もの彼女の事でも考えてたんでしょ。』

「絡んでくんなよ。」

南の親は有名芸能人で俺の母親が女優だったときの知り合いだ。だから幼少の頃から会う機会が多く、同じ小学校に行くことになってからは特に一緒にいる事が多くなった。南と俺は親が特殊な事もあって良くも悪くも周りから浮いている存在だったからだ。それは親が世界的な通信会社CEOの安倍も同じで、いつも3人でつるんで遊んでいた。

中学で南が別の学校に進んでからは会う機会もなくなっていたが、南は突然高等部の一般入試で入学してきた。それからは同じ特進クラス同士だからとこうして何かと絡んでくる。


『ねぇ、ここ座っていい?』

「良いけど、俺これ食べたら直ぐに行くぞ。」

『ちょっと! 私に少し位時間をさこうとは思わないわけ?!』

「フッ、思わないね。」

俺には少しだろうと時間がない。それでもモモのことは別だ。この後生徒会の仕事があるが、合間の時間を使ってモモが倒れた後に会っただろう人物に会いに行く。 


『もう、失礼しちゃう! これでも私、今モデルの仕事もしてて凄いモテるのよ!』

「知ってるよ。 安倍から聞いた。」


『ねぇ珀、何で今日は学食なの? 彼女と喧嘩でもした?』

「まぁ、ちょっとな。」

喧嘩か、、誰よりもモモが大事なのに何やってんだか俺は。 それもこれもモモが勝手に一人で焦ってるのが原因だが、理由が分からない事にはどうすることも出来ない。


『へぇ~、でもたまには離れてみるのも良いんじゃない? あっ、そうだ! 今度、私とーー...』


早くアイツに会って何があったのか聞き出さないとな。 でも、相手はアイツだぞ。 生徒会に行くまでの時間で足りるか? 昼食なんて食べてる場合じゃない、、1秒でも早く行かないと! 


『ねぇ聞いてるの! 今度私と、「悪い、俺やっぱもう行くよ。 じゃあな!」 ガタッ!


少しの時間でも惜しい。 何があったのか絶対に突き止める。 スタスタ....


『ちょっと、珀!!』 










理科学室 ーーー この扉の向こうにアイツがいる。


ドクン、ドクン、、くそッ、何怖じ気づいてるんだ! こんなんじゃアイツに太刀打ちなんか出来ないぞ! モモに何があったのか聞き出すんだろ! しっかりしろ!

 

コンコン...『どうぞ。』 


アイツの声が聞こえて、ドアノブを持つ手が震える。

ガチャ...「失礼します。」


クルッ..『何だ、珀じゃないか。』

こうして2人きりになるのは何時ぶりだろうか。 俺は、コイツが苦手だ。 


「・・・・・・。」

『どうした。 何か用があって来たんじゃないのか?』


「昨日、、モモを送って行ったの兄貴だろ。」

『...あぁ、そうだが。 それがどうした?』

「モモに何か言ったのか?」

『何かとは? 一体何が聞きたいんだ?』

「モモが昨日倒れてからおかしい。 兄貴が俺達の事を何か言ったんじゃないのか?」

『私は担任として大切な生徒を自宅に送っただけだが。 (スチャ) そうか、お前と広瀬は付き合ってるんだったな。 昨日の事か、、あぁ、思い出した。 彼女と話すのが楽しくてつい話しに夢中になったよ。 そのせいでか、具合を更に悪くしてしまったみたいで申し訳ないことをした。彼女に会ったら悪かったと言っておいてくれ。』

やっぱりそうだ。 コイツがモモに何か吹き込んだんだ。


「クッ、、何を話したんだよ! 親の事か?! 俺達の事を激甘とか言ったのも兄貴だろ! モモは放っておいても自分を追い詰める奴なんだ! あんたのせいでまたモモが苦しむだろ!」


『クックックッ、、必死だな。こんなお前が見れるとは本当に面白い。』

「何だよそれ。 俺は真面目に話してるんだぞ!」

この全てを嘲笑うかのようなコイツの笑い方が嫌いだ。  


『あぁ、悪い。別にバカにしている訳じゃないんだ。お前も広瀬も見てて本当に面白くてつい笑ってしまうんだよ。』

「何も笑えるとこなんてないだろ!」

本当に嫌な奴だ。 昔からコイツは全てを見通しているかのように周りを振り回す。


『嫌、実に滑稽で面白いんだよ。 珀、お前広瀬の両親に挨拶をしに行ったんだってな。 広瀬の事を大事にしてるだって? あの2人に認めて貰えるなんて本当に思ってるのか?』

「挨拶の何が悪いんだよ! 大事にしたかったら当然だろ! あの2人にだっていつかきっと、」

『無駄だよ。 お前達は認められない。 嫌、こういった方が分かりやすいか。 珀、お前はあの2人の敷いた()()()()()()()()()()()()。』


「何だよ、、レールって、、」  やめろ... 


『本当に分からないのか? 哀れだな。 お前はTmTホールディングスを継ぐんだ。 その為に2人が決めた一流の大学へ行き、一流の人脈を作り、一流の女性と結婚する。 確かに広瀬は優秀だ。 でも、()()()()()()()()()()()()()。』


「クッ、、何で、、」  聞くな...ドクンッ、ドクンッ...


『フッ、何で? そんなの簡単さ。 彼女は2人が求めるものを持っていないから。 お前の結婚する相手にはTmTホールディングスを更に大きくする後ろ楯が必要なんだよ。 彼女はそれを持っていない。 だから彼女とは結ばれることは()()()()()。  フッ、、意味が分かったか? まぁ、遊びの付き合いなら気にすることはない。 あの2人のことなんて気にせず今を楽しめばいいさ。』


頭の中が真っ白になった。 答えは分かっていた。 でも、認めたくなかった。 今更ながらに、あの2人の存在が呪縛のように俺に纏わりついていく。


「・・・・・・。」

『何をしている。 もう話しは終わっただろ。 俺は忙しいんだ早く出ていけ。』

何も言い返せない自分の不甲斐なさに腹が立つ。 


「クソッ、、、」 クルッ、、

『あぁ、そうだ。 珀、俺とお前は立場が違うんだ。 学校ではちゃんと先生と呼ぶように。 (スチャ)分かったかな? 珀()!』


イラッ! 今、それ言う必要あるか?!

「失礼しました! 先生!!」 ガチャ!! バンッ!!








キーンコーンカーンコーン...


「クソッ、、また間違えた。」

あの後何とか生徒会の仕事をこなしたが、ずっと胸がムカムカしていた。

この休み時間の間に終らせようと思っていた予算報告も全然進まない。 さっきからミスばかりだ。


()()()()()()()()()()()()()。》


俺とモモが将来結ばれる可能性はほぼない。 そんな俺がモモとこのまま付き合っていて良いのか? いずれモモの前から消え彼女を傷つけると分かっているのに、モモのレールの上にこのままいても良いのか?



『は~~くっ!』 ニコニコ♡

「え?」 突然意識を戻された。 


俺は今、、何を考えてた? 


「何だよ、安倍、、」

『フッフッフッ! 朝から珀が元気ないからさ、俺が良いもの持ってきてやったぜ! じゃ~~んっ! これな~~んだ!!』 

出されたのは見覚えのある手提げバックだ。


「これ、、何でお前が持ってるんだ?」

『驚いただろ! 何でだと思う?』

「モモが、、ここに来たのか?」

今朝あんなことを言った俺に、モモが会いに来たのか?


『いや、ここにっていうか~~、なんていうか~~、』

「早く答えろよ!」

『わ~かったって! 階段で会ったんだよ! 可哀想に後一歩が踏み出せなくてずっとモジモジしちゃってさ、困ってたみたいだから俺から声をかけたんだ。 お前達喧嘩でもしたのか? モモちゃん可哀想だったぞ~、お前が学食で昼飯食べてたって言ったら今にも泣きそうでさ~。』


「ーーーッ!」

泣きそうな顔?! 俺はまたモモを、、大事にするって約束したのに。


『まぁ、付き合いが長ければ喧嘩する事もあるだろうけど、モモちゃんは珀にとって大事な存在なんだろ? 何があったか知らないけどさ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()!

本当に大事だと思える存在なんてそんなに簡単に現れるもんじゃないからな! ほら、これ食べるだろ!』


「、、、ありがとう。」


《周りに流されて大事なものを忘れるな》 


そうだな、、、たまには良いことを言うじゃないか安倍! 


「俺、ちょっと行ってくる!」 タッーーー

『おーーっ、頑張れーー!』



タッタッタッタッ......

俺は昔からずっと兄貴と比べられていた。兄貴は何でも出来て誰もが兄貴の事を認める。あの2人ですら兄貴の事は認めていた。俺も小さい頃はそんな兄貴に憧れ、尊敬していた。


でも、大学院に進んだ頃から兄貴は家に寄り付かなくなり、あの2人は兄貴ではなく俺に会社を継がせようと動き出した。 


それから俺はずっとあの2人の操り人形だ。 


モモと出会う前までは、自分の人生に希望なんて抱けなかった。モモと出会って初めて自分の人生に希望の光が持てるようになった。 

モモが俺の側に居てくれれば、俺は何にでもなれる。 


もう答えは出てるじゃないか。


何が後ろ楯だ! 何がレールだ! そんなのクソくらえ! 



俺にはモモが必要だ!   それが、、全てだ!!

お読み頂き有難うございます。誤字脱字がありましたら直ぐに直しますので教えてください。

参考にさせて頂きますので感想、評価宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ