初めまして、僕が一般入学生です。
ピンポンパンポーン…
『1年特進クラスの広瀬モモさん、至急職員室の東大寺先生の所に来てください。』
はい。今日も私は東大寺先生に絶賛駆り出され中です。
チッ、、またかよ!!もう知らん!絶対行くもんかー!
「・・・。」
『モモさん、呼ばれたよ。』
「・・・。」
『モモさん、行きなさい。』
「・・・。」
『モモさん。Go quickly!』
「うっ、、寧ちゃんまで私を突き放すの?う、うわ~~んっ!!このクラスに私の味方なんて居ないんだ~~っ!!」
ガジッ、、ズルズル、、ポイっ。
寧ちゃんに教室から放り出されてしまった。
、、仕方ない、行くか。
ガラッ「失礼します。」スタスタ...
「東大寺先生、お呼びでしょうか。」
『遅い!』
「すいません。生理痛が酷くて直ぐに動けなかったもので。今回は何のご用ですか。」フンッ、嘘だけどね。
『ゴホン、、そう言うことならば致し方あるまい。呼び出した理由は、引越し手続きで入学が遅れていた一般入学生が来週から出席出来ると連絡があった。一般入学の為、この学園のルール等も分からない事も多いだろうから簡単な案内冊子を作ろうと思いそれを君に頼みたい。』
「え?何で私が?」
『何でって、君が特進クラスの学級委員長だからだろ。』
「は?いつの間に私が学級委員長に?」
『いつの間にって、君が自己紹介で皆に貢献したいと立候補したじゃないか。』
へぇ~、あれをそう取りますか。そして、クラスの承認も取らずに決定なのね、、。まぁ、立候補しようとは思ってたけどさ。何か、勝手に決められたみたいで釈然としないんだよなー。
「...分かりました。では、副委員長と一緒に作りますので、副委員長を教えて下さい。」
『副委員長は一般入学生だから今は居ない。』
『え!一般入学生をいきなり副委員長に?それはいくらなんでも可哀想では?』
『大丈夫だ。一般入学生には了承を得ている。初めは大変かも知れないが、学級委員になれば、言わずとこの学園に深く関わることになるから早く学園に慣れることが出来る。何より、君が学級委員長だから全て君が率先して仕事をすれば問題ないだろう。』
うっわ、この人ってば私に全ての仕事を放り投げる気だ!心なしか東大寺先生の顔がほくそ笑んでるように見える!
こんなの辞退、、ハッ、いや待てよ。これは逆に好機では?
「(ニコ~ッ)分かりました。私にお任せ下さい。」
放課後。
『モモちゃん、今日も居残りなの?』
「うん。この冊子を仕上げたら帰るよ。」
『ふぅ~~ん。大変だねぇ~~。副委員長も一般入学生なんでしょ?此からの苦労を考えたら僕だったら学級委員を辞退してるよ。益々、東大寺先輩との時間が減っちゃうのにモモちゃんは人がいいんだからぁ~。』
フッフッフッ、、違うよ、ナヨ君。私はあえて損な役回りを引き受けたのですよ。そう、自分のために!
私は気が付いたのだ。逆にこのまま東大寺先生に呼び出され続けるよりも、学級委員を引き受けたほうが上手いこと自分の時間を作れるということに!
私は中等部1年の頃から学級委員、生徒会をやっている言わばこの道のプロだ。そんな私の手にかかれば、上手いこと自由な時間を作るなんてお手のものなのだよ!!フッフッフッ、オーホッホッ!これで東大寺先輩と学校でもラブラブ♡出来る!!
先生、、、あなた墓穴を掘りましたね!!
ピーチクッ...チュンチュンッ...♪
『おはよう、モモちゃん!』
「おはよう、ナヨ君!いや~今日は良い天気だね~♪」ニッコ♡ニッコ♡
『今日は朝から随分ご機嫌だね!週末何か良いことあった?』
「いや~、今日は何か良いことがありそうな気がしてさ♪」ニマニマ♡
そう、私は今とてもご機嫌だ。この週末、どうしたら自由な時間を作れるか練りに練って計画を立てた。高等部に入学して1週間、散々東大寺先生に邪魔されて、花のJKどころか、社畜のような生活を送っていたがそれも今日で終わりだ!今日から私の楽しい楽しい高校生活、嫌、東大寺先輩とのラブラブ♡生活が始まるのだ!!
『モモ、おはよう!』
「おはようございます、先輩!」
私は毎朝学校近くの公園で先輩と待ち合わせをしている。先輩が高等部に入学したのを機に少しでも一緒にいられるようにと始めた2人の決まり毎のようなものなのだが、東大寺先生に呼び出されるようになってからこの少しの時間すら取ることが出来ないでいた。
『こうやって待ち合わせするの凄い久々な気がするな。』
「本当ですね!同じ高等部の制服で待ち合わせすると、今更ながらやっと先輩と同じ高等部生になれたんだって気がします。なんか新鮮ですね!」
『本当だな。今更だけど制服、似合ってるよ。』
「フフッ♡ありがとうございます♡」
先輩と仲良く手を繋いで、多和いもない話をして学校に向かう。
あ~~、何て幸せなんだ~~♡
『今日からは一緒に登下校出来るのか?』
「はい!バッチリ計画を練ってきたから大丈夫です!あの先輩、登下校もそうなんですが、良かったらお昼のお弁当も一緒に食べませんか?」
『(ニコッ)いいよ。じゃあ、校庭のベンチで待ってるからな。』
「はい♡」
順調だ、、順調~~♡♡今日から私のリア充生活が始まるのよ!!オーホッホッ!!
ガラッ「おはよう、みんな!」
教室に行くと何やらクラス中がザワついている。
「おはよう、寧ちゃん!セナ君!伊東君!」
『おはよう。モモさん。』
『はよ。』
『おっす、隊長!』
「ねぇ、みんな落ち着き無いけどどうしたの?」
『あぁ、一般入学生のことでみんな朝から騒いでるみたいだ。』
『ねぇねぇ、広瀬さん!今日から一般入学生がくるんでしょ?広瀬さんはもう見たの?』
クラスの女子たちが興味津々で聞いて来た。
「私はまだ見てないけど、今日から登校するって先生が言ってたよ。」
『でもさ~、引越しに1週間もかかるなんて、もしかしてえっらい山奥から来た、すんげ~田舎者だったりして~。』
『何言ってんのよ、伊東君。2組の子が朝見かけたらしいんだけど、超美形らしいよ!』
『私もそれ聞いたー!他にも何人か見かけたみたいだけどみんなイケメンって言ってたよ!』
『広瀬さん、一緒に学級委員やるんでしょ?名前とか何か聞いてないの?』
「名前?、、ごめん、何も聞いてない。」
そう言えば私、自分の自由時間をどう作ろうか計画を練ってばかりで一般入学生の事全然聞いてなかった。
『お前、此から一緒に学級委員やるのに名前も何も知らないってあり得ないだろ。もしかしたらとんでもない奴かも知れないのに大丈夫かよ。』
うっ、、ごもっともですセナ君。返す言葉もありません。
そうだ、勝手に安心しきってたけど、性格に難ありとか、不良とか、とんでもない爆弾を抱えている人の可能性もあるのだ。
どうしよう、、今更ながらに不安になってきた。
ガラッ、、、
『おはよう、諸君。ホームルームを始めるから席に着くように。』
東大寺先生が教室のドアを開けみんなに声を掛ける。後ろに誰か居るようだ。
きっと例の一般入学生だろう。みんながどんな子かワクワクしながら東大寺先生の後ろの子に注目する。
カッ、カッ、カッ... え、、、何で、、、!!
『さぁ、自己紹介をしなさい。』
『はい。』
『初めまして、僕が一般入学生の ブライアン・ハッシュフィールド です!』
何で? 何で、ブライアンがここにいるの!!? ブライアンが一般入学生ってどういう事!!?




