決戦の日
拙い文ですが気楽に読んで頂ければ幸いです。
ファンタジー要素も多いので現実では起きないような事も起こります。ご了承の上お読み下さい。
「付き合って初めてのデートしましょ♡」
今度の日曜日、モモちゃんは東大寺先輩との約束を破る気だ。
東大寺先輩を傷つけたくないけど、私にはどうすることも出来ない。先輩の傷付く顔を見るくらいなら、いっそのこと消えてしまいたい、、。
コンコンーーー
『モモちゃん、僕だよ。入るね。』
ナヨ君?!あんなに冷たくされたのに、何で来たの?
ガチャ。
「、、何よ。入っていいなんて私言ってないわよ。」
『僕、知ってるんだよ、、。今のモモちゃんは前のモモちゃんでしょ。』
えっ!な、何でナヨ君その事知ってるの?!
「はぁ?何言ってるの、馬鹿らし。」
『2重人格。そうでしょ?』
2重人格?2重人格って、あの2重人格?
2重人格は心に強いストレスを受けたときに自分の心を守るための防衛機制として、自分の中に自分ではないもう一人の人格を作り上げるものだ。
確かにモモちゃんの中に違う人格の私が居るんだから似ている気もする。だけど、私には前世の記憶がある。本物ならまだしも偽物に前世なんてあるはずがない。それに2重人格の場合、もう一人が表に出てる時の記憶は無いって聞くし、ここも当てはまらない。やっぱり私は邪魔な存在に他ならないんだ。
『やっぱりね、、。オリジナルのモモちゃんをどうした!!』
「うるさい!!黙れ、黙れ、黙れ!!!オリジナルは私だ!!私が本物のモモだ!!」
ナヨ君がここまで怒る姿は初めて見た。私のためにこんなに必死になってくれてる。邪魔者にそんな価値なんかないのに。
『違うだろ。、、オリジナルはもう一人のモモちゃんだ。お前は偽物だろ!!』
「な、何を言っている、、。」
『頭をフル活動して考えたら、思い出したんだ。4才頃迄、モモちゃんは心の優しい子で、自分の事より周りを優先する子だった。聞き分けも良くて、頑張りやで、時折子供とも思えない物言いで周囲を驚かせていた。それが、ある日突然ワガママになった。周りの大人たちは遅れてきたイヤイヤ期だなんて言ってたけど、あの時お前が入れ替わったんだろう?』
え、どういう事?今のモモちゃんは元々のモモちゃんじゃないってこと?
ナヨ君が言っている事が本当だとしたら小さい頃私は本当のモモちゃんとして生活していた可能性がある。4歳頃なんて小さすぎて記憶がないのも当たり前だ。それに、私の意識が消えないのも、モモちゃんが体を支配していた時の記憶が無いのも2重人格の症状であれば説明がつくけど、、。
そんなの私にとって都合が良すぎる。現に、何で今モモちゃんの言動が分かるのか説明がつかない。でも、、モモちゃんに聞くしか今は知る方法がない!
(本当なの?モモちゃん、何か知ってるなら教えて!)
「違う、、、うるさい、、、」ボソッ。
『モモちゃん、聞いてる?!偽物何かに負けないで!!戻ってきてモモちゃん!!!』
ナヨ君、こんなに必死に、、。こんな姿を見せられたら、当の本人の私が諦めてる場合じゃないよね。
(モモちゃん、お願い教えて! 本当は私がオリジナルなの?!)
「だぁぁあまぁぁあれぇぇぇえ!!!!」
プツンーーーーーーーー
突然視界が途切れた。そして、広がる闇。闇はどんどん広がり、私を飲み込んでいく。思考が途切れていく。
( 何これ、、。私、今度こそ消えちゃうの? やっぱり、私が邪魔者だったってことか、、。もういいや、、これでもう、、誰かが傷付くのを、見なくて、すむ、、。 )
「セナ君お待たせ♡ 私とっても楽しみで、、、って、何でナヨ君がいるの?!」
『お前からモモちゃんを取り戻すために来たんだ!』
「どういう事、セナ君!!」
『ナヨから2重人格の話を聞いた。』
「セナ君、私の事信じられないの!?私の事好きなんでしょ!」
『今のお前は、俺の好きな広瀬じゃない。俺は友達の事を自分の事以上に大切にする広瀬を尊敬してるし好きなんだ。ナヨに対する態度を見てお前は違うって分かった。』
『そう言うことだ!お前の味方は誰もいないぞ!早くモモちゃんを返せ!!』
「どいつもこいつも、本物本物って!!お前たちに何が分かるんだよ!私は完全に要らないって言うのかよ!、、じゃあ、私はなんの為に生まれたんだ!!」
『どういう事だ?!知っていることを話せ!お前がモモちゃんを乗っ取ったんだろ!』
「違う!!、、始めは只の遊びだった。保育園で大好きな両親のことを年寄りって毎日バカにされてたのに、アイツは何も言い返せなくて毎日泣いてた。その内にアイツが一人遊びの中で言いたいことを何でも言える自分を作り出した。何か嫌なことがある度、もう一人の自分になりきってたまったストレスを吐き出す遊び。ある日、ナヨ君がアイツに『モモちゃんの本当のパパとママは何処にいるの?何時も一緒に居るのはおじいちゃんとおばあちゃんでしょ?』って言ったんだ。」ピキッ
『え?僕が?!そんな記憶ない!』
「記憶がなくて当たり前。その時のナヨ君にとっては本当に只の疑問だっただけだから。思ったことを口にして、相手を傷付ける可能性なんて全く考えてない。子供は残酷なんだよ。でも、アイツは保育園で唯一信頼してたナヨ君にも裏切られたと思った。だから、自分で自分を閉じ込めたんだ!」ピキッ
『、、、じゃあ、僕が原因ってこと?』
「ナヨ君が止めを刺したってだけ。色々限界だったんだ。アイツは前世の記憶をうっすらと覚えてて色んな事に違和感を感じてたから。それもストレスになってた。そしてアイツは閉じ籠り私が残った。私は私のしたいように生活した。言いたいことは我慢せずに言った。それが私だから。なのに皆して私を非難してくる!私はそう言う存在なのに、私を変えようとしてくる!でも、セナ君だけは違ってた。私の望みは何なのか考えて側にいてくれた。私は本当にセナ君の事好きなんだよ!」ピキッ
『そんなの、本当に相手を好きとは言わないよ!お前の好きはただの押し売りだ!本当に好きなら好きな相手には幸せになってもらいたいはずだ!お前は自分の気持ちだけでセナ君の幸せを考えてないじゃないか!』
「うるさい!私は本当にセナ君の事を、、」ピキッ
『、、ありがとう。でも、俺が好きになったのはお前じゃないんだ。お願いだ。広瀬に身体を返してくれ!』
「アイツはセナ君の事、友達としか思ってないよ!私とだったらセナ君と一緒に居られる!」
『それでも!、、それでも俺は本当の広瀬に戻ってほしい。』
「何で!?セナ君まで私を必要ないって言うの?、、アイツは自分で消えたんだよ!私は、嫌だ!消えたくない!」
『大丈夫。、、俺は2人は別じゃないと思う。お前は元は広瀬の感情なんだ。お前も広瀬の一部なんだよ。元々1つだったのが元に戻るだけだ。だから、消えることなんてないんだ。』
「でも、アイツは自分で消えて、、。」
『東大寺先輩!!来てください!』
「東大寺先輩?、、ナヨ君、何言って、」ピキピキッ
『広瀬!!』
「、、東大寺先輩、どうして、、。」
『広瀬、ただいま。 どうしてって、今日一緒に夏休みらしいことするって約束してただろ? 約束、破るのか? 何時も、一緒にいるんだろ?』
『 早く、、出てこいよ、、 』
ドクンッ!!! パリーーーーンーーーーッ
気が付いたら、目の前に優しい笑顔の東大寺先輩がいた。
「 東大寺先輩、会いたかったです。 」
お読み頂き有難うございます。誤字脱字がありましたら直ぐに直しますので教えてください。
参考にさせて頂きますので感想、評価宜しくお願いします。




