暴走
拙い文ですが気楽に読んで頂ければ幸いです。
ファンタジー要素も多いので現実では起きないような事も起こります。ご了承の上お読み下さい。
(ちょっと、モモちゃん!あなた何するつもり?それに、ナヨ君の試合を見ないってどうして?!あの子を傷つけるようなことしないでよ!!)
(ちょっと!!聞こえてるんでしょ!!何とか言って!)
私の意識は今回も消えなかった。でも、今モモちゃんの体を動かしているのはモモちゃんの意識。完全に意識が入れ替わってしまったようだ。
救護室でモモちゃんが目覚めた時に私の意識もまた目覚め、モモちゃんが見ている視界を通してモモちゃんの言動を把握することが出来た。
それにモモちゃんの感情も感じとることが出来る。
目覚めてからモモちゃんはずっと黒めいた感情で、苛立っている。目覚めてからずっとモモちゃんに声を掛けているが、モモちゃんが返事を返すことはない。でも、モモちゃんの感情は私が話すたびに、大きく乱されているのが分かる。きっと私の言葉は聞こえているはずだ。
(モモちゃん!お願い私の話を聞いて!私が邪魔なのは分かってる。モモちゃんの体を勝手に使ってたことに怒ってることも分かってる。どうしてこんなことになってるか私にも分からないけど、私はモモちゃんの中に入り込んでモモちゃんの体を乗っ取った。その事は本当に悪かったと思ってるわ。本当にごめんなさい。でも、私にも分からない理由で起こったことなの。お願い!話をしましょ!)
モモちゃんはやっぱり返事をしてくれない。私が話すたびにイライラは増しているようだ。でも、諦めるわけにはいかない。このイライラした状態でまた周りの人を感情のまま傷つけるようなことがあってはダメだ。そんなのモモちゃんにも良くない。
(モモちゃん、私に怒ってるなら私はおとなしくするわ。あなたの邪魔もしない。だから、周りの人を傷つけるのだけはやめて!お願い!)
モモちゃんは返事をしてくれない。でも、今は見守るしか私に出来ることはないのだ。例えそれが自分を押し殺す事だとしても。
モモちゃんは結局、セナ君の試合しか見なかった。その視線は終始セナ君に注がれ、まるでセナ君にしか興味がないようだった。やっぱり、モモちゃんはセナ君の事を好きなままなんだろうか。
大会が終わった後、話があるって言ってたけど一体何を話す気なんだろう。本当だったら、私は自分の東大寺先輩への気持ちを話しセナ君の告白を断ろうとしていた。でも、モモちゃんが東大寺先輩へどんな感情を持っているかは分からない。何か良くないことが起こる気がする。
『広瀬、待たせて悪かったな。』
「セナ君、試合で疲れてるのに時間を作ってくれてありがとう。」
『嫌、いいんだ。話って何?告白の事ならもっと俺の事を見てから、』
「大丈夫。もうずっと見てきたから。」
『え?、、見てきた?』
「うん。十分見たよ。」
「私ねぇ、、、セナ君の事、好きだよ。」
やっぱりね、、。そうだと思った。
この体はモモちゃんの物なんだから、モモちゃんの好きなようにするのが良いのは分かってる。だけど、、がっつきすぎだろモモちゃん!まだ意識が入れ替わって数時間だよ!何故そこまでセナ君が好きなの?その愛情の少しでもいいから皆に分けてあげて!
『ありがとう。でもお前、他に好きな奴がいるんじゃ、、いや、何でもない。じゃあ、俺と付き合ってくれ!』
「もちろん♡」
はぁ~、こうなったかぁ。これって仕方ないのかなぁ。でも、東大寺先輩を好きな気持ちのまま、モモちゃんとセナ君を今後見ていくって、私耐えられるかなぁ。もうっ!何で私の意識無くならないの?これって拷問だよ?私が何をしたっていうんだっ!
モモちゃんはセナ君と付き合えることになってウキウキ気分だ。黒めいた気持ち
はすっかり無くなっている。
『モモちゃん!』
『ナヨ、お前来たのか。』
『セナ君は黙ってて!モモちゃん、何で僕の試合見てくれなかったの?僕、3回戦で負けちゃったけど結構いい線行ってたんだよ!』
「・・・そう。良かったね。」
『ちょっと!話し聞いてる?僕、何で見てくれなかったのって聞いてるんだけど!モモちゃん、今日変だよ!何時ものモモちゃんらしくない!』
「私は私のしたいようにしてるだけだけど、何か悪い?、、私らしいって何? 何も知らないくせに。」
『『え?』』
「フフフッ、2人ともどうしたの?変な顔して。」
『モモちゃん、本当に何かあったの?』
「フフッ、ナヨ君。私とセナ君ねぇ、付き合うことになったの。」
『え!』
「だから、、邪魔しないでくれる。」
『広瀬、お前、、』
「さ、一緒に帰ろう♡セナ君♡ じゃあね、ナヨ君。」
モモちゃんは、ナヨ君を一人残してセナ君を連れて帰った。ナヨ君に対して普通を装っているつもりなんだろうけど、明らかに物言いが冷たい。決定的な傷つけ方じゃないけど、繊細なナヨ君はきっと傷付いたはずだ。、、ごめんね、ナヨ君。
帰りはセナ君と2人きりだ。モモちゃんは早速、セナ君と手を繋げてゴキゲンだ。
『広瀬、ナヨも家の方向が一緒なんだから誘っても良かったんじゃないか?』
「そうかなぁ。私はそうは思わないけど。ナヨ君だっていつまでも私が一緒じゃ彼女とか出来ないじゃない。だからいいんだよ。そんな事よりセナ君、今度の日曜日一緒にどこかに行かない?」
『今度の日曜日って夏休み最終日か?』
「うん、そう。付き合って初めてのデートしましょ♡」
え?今度の日曜日って東大寺先輩と約束してた日だ!モモちゃんはその事を私の意識を通して知ってるはずだよね?!約束破る気?!ナヨ君への態度を見てると東大寺先輩にも失礼な態度を取るかも。
ど、、どうしよ~~~~!!!
お読み頂き有難うございます。誤字脱字がありましたら直ぐに直しますので教えてください。
参考にさせて頂きますので感想、評価宜しくお願いします。




