平常心!
拙い文ですが気楽に読んで頂けると幸いです。 ファンタジー要素が多ので現実では無理がある事も起こります。ご了承の上お読み下さい。
「よし、出来た!」
私は頂いた“ラッキーライラック"でしおりを作ることにした。
東大寺先輩の気分転換のために行ったライラック畑だけど、今日先輩と過ごした時間は私にとって忘れられない時間になった。
『モモちゃん、今日はとても楽しかったみたいね!貴女今とっても幸せそうな顔してるわよ!』
モモちゃんママが声を掛けてくる。
「うん♡ママ、今日は楽しかったよ!東大寺先輩もずっと笑顔だったし、力になれて良かったよ!」
『ふふふっ♡モモちゃんももう恋をする年頃なのね!』
「恋なんて、ちがうよママ!東大寺先輩は私なんかにはもったいない人なんだから。」
『まぁ、いいわ!モモちゃんにもその内分かるわよ♡』
このママの脳内お花畑もどうにかして欲しいものだ。恋なんて小学校の頃に封印しているのに。
小学校の頃、セナ君にときめいてしまった私は自分を戒めるためにがむしゃらに自分を追い込んだ。そうしている内にセナ君に対して特別な感情を抱く事はなくなった。その代わりに豊富な知識と屈強な身体を手に入れることが出来たのだ。今はそれで良い。自分でそれを望んでるんだから。
それから2ヶ月、東大寺先輩とは普通に接することが出来ている。
東大寺先輩は息抜きを覚え、以前よりもっと笑うことが多くなった。
あの笑顔を守れれば私はそれで満足だ。
それと、委員会の仕事も大分慣れて要領も掴めてきた。今では休み時間全部を委員会の仕事に費やすこともなくなり、1日の休み時間の半分は自由に使うことが出来るようになった。ナヨ君とも仕事を分散することで四六時中一緒に居なくても良くなった。私に依存ぎみだったナヨ君も此れで良くなっていくだろう。
勉強でも中間テストでは学年3位を取る事が出来た。何と、1位は伊藤。全国学力テストで3位だったのは本当だったのだ。くそ~、アイツが勉強の面で立ちはだかるとは思ってもいなかったよ。アイツが勉強してるところ見たことないからね!授業だけで覚えること出来るんだってさ!伊藤のくせに天才なんて許せん!!
来週には期末テストがある。今日から部活もテスト期間で休みだ。私はそこで学年1位を目指す!
「ナヨ君、私放課後は実習室で勉強してから帰るけどナヨ君はどうする?何だったら先に帰っても良いけど。」
『モモちゃんと帰りたいげど、今日は楽しみにしてた「愛のトライアングル」の発売日なんだよね。でも一緒に帰りたいし~、あ~~僕はどうしたらいいんだ~~!』
「そんなに深刻に悩まなくても良いから!今日は先に帰りなよ、勉強は明日から一緒にやろ!」
ナヨ君の依存症もまだまだ油断ならないな。少しずつ周りにも目を向けさせて行かなくては。にしても「愛のトライアングル」って。道明寺部長と松平部長の事件以来、愛憎劇に目覚めたのか!?益々変な方向に行ってるじゃないか!
私は一人で実習室に向かう。学園ではテスト前になると実習室を解放してくれ、誰でも自由に使うことが出来るのだ。過去問を用意してくれていたり、持ち回りで先生が1人居てくれて質問があれば聞くことが出来る。
「うわっ!結構いっぱいだなぁ、席あるかな?」
『広瀬、席ないのか?良かったらここ空いてるから座れよ!』
セナ君だ。それと知らない子が数人と、セナ君と一緒に学級委員をやっているミルクちゃん。このミルクちゃんは“ザ・女の子"って感じでフワフワしててとっても可愛い。
「ありがとう、セナ君。じゃ、お言葉に甘えて失礼します。」
一緒のテーブルの子達にも挨拶して座らせて貰う。他の子達もセナ君のクラスの子だった。相変わらずセナ君は男の子にも女の子にもモッテモテだ。
私には関係ないけど。さ、勉強しよっと!
カキカキカキーゴシゴシーカキカキカキ
『勇気くん、ここ教えてぇ♡』
カキカキカキーゴシゴシーカキカキカキ
『わぁ、勇気君、字綺麗~♡』
カキカキカキーゴシゴシーカキカキカキ
『キャ♡勇気君、手が大きい♡』
うっせぇーなあぁぁ!!イチャつきたいなら帰れよ!!!!
さっきから何なんだよ、このミルクちゃん!セナ君にベタベタベタベタ!
セナ君の事好きなのは分かったからさぁ、こっちチラ見すんのヤメロ!!
視界の角からお前がいちいちこっち見てるの見えるんだよ!はっきり言ってウザいから!!セナ君取ったりしないから安心してぇぇ!
イライラ、イライラ、、、。
『三浦、勉強に関係ない話するなら帰れよ。他の皆の迷惑だろ。』
『え~♡ミルクがめいわくぅぅ?ねぇ、モモちゃんさん!ミルクめいわく?』
チッ、、私に振るな!!何だよ、モモちゃんさんって、敬称に敬称着けんなよ!
「(ニコッ)、迷惑とかじゃないけど、なるべく話す数を減らしてくれると助かるかな。」平常心、平常心。
『ヒドイ!ミルクがうるさいって言うの?シクシク』
は?「うるさい」なんて言ってないよね?うるさいけど。
『三浦、いい加減にしろ。お前帰れば?』
『え~♡でも私、『うるさい、帰れ!!』』
『もう!勇気君のいじわるぅ!!』
ミルクちゃんは帰っていった。何なんだよアレ。・・・時間、勿体な!
其からは平穏に勉強が出来た。途中、東大寺先輩を見かけたから分からないところを教えて貰ったよ!さすが東大寺先輩、勉強の教え方も上手い!
(さ、帰ろ。)
『広瀬、帰るのか?もう暗いし送ってくよ。』
「え?そんな、悪いよ。」
『俺ももう帰るし、方向一緒なんだから遠慮するな。』
帰り道、親切にセナ君が送ってくれてるのはいいが、
うぅぅ、気まずい、、。話す会話がない。ここ最近はセナ君とプライベートで会うこともないしなぁ。委員会の仕事の話なんてつまらないだろうし、、。
『ナヨとは付き合ってないんだってな。』
え、何そのチョイス。急にそんなことなぜ聞く??
「うん。まさか、セナ君まで勘違いしてたの?」
『仕方ないだろ!何時も一緒だし、2人の様子も前と違うしな。今の2人は一緒にいて楽しそうだし。』
「嫌だねぇ、セナ君。私は心を新たに生まれ変わったんだよ。誰かに嫌がらせなんてしても楽しくないでしょ。だったら皆と仲良くして楽しく過ごした方がいいじゃない。」
『広瀬が変わったのは知ってるよ。でも、俺を避けてるだろ?』
うっ、ばれてる!
「そんなことないよ!セナ君には散々迷惑をかけたから私と関わるの嫌だろうと思ってただけで。」
『俺は、関わるのが嫌なんて思ってない。昔のお前だったら確かに嫌だったかも知れない。でも、今のお前ならもっと一緒にいたいと思ってる。だから、避けるなよ!』
「避けてはないけど、ミルクちゃんに悪いし。余り、絡むのもさ。さっきの感じだと付き合ってるんでしょ?」
『付き合ってない!アイツは関係ない。』
そんな、曇りなき眼でみつめないでぇぇ!
「あ!もう家だ!ありがとセナ君!それじゃ!!」
今だ!逃げろ!
グイッ!
『俺はお前ともっと話がしたい!避けるな!』
おいおいおい!セイセイセイ!落ち着け!手を離せ!
「わかった、分かったから!」
セナ君は「手を引っ張って悪かった」と言って帰っていった。
セナ君のあんな必死な顔は初めて見た。まだ、セナ君に掴まれた腕が熱を持っている。
「一体、どうしちゃったの、、、?」
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