番外編①
拙い文ですが気楽に読んで頂けると幸いです。 ファンタジー要素が多ので現実では無理がある事も起こります。ご了承の上お読み下さい。
楽しい楽しい修学旅行!のはずなのに・・・
なぜこうなった?
私は今猛烈に後悔している。
あれは修学旅行の班決めの時。私の不運はそこから始まった。
『よ〜〜し、修学旅行の説明は以上だ〜。次は班決めをするぞ〜〜。学級委員長〜進行してくれ〜〜。』
「では、4人1組の班をつくります。先ずは組みたい人同士で集まってみて下さい。後は多かったり少なかったりしたところで調整したいと思います。」
私の説明を聞き、皆んなが仲のいい友達同士で集まりだす。私もナヨ君とユナちゃんと一緒の班になろうと話し合っていた。1人足りないけど何とかなるだろうと。何だったら仕方なしに伊藤を入れてやろうくらいに思っていた。
「4人1組になってないのはナヨ君の班とセナ君の班と、根倉君の班だけだね。じゃあ、調整しようか。」
セナ君の班は6人、根倉君の班は3人。
3つの班で話し合い、私と根倉君の班にセナ君の班から1人づつ出してもらう事に話がまとまりかけた時、奴が動いた。
『え〜、俺とセナがナヨの班に入るから、学級委員長の隊長が根倉の班に入ってよ!よっ!隊長、太っ腹!!さすが!!』
『いいの?ありがとう学級委員長!!』
皆んながお礼を言ってくる。
は?私、いつ良いって言った?学級委員長ってならセナ君もだろ?!
『いや〜、広瀬氏ぃ〜奈良の大仏は圧感ですなぁ〜〜。こぉ、時代を感じるって言うか、本物はちがいますなぁ。』
『奈良の大仏は聖武天皇の発願で天平17年に制作が開始され、天平勝宝4年に開眼供養会が行われました。その後、中世、近世に焼損したため大部分が補作されており、当初に制作された部分で現在まで残るのはごく一部です。「銅造盧舎那仏坐像」の名で彫刻部門の国宝に指定されています。』
『流石、葉加瀬氏ぃ。博識ですなぁ。そう思いませぬか根倉氏ぃ。広瀬氏ぃ。』
『・・・・・ボソッ・・・・・ボソボソ。』
え?何て??
私は伊藤にまんまと嵌められ、1人だけ根倉氏ぃの、あっ、、ゴホンッ。根倉君の班に入れられた。
いや、根倉君の班も悪い人達ではないんだよ!
ただ、私とは話が合わないと言うか何と言うかぁ、、。
先ず、尾田久君。尾田久君はとてもお喋りだ。そして空気が読めない。バスの中で延々と推しの話をされた時は「もうやめてくれ!」と本気で懇願した。頭がどうにかなりそう。良い子なんだけどねぇ。
次に葉加瀬さん。葉加瀬さんは兎に角ウンチクが多い。聞いてもいないのに事あるごとに長々しい説明を入れてくる。
私だって最初は感心してたよ。でもさ、限度があるよね。ずっと興味のない説明を聞くのって苦痛でしかないから!
そして根倉君。根倉君は声が異常に小さく何を言っているのか全く分からない。わからないと言うことは意思の疎通が全く出来ないのだ。意思の疎通が出来ないから予想のつかない行動が多い。本人はちゃんと報告してるつもりなんだけどね、聞き取れないんだよ。今だって、突然1人で何処かへ行って、、あ、トイレか。
という事で、そんな3人に振り回され修学旅行の1日目を過ごした。今日は2日目、今の所1日目同様この3人に振り回されて全然修学旅行を楽しめていない。
どうしてこうなった?そうだ、全て伊藤のせいだ。
アイツめ、この旅行中に絶対に復讐してやる。
『広瀬氏ぃ、次は皆んなでお土産を買いに行きましょー。』
「そうだね!私、ママに奈良漬頼まれてるんだぁ!行こ行こ!」
こうなったら買い物でストレス発散だ!美味しい物の試食も楽しみだなぁ〜♡これが最後のお楽しみイベントだし、ここで挽回しよ!
『あれ?広瀬氏ぃ、葉加瀬氏ぃ、根倉氏は何処に行きました?』
「え?また居なくなったの?」
葉加瀬氏ぃも「?」な顔をしている。
もぉ〜〜〜、探せば良いんでしょ!探せば!!
皆んなと根倉氏を探す。
「み、見つからない。一体何処に行ったのよぉ〜。」
『広瀬氏ぃ!いました、いましたよぉ〜!」
根倉氏は鹿に鹿せんべいをあげていた。
「もう!何も言わずに行ったら心配するでしょ! え?ちゃんと言ったって?皆んなの分の鹿せんべいも買っといたって?もう、時間ないじゃん!もう、集合場所に行くよ!」
私の唯一の楽しみだった買い物の時間ももう無くなり、楽しい楽しい修学旅行は散々で終わった。
こんな事なら否応にもナヨ君の班に入れば良かった。そうしたらきっと、、、嫌、今更悔いても仕方がない。
諦めて集合場所に向かっていると疲れ果てた私の目に眩ゆい笑顔で青春を謳歌しているリア充が目に入った。
『あははは!おーい、早く来いよぉ!この鹿めっちゃ可愛いぜ〜!』
『伊藤君、もう鹿に懐かれすぎぃ〜!』
『伊藤君って動物に好かれるんだねぇ〜!』
『伊藤、俺の分の鹿せんべいもやるからその鹿にやれよ!』
あははは♡キャハハ♡
「・・・・。」・・・・ブチっ。
「おい、伊藤。オマエ随分楽しそうだなぁ。」
『おっ!隊長〜、楽しいの当たり前じゃ〜ん!だって修学旅行だぜぇ〜楽しくなきゃ意味ないじゃ〜ん☆』
「ぬぉぉぉぉおおお!!コチトラお前のせいで全然楽しめてないんだよぉぉぉおおお!!」
後日、鹿せんべいの粉にまみれた小学生が鹿に襲われたって珍事が全国放送で流れ、うちの小学校では翌年から修学旅行で鹿せんべい禁止令が出された。
・・・私何も悪くないもん!
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