開票日だよ!
拙い文ですが気楽に読んで頂けると幸いです。 ファンタジー要素が多ので現実では無理がある事も起こります。ご了承の上お読み下さい。
いやいやいや、ドキンってなんだよ!相手、小学生やぞ!!
あっ、でも今は私も小学生だから良いのか?
・・・嫌、ないわ。
今、私は悶々としながらお弁当を食べている。
私の失踪事件があったせいで、午後のプログラムは一部変更され、お昼休みが1時間延長されたのだ。私のせいじゃないけど何か申し訳ない気持ちになる。
『モモちゃん!お弁当美味しいね♡』
ナヨ君、癒されるわ〜。
私の家族とナヨ君家族は家がお隣さんで仲がいいから一緒にお弁当を食べていた。
『はい♡これ、モモちゃんが好きな唐揚げ♡食べて!』
「ありがとう。でも、あんまり食べると太るからもういいよ!」
さっきからナヨ君は甲斐甲斐しく、せっせと私のお皿に沢山の御菜を乗せてくれる。
『モモとナヨ君は本当に仲がいいなぁ。将来のお婿さんはナヨ君で決まりだな、モモ!』
『本当ですわねぇ♡』
モモちゃんパパとナヨ君ママが笑えない冗談を言ってくる。そこっ、ナヨ君!頬を染めるな!!お花畑も出すな!!
「何言ってるのパパ!私は将来偉業を成し遂げて世界に名を轟かせるって決めてるんだから!結婚なんてしないよ!」
あっ、ナヨ君の周りに今度は黒い影が見えるのは気のせい?かな?
その後は、順調に運動会を進め、無事に会場整備の仕事を終える事が出来た。
伊藤のヤローも真面目にやってくれたよ!
片付けの時なんか、「広瀬隊長!次はコレを持っていけばよろしいでしょうか!」なんて張り切りが爆発してた。余りの変わりように周りもドン引きだったよね。伊藤のヤローは、私にちゃんと謝ってきたから号泣に免じて謝罪を受け入れた。
心の中のヤロー呼ばわりは変えないけどな!女の恨みは根深いのだ!
そんなこんなで今日は、「頑張った大賞」の開票日だ。投票は運動会の最後に自分のクラス以外の人に1票を入れる。集計は先生達が行い、開票結果は運動会後の全校集会で発表される流れだ。
クラスの期待は大きい。何せ、一番大変な会場整備の仕事をやり切ったのだ。生徒会長の九条さんは「毎年、学級委員の責任者から選ばれる事が多い」って言ってたけどその中でも確率が一番高いのは会場整備の責任者と聞いた。
「でもなぁ、今回失踪事件で皆んなに迷惑をかけてしまったし、私の事を良く思ってない人もまだ多いし期待は出来ないよなぁ。」ボソっ。
『大丈夫だ。広瀬が頑張ってたのを皆んな見てたし、失踪事件だって広瀬のせいじゃないって、ちゃんと皆んな分かってくれてるよ。』
「せ、セナ君!」
後ろから話しかけられ、ビックリして声が裏返ってしまった。あの日からセナ君にどう接していいか分からず、何かドギマギしてしまうのだ。号泣も見られちゃったし、恥ずかしい。
「べ、別に本当に期待してる訳じゃないよ!只、皆んなに申し訳ないって思ってるだけでっっ!」
フッーー
『何、そんなに慌ててるんだよ!別に「頑張った大賞」をもらえなくたって皆んな何も言わないよ。それに、皆んながちゃんと広瀬が頑張ってた所を見てくれた。それだけでも収穫じゃないか。』
ドキンーー。
まただ。何なんだ私の心臓!
やめろ、やめてくれ〜、その眩しい笑顔を私に向けないでくれ〜〜!!
校長先生の有難〜いお話が終わり、生徒会長の九条さんに引き継がれた。
『それでは、開票結果を発表します!映えある第29回大森手学園運動会の「頑張った大賞」は!』ドゥルドゥルドゥル〜〜・・・ドラム音。
本格的かよ!!
『6年2組の!』
「『『『 ! 』』』」
『瀬名 勇気君です!!』
パチパチパチパチーーー
セナ君だ!嬉しい!!!喜びで気持ちが溢れ出る。
「やったね!!セナ君!!おめでとう!」
『ーーっ!ぅ、うん。ありがとう。』
突然、凄い勢いで振り返ったからビックリさせてしまったようだ。ごめん、つい興奮して我を忘れてしまった、、テヘッ。
『それでは、瀬名君。前へ出て皆んなに挨拶をお願いします。』
セナ君は皆んなに拍手喝采される中、壇上に向かう。
頑張れ!セナ君!
『皆んな、投票してくれてありがとう。今回、俺が選ばれたけど、頑張ってたのは皆んなも同じだと思う。俺に力を貸してくれたチームの奴等の協力がなければ会場整備の仕事をやりきれなかったし、他のチームの仕事があってこそ無事に運動会を終える事が出来た。』
『ーそして、皆んなも知ってると思うけど何より広瀬が凄い頑張ってくれた。準備期間も誰よりも一生懸命だった。途中、事件に巻き込まれても、広瀬のせいじゃないのに責任を感じて他の人の仕事まで手伝ってくれてた。
俺の中の「頑張った大賞」は広瀬だ。皆んなも広瀬を認めてあげて欲しい。ありがとう、広瀬!」
ワーーッ、パチパチ!!
『ありがとう、モモちゃん!』『広瀬、よくやったな!』『頑張ったな!広瀬!』
皆んなが私に拍手喝采してくれる。
こんなの予想してなかった。前の人生を含めて、こんなに人に感謝される事ってあっただろうか。
セナ君はいつも私を真っ直ぐに見てくれる。私の欲しい言葉をくれる。私を認めてくれる。
ドクンーーー
周りに皆んながいるはずなのに、セナ君だけがこの世界にいる感覚に囚われる。
もう、認めるしかない。この心臓の痛みはセナ君のせいだ。
、、、セナ君を好きになってしまった。
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