ー僕とモモちゃんー
拙い文ですが気楽に読んで頂けると幸いです。 ファンタジー要素が多ので現実では無理がある事も起こります。ご了承の上お読み下さい。
この世界に僕とモモちゃんだけだったら良かったのに、、、そんな事を、いつも考えてた。
僕の世界はモモちゃんが全てだ。
モモちゃんさえいれば他はどうでもいい。
いつからそうだったかは覚えていない。
気付いた時から僕の中心はモモちゃんだった。
両親さえも僕にとっては只の捨て駒だ。僕らが大人になるまでの盾でしかない。
モモちゃんの事を僕が好きだと言う奴もいる。
好きとか言う感情ははよく分からないけど、手を繋ぎたいとか、可愛いとかは思わない。多分そう言う感情じゃない。
現にセナ君の事をモモちゃんが好きだと追いかけ回していても不満に思わなかった。
只々、モモちゃんのそばに居られれば良い。モモちゃんに必要とされてれば良かった。
僕の事を可哀想だと言う奴もいる。
でも、モモちゃんが罵声を浴びせてくるのは僕を服従させて離れないようにするためだ。
暴力を振るうのは痛みを覚えさせて自分の事を忘れないようにするため。
苦痛なんて感じない。むしろこんなに僕の事を思ってくれる事に幸せを感じる。もっと僕に固執すれば良い。僕なしではいられないようになれば良い。
僕から離れようと思わないように。
何もない僕を唯一必要としてくれる人。
「こ、こんにちは。ナヨ君だったよね?」
あの言葉を聞いた時頭が真っ白になった。
モモちゃんが僕の事を忘れた?そんな事あるはずない。モモちゃんにとって僕は特別なんだ!
モモちゃんは他の子に暴力をふるってもそれで終わりだった。モモちゃんが執拗に服従させようとしたのは僕だけだ。
「でもさ、今までの記憶は無くなっちゃったけど、これからいっぱい遊んでまた思い出作ろうよ!」
遊ぶ?僕と?ーーそんなの必要ない。
そんな事しなくても僕はモモちゃんの特別だったのに。
他の子と同じだと言われた様で怖かった。変えが効く友達。僕が居なくても大丈夫だと言われた様だった。そんなに簡単に僕への感情を捨てようとしていることに腹が立つ。
逃しはしない。僕から離れるなんて許さない。僕にはモモちゃんしかいないんだから。
モモちゃんを理解しているのも僕だけなんだから。
『暫くモモちゃんの所に行くのはやめようね。モモちゃん、怪我をして大変なんだから我慢しなきゃダメよ!』
お母さんに言われたことに苛立ちを覚える。そんな悠長にしてられないのに。早く記憶を戻さなければ、モモちゃんと僕だけの世界がなくなってしまう。
焦る気持ちと裏腹にどうする事も出来ないと言う絶望。自由の効かない子供の身が苛立たしかった。
会えない間、必死に秘密基地を完成させた。
モモちゃんが戻ってきた時に特別でいられる様に。
久し振りに会ったモモちゃんは変わっていた。
姿もそうだが以前の様な苛立ちに満ちた表情はない。
病院で会った時と同じく、別人の様な穏やかな顔をしている。
「ナヨ君、本当に今までの事、ごめんなさい。
謝っても簡単に許される事じゃないし、記憶に残ってないひどい事がまだまだ沢山あるかもしれないけど、今はこんな謝罪の言葉しか言えなくてごめんなさい。 本当に、申し訳ありませんでしたっ!」
突然の事だった。
『なに、を、言ってるの? なん、で、そ、そんな、事、言うの?モモちゃんは、モモちゃんは、こんなにダメな僕を調教してくれるって、モモちゃんだけが僕を見捨てずに側に居てくれるんだって言ってたじゃない!僕を見捨てないでぇ!何でもするからぁぁ!』
必死に縋った。そうしないとモモちゃんが遠くに行ってしまうと思った。何もない僕を必要としてくれるたった一人の人。、、、一人に、なりたくない。
「大丈夫だよ、ナヨ君。見捨てるとか見捨てないとかじゃないんだよ。私たちは友達なんだから。お互いに言いたい事を言い合って、笑いたい時は一緒に笑って、お互いに足りないところがあれば補い合う。私たちは対等なんだよ。ずっと酷い事をしてきた私の事をナヨ君は心配してくれる。そんな優しい心を持ってるナヨ君を私は尊敬してるよ。ナヨ君には素晴らしいところが沢山あるんだよ。」
何を言っているのか理解が出来なかった。
僕が優しい?人に褒められる様な所がある?そんなこと、、、。
「ナヨ君、私はナヨ君にどう罪滅ぼしをしたらいいのか分からない。でもこの先、ナヨ君に何か困った事があったとして、他のみんなが味方をしてくれなかったとしても、ナヨ君自身が諦めかけてしまった時でも、私はナヨ君を助けるよ。ナヨ君が道を踏み外しそうになったとしたら、ナヨ君が正しい道に行けるように私はナヨ君の隣を歩むよ。そうやって、私がナヨ君につけてしまった傷を直させてくれないかなっ?!」
僕の味方でいてくれる?僕と一緒に歩んでくれるの?
ぼやけてた視界が開けていく様だった。
僕は1人じゃない。モモちゃんが一緒にいてくれる。
前の関係とは違うかもしれない。
でも、モモちゃんが一緒にいてくれるなら僕にも出来るんじゃないか、、。特別な自分になれるんじゃないか、、!?
それからの半年間は今までと全く違った。世界に色が付いた様だった。 僕を認めてくれている様な。そんな優しい色。
モモちゃんが僕にくれた初めての色。
「おはよう!ナヨ君!」
ーー ドクンッ ーーー
目がさめる様だった。純粋に綺麗だと思った。
初めての感情。
僕は、この子と、ずっと、、一緒に居たい!
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