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はじまりの日



ちょっと思うところがあったので、最初から変えたいと思います。

 青い空、こんなに澄んだ青空を見ているとため息が出る。自分の心はこんなにも曇っているのに、空の天気は晴れ晴れとしている。そんなギャップに涙が出る。ため息と共に愚痴も溢れるというものだ。

 

「 楽をして金を稼ぎたい…… 」

 

 少し昔の話、これはまだ俺が転生して間もない頃だ。そう転生だ、現代の平和な日本で怠惰に生きてた俺は神という存在により殺された。

 

 よくあるネット小説の導入みたいな話だ。そこで神は殺してしまったお詫びに、剣と魔法の世界に転生する権利と特別な祝福を授けてくれた。しかしそれは祝福とは言えなかった。『不老』それが俺の祝福だった。ただ歳を取らないだけの能力。

 

 

 こんなものは呪いだ、解呪する事のできないとびきり強い呪いだ。

 

 

 

 

 そんなこんなで転生した当初は楽しかったさ。身振り手振りで、冒険者組合に行き登録を完了させた。そして冒険者という職業に就き、剣と魔法で世界を冒険した。

 

 冒険者当時は、お金もないのでスラム街に住居を構え生活をしていたのは苦い思い出だ。しかし平和な日本に長く漬かった俺に痛みに耐えられる訳がなかった、すぐ挫折した。たいした才能もなかったのであのまま無理に続けていたら死んでいたと思うので、あれはあれで英断だったと今は思う。

 

 まぁ、仕事くらいなんとかなると思っていたがある問題が俺を苦しめた。異世界には神に殺された時のナイスミドルな年齢の状態で転生されられたので、言葉や字を学ぶ機会がなかった。かといって、努力して覚える事はしたくない。

 

 

 最初は酷かった……本当に……。今ではゆっくり喋ってもらえればちょっと分かるくらいには異世界の言葉になれた。ちなみに簡単な単語でしか話すことはできない…… 。

 字は看板程度なら分かるようになった。しかし、本格的な読み書きは無理だ。もともと日本に居た時でさえ英語の成績は2でギリギリだったので無理だ。覚えられるわけがない。

 

 今では大体は笑顔を浮かべているか、単語を言っていればなんとかなると学んだ。というか、それしかできる事がない。

 

 

 

 

 

 

 そんな俺が今何をやっているかというと…………

 

「ただいま戻りました、お父さん」

「たっだいまー! 今日も疲れたよパパー」

「おいっ、お前はまだそんな口をきいて!! すいません、ただいま戻りました父上」

 

 

 

 

 こんな感じで孤児院の院長をしてガキどもに稼がせて生計を立ててます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんで孤児院を建てようと思ったかというと、俺がただ楽して生活したいからだ。

 

 ガキ共に稼がせて俺がそれを使う。また、余った金でガキ共を増やす、そうする事でお金がいっぱい稼げると俺の黄金の脳味噌がそう計算した。

 

 もちろんこの孤児院を建てるためにはお金が必要だ。冒険者時代の貯金の全てをこの孤児院につぎ込んだ。こっちは不老なので冒険者ランクが、1番下でも時間をかければ危険な真似をしなくても何とかなった。もう絶対冒険者には戻らないけど。

 

 ともかく、ガキなんてスラムに行けば腐る程いるからな、本当に腐ってる時もあるけど…… 。グロいのは本当に苦手だからすぐ吐いちゃうけど、背に腹はかえられぬと意を決してスラムによく行っていた。

 

 まったく、金を稼がなかったら誰が好き好んで汚いガキを拾ってくるかよ。

 

 

 

 

 この孤児院では俺が前に住んでいたスラム街から、死にそうで消えても問題なさそうな子どもをピックアップして連れて来ている。

 

 そのスラム街は、王国の外れに位置する場所にある。王国は隣国としょっちゅう戦争しているので所謂、戦争孤児がたくさんいるのだ。そんなスラム街はボロボロの崩れかけの家、その辺の溝には糞や尿がそのままになっているくらい環境も悪い。聞こえてくる声も怨嗟か怒声に罵声だったりする。そんな所に住んでいる人間もそれ相応に腐っている。

 

 そんな中で生活してきたガキはちょっと甘い言葉と優しく接してあげればころっと着いてくる。周りの狂った大人に気をつけていればこんなに楽な事はない。

 

 あいつら連れてくるときに名前をつけてやると、嬉しそうにするからつけるんだけど、たまに同じ名前付けちゃうんだよなぁ…… 。そろそろ数字シリーズやめるか…… 。

 

 そんな訳で俺は今日も生きている。けど近くの帝国と王国で戦争をするらしいから、出稼ぎ組のアイツらが帰ってこないと不安なんだけど。どこいったんだっけアイツら。確か1人は帝国の騎士になったってこの昔手紙に書いてあったけどな。何でアイツ帝国守ってるの? ここを守ってよ、今まで育ててやったのに…… 。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 ルーブル大陸。

 この世界において最大ともいえるほど一番発展している大陸だ。このルーブル大陸は三つの大国とその他多数の小国で成り立っている。そしてその三大国家はヴァンヘルム王国、アークライト教を国教とするサイプレス聖教国、アドニス帝国が互いにしのぎを削っている。そんな三大国家の中間には空白地帯が存在していた。また、空白地帯で利用して王国や帝国は戦争をする。

 そのため、そんな危険地帯な場所に住み着く物好きは居ないだろう。もしそこに住み着いているのなら、まずまともな者ではない。大抵は脛に傷がある者が大半を占めている。そんな正常な思考な者では住み着かないその空白地帯の名は、スオウ荒野という。荒くれ者や魔物がはびこるスオウ荒野の一角に、彼が設立した孤児院は建っていた。

 

 

 そびえたつ巨大な塀に囲まれた孤児院の中、その中心部に院長室である彼の部屋がある。その部屋の中にはベッドやトイレは勿論、彼専用のお風呂なんてものもある。そんな一人では大きすぎる院長室は限られた人しか入ることはできない。そのため、彼の部屋には静謐な雰囲気が漂っていた。

 

 ぐぅーっと彼の腹の虫が悲鳴をあげる。彼の腹時計ではそろそろ十二時になるらしい。そんな、お昼間際でも未だに布団の中にいる彼はのそのそとベッドから這い出てきた。

 

 

「はぁ〜眠いしお腹減った……とりあえず何か食べたいなぁ」

 

 

 彼は人間の最大欲求に従い己の欲を満たそうとする。しかし、彼の部屋には生憎食べ物の類は無い。つまり、何処かから調達しなければならなかった。

 

「外に出てサンドイッチでも食べに行こうか、うんそうしよう。とりあえず、お供を呼んで外に行こう。昔、隣町を一人で歩いていたら絡まれたし……」

 

 そんな過去もあり、この孤児院に今いるメンバーでも強めの二人を探す。探すのも彼一人では探さない。そんな面倒くさいことは彼がするわけがないのだ、そのため彼は院長のお世話をする子どもに呼んできて欲しいと頼むことにする。そして院長のわがままに答えるのは、いわゆる院長係という役職についた者たちだ。その院長係は、当番制で一日おきに子どもは入れ替わるが、基本的に院長室の対面の部屋に駐在所のように数人が常に待機している。

 

「すまないが、アンとサンを呼んできてくれ」

「はっ、了解致しました。ただいま呼んできてまいります」

 

 彼のお願いを叶えるために、その子どもは二人のいそうな場所を思考する。ふと思いだす、きっと侵入者があったと連絡があったのであの場所だろう。できれば近づきたくないそんな場所を目的に少年は舵を切った。

 

 

 ◆◆

 

 

 

 少年の目的地でもある孤児院の地下、そこは石造りの貯蔵庫のような造りになっている。そのためひんやりとしていて肌寒く、カビと錆の嫌な臭いが鼻をつく。そこには孤児院の一部のメンバーが集まり、誰も音を立てずにある男女を見つめていた。男女といっても甘い関係ではない。殺し殺されそんな関係だ。

 

 

 この地下室は院長が居る部屋から離れているので、どれだけ叫ばれても構わない。だから思う存分できるわねと言って女──アンは、明らかに拷問を受けてであろう侵入者に静かに笑みを浮かべてた。

 

 

「──ね? だからねはっきり言って欲しいの、私たちのお父様を狙っているのはだぁれ? 」

「だ、だから!! 顔はしらないんだ!! 本当なんだ!! 俺は言われただけなんだ!! 」

「はぁ…… あなたそればっかね。もういらないかなー」

 

「待ってくれ!! 俺はッ」

 

 何か硬い物が何かを斬る音が響いた。ずるっとズレる音がし男の命はそこで終わった。

 そんな男を切り殺した張本人──サンは、優雅な動作でもって剣から血を拭う。

 

「あーあ、まだ殺すつもりはなかったのに。サンは何でそうせっかちなのかなぁ」

「コヤツは父上に危害を加える意思があった、それだけで十分じゃないか」

「それじゃあ、情報が得られないからまたこれの繰り返しでしょ? 」

「来るたび殺せばそれでいいだろ、1分1秒足りとも危害を加えようとした奴が生きているのが耐えられないのだ」

「それは、私もそうだけど!! 大元を断たないと意味ないでしょ! 」

 

 

 2人の意見は致命的に食い違い、平行線をたどっていた。睨み合いを続けていたサンは遂に我慢の限界に達した。

 

「もういいっ! アンはそればっかりだ!! いつも遊び過ぎる、グチャグチャの死体を片付けるこっちの身にもなれ!! 」

「クソ犬ッ!! あんたは逆に殺すのが早すぎるのよ!」

「犬ではないッ!! 由緒正しき黒狼族の獣人だ!!」

「何言ってんの? あんた捨て子じゃない。笑わせないで」

「アンお主もな…… 」

 

 おもむろに、2人は距離を取る。周りで見ている子ども達もまたか、という表情をして2人を残し円形に遠ざかる。

 

「「もういい、お前も殺す」」

 

 両者とも自然に、そう自然の流れで殺し合う。

 

 2人の周りだけ気温が更に下がる。いや、実際に気温は下がりすでに吐く息は白に染まっている。今アンは魔法を使うために集中し、神経を研ぎ澄ませている。そんなアンの周りはキラキラと輝きスターダストのように煌めく光が舞う。サンはアンとは対照的に静かに水面のように、ただ静かに剣を水平に構える。息をするのも億劫になるほどの緊張感が周囲を支配する。何かきっかけがあれば二人は殺し合いをすぐさま開始するだろう。

 

 一触触発の中この地下室に向かう階段から走ってくる音が聞こえてきた。

 

「アンちゃんっ! サンくんっ! それよりも院長が呼んでいますよ!! すぐに戻ってください!!」

 

 2人は一瞬で殺伐とした空気を瞬く間に消し、逆にさっきまでの殺意が嘘のように笑顔になって院長室に向かって地上へと続く階段を駆け上がっていく。

 

 

 他のメンバーは、走り出した二人をまたかと溢しつつ苦笑いをして見送った。

 そんな穏やかそうな出来事にも子ども達の足元にはさっき斬られたばかりの男の生暖かい死体が無造作に転がっている。これがこの孤児院の普通、院長に危害を加える者を殺す、それだけだ。

 

 

 

 

 

 この孤児院で生活する子ども達は、皆院長を愛している。当たり前だ、地獄のような生活から救ってくれた恩人なのだから。それでも一般の子ども達は院長を院長と呼ぶ。しかし、一部の子ども達は父と呼ぶ。これはあるルールがあるからだ。

 

 孤児院の中で幹部にならなければ父とは呼ぶことはできない。幹部になれば権力やもっとできることが増えるのだが、みんなそんなの二の次だ。ただ、院長を父と呼びたい。

 

 そんな狂気的な目的のため、多くの子ども達は日々己の能力を高める努力をしている。幹部を殺してでも父と呼ぶために。

 

 

 

 

 




どうでしょうか?


まだ一話以降変えてないので変えたいと思います。

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