転移なし。~お箸の話~
手術から5か月近くが経過し、久しぶりにがんセンターを受診。
今のところ転移なしということで一安心です。あとは前立腺。そしてこれからも腎臓のほうからの転移がないことを祈るばかりです。
お酒をほとんど飲まなくなり、飲んでも酔っぱらうほどの量は飲みません。おかげで酔って暴言を投げつけることもすっかりなくなったので、子供たちとの関係はとても良くなっています。
私としては、それまでの多大なる暴言や安眠妨害は、お酒のせいだったんだと思うとストンと肚に落ちたような、しかし酔っているとは言え許しがたいような気持ちです。こんなことを根に持っていても仕方ないんだとも思っています。
毎日の食事の支度の際、家族の箸を並べるときに、夫のピンク色の箸を見ていつも思うことがあります。
この箸が永遠に使われなくなる日が、本当に来てしまうんだろうか?
「このお箸、ちょうだい。アパート(赴任先の住まい)に持って帰りたい。」
物欲がない上にモノにこだわることのない夫が珍しく欲しがったのは、その時に娘が使っていた箸。淡いピンクの色えんぴつをかたどった”色えんぴつ箸”。娘のは短いタイプだったし、すでに中古の状態だったし、娘に譲らせることもためらわれたので、同じものをサイズ違いで二組。自宅用とアパート用に取り寄せました。
もっとも、当の娘の箸はお役目を果たしたので代替わりしていますが、夫は今も気に入って使っています。
普通の生活をしていられるうちに楽しく過ごしたいと思いながらも、色々なものが遺品になってしまう日が早く来てしまうのではと、箸を見るたびに切なくなります。




