結果。
手術科に行くと、個室に案内され、椅子に座るとすぐに、ガーゼが乗せられた金属のトレーを手にした主治医が向かいの椅子に座りました。
「手術は問題なく終わりました。」
「はい…。」
ああ、とうとう腎臓を一個取っちゃったんだ。あのトレーの中身って、腫瘍の塊でも乗っているのかしら。そんなことを思いながら力なく返事をしました。
「こちらが摘出した腎臓なんですが、見ますか?」
「はい…。」
見たいというほどでもないけど、見ておくべきという気待ちで力なく返事をするとガーゼが取られ、血まみれのレバーのような塊が現れた。腎臓はトレーに乗って、のぺーっと広がっていたのか、握りこぶしより少し大きいと聞いていたけど、意外に大きなものでした。
マスクの上から念のため鼻を軽く押さえて顔を近づけてみました。もし匂いが強くて気分が悪くなってしまったら困ると思ったのです。
主治医の説明によると、周りの筋肉を一緒に切ったので、この塊が大きいんだということでした。そして腎臓を切り開いた部分を開いて、腫瘍を見せてくれました。大きい内臓の色とは全然違う、オレンジ色のボコボコしたものでした。憎っくき腫瘍。これがもう少し小さかったら、太い血管の近くではなかったら、部分切除で済んだのにと思うとやりきれない気持ちでした。初期で転移もなく、しかし腫瘍の位置が太い血管の近くであるばかりに部分切除がかなわなかったことがとても悔しくて。
夫は確かに私たち家族に迷惑をかけたりもしたけど、それでも私たちのために、自分のために頑張ってきたんです。なのにどうしてこんな目に会わなければいけないのか。
お別れしたばかりの腎臓を見つめながら、そんな思いがぐるぐるとしていました。




