スクラッチアート。
病室で待機していると、看護師さんがやってきて術後の移動に部屋のベッドを使うためと、ベッドを入りやすくする準備をしたいからと言われ、いったん部屋を出て、デーコーナーという家族が食事をできるスペースに移動。その間に早めの昼食を済ませることにしました。本当は食欲なんてなかったけど、気を紛らわしたかったので。それに今の私は、食事を抜くなどのリズムが狂う行動をするとアトピーへの影響が出るので、なんとか食べることにしました。特に今は体調を崩すわけにはいかないという思いで、味がわからないまま胃につめこむというただの作業でしかありませんでした。
その後、部屋に戻ってからは、持参したスクラッチアートをやりながらコーヒーを飲んでいたのですが、スクラッチアートにも集中できなくて、コーヒーをやたらと口に運んでいました。おかげでコーヒーがすぐになくなってしまい、何回も院内のコンビニに足を運びました。いつ呼ばれるかもわからないので、買っては足早に病室に戻る、という繰り返し。この間に何度、時計を見ただろう。頑張っているのは、夫自身であり、夫の身体。そして医師をはじめとするスタッフの皆さん。私は待つ以外、何もできません。本当にもどかしい時間でした。
先ほどの慰めてくれた女性も、きっとどこかで同じ時間を過ごしているのでしょう。
何杯目かのコーヒーを飲み終えるころ、集中できないなりに、細かいスクラッチアートの絵がどんどん完成に近づいていました。時計を見ると夫を見送ってから三時間が経過していました。
予定の時間に連絡が来ない。どうして?不安になってきました。いや、落ち着いて。何かあったら連絡があるはず。そのために病院に待機しているんだから。そう自分に言い聞かせているうちにスクラッチアートをやっては時計とにらめっこをするタイミングがどんどん小刻みになっていきました。
予定時間から30分が経過したころ、ノックの音とともにドアが開きました。
「手術が終了して、今は回復室に移動しています。まだお目覚めになっていませんが、これから医師から説明がありますので、手術科に行ってください。」
看護師さんが呼びにきてくれました。
これから手術の結果を聞きに行きます。




