表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/27

一年後はあるのだろうか?

それは、ある平日の夕方近い時刻の夫からの電話から始まりました。

「健康診断のときの腹部エコーで腎臓に腫瘍があるって言われた。日本で検査を受けるようにすすめられたから病院を予約してほしい。」

そこから私は病院を探し、夫は検査のためにチョコチョコと帰ってきては検査を繰り返して一ヶ月半。

海外に単身赴任している夫は、現地での健康診断の際に、日本人医師から、日本で精密検査を受けるようにすすめられたのです。

今のところ、ほぼ間違いなく、ガン。どの程度の治療になるのか、どこまで転移しているのか、治療が可能なのか、という結果を待っているところです。


そんな合間に夫と二人、アウトレットモールに買い物に行ったり、家族揃って、又は夫婦でランチに行ったりしている日々です。

夫はさすがに大人しく、暴言を吐く元気がなく、そして少し雑談の口数が増えました。忙しいしか言わなかったのに普通の会話をするのは何年ぶりだろう。

並んで歩きながら夫を思う。一年後に夫の姿は存在するのだろうか?存在していたとしても、こうして歩いていられるんだろうか?

結果が出ないことにはなんとも言えないのですが、夫が早いうちに居なくなってしまったら、私だけで子供たちを支えていけるのか?

そして、毒のある感情があるのも本音です。

「私はゆっくり病気もできないってか!」

実は私がアトピーの治療中なのですが、このアトピーはストレスの要因が大きく、その要因は夫からの暴言も大いに関係しているのです。もっとも本人は全く自覚がないようですが。元気なうちにもう少し優しくしてくれれば、こんな気持ちにならなかっただろうに、とも思います。相手のせいにしても仕方ないし、こんな時にこんな感情を抱く、私という人間に嫌気がさすときもあります。

そして、気がかりなのは子供たちのこと。これから大学受験に挑む、元不登校児の息子、不登校直前だった高校受験目前の娘。この二人の学費や、精神的なショックが、夫自身のことよりも気になってしまう私はなんて薄情なんだろう、と自己嫌悪に陥っています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ