狐に包まれる~新年~
雪狐が、突然産気づいた。
ちょうど、大晦日の午後・・・
この時、三人の「産婆さん」が押し掛けてきたため、事なきを得た。
「ザ・産婆」と呼ばれているらしい。
そして・・・
翌、元日・・・
「さあ!
初詣に行きましょう!」
産婆さんが帰るなり、雪狐は産まれたばかりの女の子を抱いて、外出の準備を始めた。
「ちょ・・・
冬狐連れていきなり!?」
しかし、産後だというのに雪狐は元気だ。
「狐を舐めないでください!
すぐ動けますよ!」
本当に元気だ。
僕たちが行ったのは、小さな祠。
ここは、もともと地元の信仰が息づいていた祠だった。
雪狐は、手を合わせる。
「どうか、皆が誤解の少ない時代になってくれますように。」
僕も手を合わせる。
「どうか、少ない言葉で多くのことが伝わる世界になりますように・・・」
そして・・・
「「私たちが末永く・・・
この子が健康で幸せでありますように・・・」」
金運の加護と、円満の加護があれば後は、それ以外願うことはないだろう。
正しいことを言っている人が、傷つきませんように・・・
また、自分が正しくとも平気で人を排除したがる人が増えませんように・・・
相手から怒りを買って、その理由を勝手に決めつける人が少しでも減りますように・・・