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2-3


“線路内に人が立ち入っているため緊急停車いたしました。お客様におかれましては-”

「線路内に人ですか? 自殺でしょうか?」

「この速さでぶつかったらバラバラだからなー」

「む? エルランディア(マキナ)、先程から黙っているな!」

「いやな、そいつらのアイコン赤なんだ」


赤。

それはこちらに敵対している証である。

この色の他にも青、白が有り、青は味方を示し白は生き物全般を示す。


「たぶんだが、記憶の書き換えが私だけ失敗したのを気取られた」

「敵は何体だ?」

「4。こちらの人数に合わせてきてるな」

「なら向かい打とうぜ」

「だめだ。忘れたか? 自国ならまだしも他国で戦闘行為は正当な理由がなければ重罪だ」


ダリアとエルランディアが話している問、マキナギアは空間転移モジュールとDEMモジュールの起動準備をしていた。

国民、観光客が見ている前で戦闘を行うという事は何かしらの証拠隠滅する手段があるとして3人をカバー出来るように記憶改変から守ることを目的としている。


そしてマキナギアが準備完了になったとき、新幹線の扉が吹き飛んだ。

仮面を着けたマント姿の4人が車内に入ってきた。

乗客は何かわからず口も出さず、目も合わせようとしない。


「こっち来るな」

「これって攻撃されれば正当防衛だよな?」

「そうですね。でも車内で攻撃されると他の人を巻き込む可能性が……」

「外に出よう。空間転移モジュール起動」


新幹線の外に転移すると仮面を着けた4人も外に転移してきたのだ。


「へい、お客さんかかってきな」

「俺はいつでもいいぞ!」

「2人とも、そんな事言わないでください。挑発したら……」

「来たよ」


仮面を着けた4人はそれぞれバラバラに攻撃を仕掛けてきた。

装備はガンブレードのようだ。

銃と剣が合わさった魔導武装である。


「(速いな。この動き何か魔道具か何かで補佐しているのか?)」


エルランディアは振り下ろされたガンブレードを手で受け止めると、そのまま後ろに勢いよく反らした。


「はい、正当防衛」


仮面の人物はそれにつられてエルランディアに背を向ける形で倒れ込んでしまう。

そこにエルランディアの蹴りが脇腹に入った。


柔らかい感覚が伝わると思いきや、硬い感覚がエルランディアのセンサーから伝わってきたのだ。


「こいつら機械か!」


当然出力を下げているエルランディアの攻撃では一撃で倒すことができず起き上がってくる。

ガンブレードが変形し、銃の形になった。


「させるか!」


パンっと言う乾いた音の前にエルランディアは屈んで射線から逃げていた。

一瞬だけ出力を10%ほどまで上げると、瞬時に相手の懐に入り込み胸に向かって拳を振り抜いた。


何かがひしゃげるような音がし、仮面を着けた者は吹き飛び動かなくなった。


「まぁ、こんなものか。さてっと3人の戦闘を見させてもらうか」



「魔力よ! 我を守りたまえ! シールド!」


アリサがそう唱えると目の前に不可視のシールドが出来上がり、ガンブレードで切りかかってきた仮面の者を防いだ。

相手もすぐに対応し、横へ回り込む。

アリサの眼の前には仮面の者と新幹線がある。

もし魔法で攻撃し、避けられてしまったら新幹線に魔法が当たり怪我人がでてしまう。


「やりにくいですね。魔力よ! 我を守りたまえ! シールド!」


再びシールドを展開するアリサ。

そしてまた突撃してくる仮面の者。

ガンブレードが弾かれると思いきや、シールドはバターを切るかのように破られてしまった。

しかし、これが狙い目だったのだ。


「魔力よ! 衝撃となりて我の敵を吹きとばせ! 衝撃魔術!」


ガラスの割れたような音と共に新幹線の進行方向に吹き飛んでいく。


「光り輝く氷結よ! 今ここに顕現せよ! ラ・アイズメリオン!」


光り輝く氷の槍が複数アリサの周りに展開され、吹き飛んで起き上がろうとしている仮面の者目掛けて飛翔する。


獅子を貫き心臓を貫いた。

そして刺さった箇所から氷が侵食を始め光り輝く氷像が出来上がった。


「ふぅ、こんなものですね」



「うおおおお! 俺の拳を舐めるなよ!」


フェンリルの力で硬化した拳でガンブレードを弾き連続ラッシュを入れていくダリア。

だが、押されながらもガンブレードを銃に変形させていた。

それに気がついたダリアはシンクロ率を40%まで引き上げ、変形途中だったガンブレードを掴み力任せに壊したのだ。


仮面の者はすぐそれを捨てると格闘でダリアに挑む。

しかし、日頃から鍛えているダリアにとっては仮面の者の動きは目に取るようにわかった。


「ははは! 遅い! 軽い! 止めだ! アブソリュートナックル!」


鋭く突き出された拳が仮面の者の胸に当たると、背中から氷が生え、倒れ込んだのだった。


「余裕だったな」

【調子に乗るな】

「この程度なら本土にたくさんいるぞ!」

【だからそれがだな……はぁ】


遠巻きで見ていたエルランディアはフェンリルが頭を抱えている光景を思い浮かべた。


「フェンリルも大変だな」



そんな2人を見ていたシュペルはのんべんだらりと攻撃を避けつつ周りを見ていた。


「ダリアもアリサも終わっちまったか~。おっと、あぶね。レ・ヴァラッツェ」


炎と氷が発生し氷が炎により溶け、有り余る蒸気が辺りを吹き飛ばす勢いで仮面の者に叩きつけられた。


今の衝撃でマントと仮面は吹き飛び姿がさらされた。


「な!? 魔導……機械?」


皮膚は蒸気で焼けただれ、所々金属の装甲が見え隠れしている。

だが、あまりダメージは受けていないようだ。

すぐに起き上がりガンブレードでシュペルに斬りかかる。


「ハイ・シールドっと。ここでボイド系は不味いよなぁ」


仮面の者はシールドに向かって斬りつけ、銃撃をしているがシールドは一向に破れない。


「どうしよっかなー? ん? 魔導機械? ああ、そっか。 流展せよ。その身に宿る魔力を拡散し停止せよ! マナ・スタンビート!」


魔導機械の動力部、マギクリスタルエンジンが暴走停止した。

その結果仮面の者は倒れたのであった。


「ふむ。上々っと言ったところか」

“警告。大規模な魔力反応”

「何?」

“アリサ、シュペル、ダリア、本機に歴史改変シールド展開……完了”


一瞬世界にノイズが走ると、倒したはずの魔導機械兵が居なくなっていた。

窓ごしにこちらを見ていた乗客も何もなかったかのように静まり返っている。


“推奨。早急な退避”

「3人まとめて元の場所に転移」

“了解”


「お? 新幹線内か。なあ、あいつら魔導機械だったぜ」

「そうだったな。」

「それにしてもあれだけのことが有ったのに新幹線の中静か過ぎませんか?」

「歴史改変が起こって皆記憶が書き換わっている」

「え? 私達先程のこと覚えていますが……」


エルランディアはそのことについて説明した。

事前に準備していたため無事だったことを。

乗客には余計な混乱と出発が遅れるのを防ぐためシールドを展開しなかったこと。


「そうなのですか。ありがとうございます」


“ドアの応急処置が完了したため出発します。なにかにお掴まりになってください”


「夜には首都へ着けるか。」

「あ!」

「どうしたダリア?」

「俺のポテチが!」

「……」


その後頭にコブを作ったダリアが筋トレしていた。

エルランディアを背中に乗せて。



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