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そんなこんな魔力の供給源が不明なまま船は進み、ゴルステア大陸の港に止まった。


「さて、こんなものか」


エルランディア(マキナ)は配線から手を離すと、魔力の供給が無くなり部屋の照明、船の全機能が停止した。


「さ、行こうか?」

「ええ。行きましょう」


エルランディアは魔法で辺りを照らしながら船から降りていく。

船の外では手荷物検査を実施していた。

これもマキナが教えた事である。


「おう! 陸だ! ゴルステア大陸だ! 新たな強敵が俺を呼んでいる!」

「だれも呼んでないからな。うーん、額が痛い」

「あら、やっと来たのですね」

「遅いぞー」


アリサとエルランディアが2人に声をかけた。


「わるい、わるい。この寝坊助を起こすのに手間取ってな」

「なんだと筋肉狼」

「お? やるか! 先程の続きと行こうか……あた!」

「いて!」

「うるさい。少しは黙る!」


エルランディアに怒られ流石に言い返す度胸は無かった2人である。


「次の人、荷物をベルトコンベアに置いて検知器を潜ってください」

「俺は金だけしか持ってきてないからな!」


ダリアの財布が流れていき、検査員が魔導機械を操作しているが何も出ないだろう。

本人も自信満々で検知器を潜っていき無事財布を回収していた。


“魔導炉出力2%に設定”

「はい、次の方」

「私も財布だけだよ」


エルランディアは検知器を潜ると、ビーという音が聞こえてきた。


「ん?なにか引っかかるものあったか?補正はしたのだが」

「帽子を失礼……あ、これですね」


検査員は帽子についていたアクセサリーのピンを指さした。


「ああ、これには私も気が付かなかったよ」

「ではもう一度潜ってくれるかな?」

「わかりました」


エルランディアはもう一度その検知器を潜ると無事通過することができた。

帽子は返却され、残りの2人も無事通る事ができた。


「ようこそ、ゴルステア大陸キャップ港へ。滞在期間と目的をお教えください」

「観光だね」

「観光です」

「俺は強いやつに会いに来た!」

「観光」

「え、ええ、皆様観光ですね。期間はどれほどでしょうか?」

「大陸一周したいから、一ヶ月ほどと」


入管の人は魔導コンピューターにパスポートと滞在期間を入力し、パスポートを返却した。


「では、こちらをお持ちください。良い旅を」


港から出るとそこは港町という感じの町並みが広がっていた。

エルランディア一行は魔物騒ぎで食事を摂れなかったため、夕食を兼ねてホテルで食べることにした。

ホテルは海鮮料理とインターネットの設備が整っている場所を選んだ。

選んだ理由としては先程入管の人がくれたパンフレットにこのホテルが乗っていたからだ。

4人でホテルにチェックインを済まし、ホテルのレストランへ。


「流石に食べなきゃ怪しいよねぇ」

「そうですよ、エルランディアさん」

「久しぶりに食べるか。2人も食べ……もう座ってるし」

「早くくおうぜー!」


アリサはにこやか、エルランディアはため息。


食事中、シュペルがエルランディアに話しかけた。


「そういえば魔力抑えてるみたいだが、どうしてだ?」

「こんなところで平常運転していたら嫌でも目立つでしょ」

「あー、たしかにな。さっきまではとんでもない魔力してたからな」

「エルランディアさん、体の方はどうごまかしたのですか?」

「魔術でちょちょいと」


エルランディアは軽く言っているが、自身に掛けていた魔術は3種類も発動していたのだ。

1つ、性質変化魔術。

これは物の性質を変化させる魔術であり、一瞬だけ魔導装甲から内部機関なども有機物になっていたのだ。

もちろんエルランディアの魔力的に耐えられないので潜る一瞬だけだったが。


2つ、探知偽装魔術。

性質変化魔術を探知されないように他の魔術に変換する魔術だ。

今回は身体強化に偽装していた。


3つ、対魔法障壁魔術。

2つの魔術が打ち消されないように自身の魔術も隠蔽する魔術。

エルランディアに搭載されている機能の魔術バージョンと言ったほうが例えやすいだろう。

マキナには外部からの魔法、魔術の干渉を阻害する機能が実装されており、許可された魔力パターンしか受け付けない魔法耐性がある。

だが、これは直接体に作用するものであり、魔術、魔法には作用しなのである。


久しぶりの食事を楽しんだエルランディアは男女別の部屋に泊まった。

なぜ男女別かと言うとアリサが何か言いたげだったからである。

乙女の秘密は男には聞かれたくないものだ。


「エルランディアさん、1つよろしいでしょうか」

「何?アリサ」

「エルランディアさんは……その、恋をしたことありますか?」

「恋ねぇ……生憎私はそういう定めとして生まれてないからしたことないね」

「そうなのですか」

「ごめんね、アリサの参考にならなくて」


エルランディアがそう言うと、アリサの顔が真っ赤になった。


「ち、ちちち違います! 私ではありません! 私の友達の事なのです」

「友達か!」


エルランディアはてっきりアリサのことだと思っていたのである。

しかし、男2人に聞いたとしても答えが帰って来るとは考え直しても思わなかったのであった。


「友達が片思いの人が居るらしくて、相談を受けたんです。私はそういうのに疎くて、詳しい人が居ると言ってしまったのです。」

「うん」

「どうしましょう……」

「うーん。こればかりは演算しても考えがつかないな。生前は生まれたときからこの体になる事と戦術教育しか受けてなかったから」


エルランディアは生まれてからUnknownと戦うことしか人生の道が無かったから恋と言う事自体したことも思ったこともないのだ。

この世界に来ても、人のためと言う刷り込みにも似た義務感から人を守り、戦い、そして繁栄させることしかしてない。


「彼女には謝っておきます」

「いや、演算中に過去の記憶から参考になりそうなデータが有った」

「そ、それはいったい……」

「2000年以上前かな。そう、シュペルのご先祖様の話だね。闘技大会って強制イベントがあってだな……」


エルランディアはかつての事を少し話し始めた。

その話の結果から、その後どう思ったかとも話したのだった。


「話して思ったけど、これあまり参考にならないな」

「いえ、大いに参考になりました。ありがとうございます」

「なら良かった。私は調べ物があるから先に寝てていいよ」

「わかりました。お先に失礼しますね」


エルランディアは魔導コンピューターを立ち上げると、インターネットに接続した。

この国の歴史について検索すると、ヒット件数がやたら少ない。

検閲され検索結果に入らないのだ。


「さてさて、ハッキングするか」


エルランディアは魔導コンピューターの筐体を開けると、CPUに人差し指を付け魔力を流し込み強制的に命令に割り込んだ。


一瞬画面が乱れるが、すぐにもとに戻り魔力のパスを繋いだまま再び検索をかける。

すると先程より検索結果が増えた。

検索の際エルランディアの持つプロトコルを使用し、強制的に開示させたのだ。


「よし、見たら不味い所を見させてもらうか」


サイトを開くと、一見何の変哲もない歴史が表示される。

しかし、ある画像が目に止まった。


「これは……スキャン写真?結構古そうだけ……ど……ん?」


エルランディアはおかしな箇所に気がついてしまった。

本来ありえない歴史である。






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