表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/26

1-3



突然の約束を取り付けたマキナは明日に備えて残ったデータを処理していた。

各自方面への調査によるデータ演算処理の一時停止などの報告もあったが、マキナギアがすべて報告していた。


「よし、終わりだな。さて世界線に変動はないか?」

“報告。過去の世界線に分岐発生していた模様”

「は?過去は変えられないぞ?そういう仕組みだからな。」

“第1世界線1800年代ごろに発生”

「この世界線で?1800年前は……ちょうどゴルステア大陸で講師していたな。

何か関係があるのか?」

“不明”


正確には過去改変はできる。だが、戻った未来は元の未来ではないのだ。

今回の場合マキナいた世界線で検知できない方法にて第1世界線の過去を変えた者がいるということになる。


「おそらくゴルステア大陸の人の仕業だと思うが、

変に過去の芽を潰すと私が今の世界線に戻れなくなる。とりあえず後回し」


「8時になったらスリープ解除。

あとフェリーのチケット4人分」

“了解。スリープに移行、外部ネットワークに接続”


その後何事もなく…はなかった。

メアリーは痴態を晒し、上司に叱られていた。

マキナの服を着て。


「大体お前は……」

「す、すみま……せせせん。

(はぁ! マキナ様で満たされている!

上司の小言なんて吹き飛んでしまいそう!)」


何も聞こえていないようである。


“スリープ解除”

「ん。何かあった?」

“チケットの収得。下の階から怒鳴り声。推測。メアリーの説教。”

「ならいいや。フェリーでゴルステア大陸行くから

電子パスポート準備してくれ」

“了解”


マキナはあまり目立たないラフな服を選んでいた。


「うん、これだな」


赤い帽子に赤いシャツにブラウンのハーフコート、横に黒のラインが入ったショートスカート。

靴はいつもはいている白のブーツだ。


ちなみに、マキナの情報は政府と教会でブロックされており、パスポートの名前も偽名である。


ちなみに名前は、プロイ・エルランディア。


「よし、普通に正面出口から埠頭へいこう」


マキナ…エルランディアは誰にも感づかれる事なく歩道へ出た。

そこで取り出すは携帯電話。


「あー。もしもし? 教会前までタクシー一台」

『かしこまりました。少々お待ちください。』


埠頭までは少し遠いのだ。

当然時間はかかる。


「さて。子孫はどうなっているか。あの時より強いか?」


そんなこんなで教会の前に一台のタクシーが止まった。


「お?来た来た。ゴルステア大陸行きの埠頭までよろしく」

「はい」


もちろん教会トップのマキナが一般女子が着るような服で出歩いているとは知らず、信号待ちや、前の車からも、タクシーの運転手さえ気が付かないでいた。


「到着しました。お代は」

「カードで」


マキナはエルランディア名義のカードを使い、タクシーの運賃を支払った。

もちろんカードも偽装されており、住所や支払先口座、銀行なども手が回っている。


タクシーから降りるとゴルステア大陸に行く埠頭に到着した。

フェリーには乗船が始まっており出発までは後一時間ほどだ。


待っていると、高級車がマキナの横に止まり女性がおりてきた。


「やぁ。待ってたよ」

「マキナ様、ただいま到着しました。アリサ・アインスです」


マキナはその挨拶に小声で返した。


「マキナの名前はまずい。今の私はプロイ・エルランディアだからね、アリサ」

「わかりましたわ。エルランディアさん。ほかの皆様は…まだ来ていないようですね」

「そうだね。さてアリサ、どのくらいまで魔法使えるようになった?」

「えぇ…全力でやったことがないのですが、突風程度で木をなぎ倒せるぐらいでしょうか」

「そうか…技術が進み、魔物もだいぶ数を減らしてきたけど、その時になったら見てみようか」


どこで使うのだろうか。

道もコンクリートで舗装され、柵が付けられ魔物侵入防止になっているのに。

二人で色々と積もりに積もった話をしていると、上空から銀色の服を着た男が降ってきた。


「俺がダリアだ! はっははははは!」

『フェンリル…またおかしな性格をしたものと…』

『言うな…』

「ダリアさん、こちらエルランディアさんです。」

「アリサか! そういうことは…なるほど、そちらが兼ねてから聞いている者だな! (エルランディアと言うことは偽名を使わざる負えないのか)」


表面上は暑っ苦しい戦隊ものヒーローだが、内面では冷静な思考ができる人物だ。

かつての持ち主(・・・)であった者よりシンクロ率は今だに達していないが、格闘戦闘がずば抜けている。


「あとは一人か。乗船締め切りまで20分」


その時マキナたちの上空5メートル付近に魔法人が展開された。


「あー。転移魔法陣だ」

「ではあの方ですね」

「おお! 来たか!」


魔法陣から足からでてくる。

そして地面に着地できなかった。

5メートルは高すぎたのだ。


「いて! 座標ミスったか」


尻もちをついた人間、いやエルフ。

その中でも頂点に立つハイエルフ。

その名は。


「おっす。俺がシュペルだ! よろしくなエルランディア(マキナ)! 名前の件は聞いてるぜ」

「よろしくなシュペル」


これで全員そろったことになる。

エルランディア(マキナ)は人数分のフェリーのチケットデータを端末で送り込んだ。

俗にいうタブレットだ。



「よし全員出発だ」

「イクゾー!」

「参ります」

「ハハハ。楽しみだね」


扉の前で待っていた乗組員はタブレットを操作し、残りの人数を確認していた。

その時足音に気が付き、顔をあげる。


「チケットはお持ちですか?」

「これね」

「QRコードを読み取りますので少々お待ちください。 ……はい、確認できました。

どうぞ中へ」

「次は俺だ!」


2分程度で4人は乗船し終えた。

エルランディア(マキナ)は4人で2分かかるのかと思っていた。

帰ったら電波状況を確認しなければとタスクに追加している。


「ゴルステア大陸って民主主義でしたわよね?」

「私はそう教えたよ。」

「そうでしたか。前知人からゴルステア大陸に旅行行った時のことを聞いたら、

結構インターネットへのアクセスの検閲と写真撮影の区域も厳しいと聞きました」

「ん? それは……(共産主義?かつて地球であったといわれる主義。

人類共通の敵である生物だったものに立ち向かうため一つの集合体になってしまった)」

“防衛省から通信です”

「繋いで」


マキナギアが通信を開始した。

内容的には敵が持っていた銃火器であった。

データをよく見ると、その一部にマギクリスタルエンジンが使われていた。


マギクリスタルエンジンとは魔力が少ない人。

マキナが居た世界で採用された物である。

構造的にはクリスタルの中にマギプログラムを書き込み、発動させる。


書き込む媒体は高価が高い物、宝石などである。

もっともすぐれたマギクリスタルエンジンはブルーダイアモンドだ。


「(なぜこれが……?)」


この世界ならではならの鉱石で作られたエーテルジェネレーターが魔力を大気中からかき集め、それをマギクリスタルエンジンで自動車や船は動いているのである。


ただし、マギクリスタルエンジンの製造はどこの誰にも教えていない。

いわばブラックボックスである。

マキナのみが作り流通しているのだ。

エルランディア(マキナ)が入口の端で通信を行っていると肩に手をのせられた。


「ん?アリサか。何か用?」

「いえ、エルランディア(マキナ)さんは何してらっしゃるのかと」

「ちょっと政府筋と。……アリサ、マギクリスタルエンジンつくれる?」

「え、いえ。作れませんわ。以前拝見したことがありますが、知らない文字が積層構造になっていて読み取れませんでした」


当たり前である。

使われていた言語は英語。

書き込み方は魔力転写技術。


魔力転写技術により0.1ミリ未満の誤差で書き込めるのだ。

それにより魔力を増幅する。


「ま、男二人はさっさとデッキに上がっていったし、私たちも行こうか」

「そうですわね。私たちも」


フェリーも動き出し、デッキに上がると大勢の人が海を見渡したり、椅子に腰かける人がいた。


「さて、二人は……ん?」

「どうし……大きい魔力が二つ船にありますね」


マキナはその発信源に行くと、テーブルの上でハイエルフのシュペルとフェンリルの申し子ダリアが腕相撲をしていたのだった。


一部の客はそれを面白がって見ているが徐々に魔力が上がってきて表情が引きつって半歩引いている客もいた。


「なにやっているのだか……」

「あれはちょっと危険です」


マキナはそっとデッキとテーブルにシールドを張り巡らせた。


「へ。やるじゃないか!シュペル!」

「ハイエルフ舐めてもらっては困るよ!ダリア!」


ダリアは基本フェンリルの服に魔力を送り続けシンクロ率を上げているが、シュペルは純粋な肉体強化魔法を重ね掛けし、両者が競っていた。


腕は倒され倒しの均等を保っている。


「いいぞー!白い人!」

「あのハイエルフもいいわね!」


見ている客もヒートアップしていたが魔力を感知できる魔法使いは逃げ出していた。


「仕方がない。止めるとするか」

「そうですわ。もし暴発なんてしたらシールドで守られていない人があぶないわ」


この後マキナは二人の後頭部をアイアンクローの用法で掴み、シールドを張っているテーブルに叩きつけた。


「ふがっ!」

「ムフっ!」


同時に魔力も飛散し、デッキの上でバカなことをしていた二人は沈黙したのだった。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ