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デウス・エクス・マキナ シーズン2 2000年の悠久の時  作者: 白築 える
絶対強者、未来に希望を託して
24/26

5-3




4人のもとに戻ると、頭部がないアルコーンの残骸を天井に下ろした。

マキナはホッと息をつくとオーバードライブを解除する。


「まずは終わりだ。拡張スロットにデータが無いかサルベージして……」

「マキナ様~! ご無事で何よりですぅ! 何処か異常がないかこのメアリーが下から上まであべし!」

「マキナさん、これで敵の足取りをつかめればいいですね」

「あぁ。そうだな……っ!」

“自己保存領域からロード完了。ディメンション・シールド”


マキナ達が話している時に突如レーダーに敵対反応が現れた。

マキナギアが緊急システムに基づきシールドを自動展開する。

だが、シールドを貫きアルコーンの機体に直撃した。


「なっ!?」


直撃したそれは重力崩壊を発生させアルコーンをサルベージ不可能な状態まで破壊したのだ。

マキナはシールドが役に立たないとわかるやいなや、ノワールを取り出し上空へ上がる。


「お前が黒幕か?」

「そうだと言ったらどうするんだ?」


男の声が女性の体から発せられた。

以前の推測からエドワード・グリントだと思いつく。


「お前、エドワード・グリントだな? 何故歴史改変までして頂点に立とうとする」

「知りたいか? 俺な、この世界も征服したいからだ! どんな権力者よりも上、どんな生物よりも強く、神よりも尊い存在になるためだ」

「この世界だと? 前の世界はどうした」

「あぁ、失敗作の世界か。何処からともなくグノーシスが寄生してきて宇宙全体を破壊したのさ。お前の言うところのUNKNOWNか? あれは生物に寄生して世界線に負荷をかける存在だったからな。」


さらっととんでもない事を黒幕のエドワード・グリントは言いだした。

マキナはそれをブラフだと思い、エドワード・グリントの機体をスキャンし始めた。


「ん? これはスキャンか。いいだろう許可する」

「許可など要らない。無理矢理にでもスキャンさせてもらう。そしてこの間違った歴史をもとに戻させてもらうぞ」

「俺と殺る気か? 止めておいたほうがいいぞ?」

“スキャン完了”


マキナはスキャンした結果を表示してさほど変わりはないことを確認した。

やはりエドワード・グリントの言っていることはブラフだと確信し、ノワールにありったけの魔力を注ぎ込み切りかかった。


未来予測のシステムは何も反応を示さない。


「(システムは動いている。避けないつもりか?)破壊する!」

「俺はスキャンは(・・・・・)許可すると言ったが、パラメータ値の偽装の解析までは許可していない」

「なっ! う、動かないだと? オーバードライブ!」

“オーバードライブ、制限時間8分”

「……!?」


オーバードライブまで起動したが、ノワールを鷲掴みされ1mmも動かせない。

戻そうにも物理接触しているエドワード・グリントまで戻してしまうことになるため戻せず、離そうにも相手に武器を与えてしまうと言う二重の問題が出ている。


地上に居る4人は突然止まり、ジタバタと剣を握っているマキナに疑問を抱き声をかけてくる。

それを笑いながら見ているエドワード・グリント。


「それで全力か? 神力と言うのも私の前では役に立たない物だな」

「っ! クソ! これならどうだ! 出力200%衝撃魔術!」


まるで寺の鐘の中にいる時に鐘を突かれたときのような音が辺りに響き渡った。

だが相手は無傷、服も乱れていない。

マキナの中で先程言っていた事がブラフでは無いのではないかと言う思いが発生し始めていた。


「剣を離してほしいか? それ離してやるよ」

「!? ぐ……あ」

「マキナ様!」

「それと、私の名前はエドワード・グリントではないのだよ。この体になってからはアイオーンと名乗ることにしている。聞こえているか知らないが」


マキナは剣ごとクレーターが出来るほど強く地面に叩きつけられた。

圧倒的に出力が違いすぎると感じる前にシステムが落ちてしまったのだった。


“装甲破損”

“背骨及び各関節に歪み発生”

“内部機関損傷”

“危険、機体ダメージ重大”

“システムダウン”

“再起動シークエンスに移行”

“OSに破損領域検知”

“再起動シークエンスエラー”

“警告。魔導炉出力低下”

“警告。魔導炉出力低下”

“警告。魔導炉出力低下”

“危険。魔導炉出力低下”

“予備電源へ移行。速やかに魔導炉を再起”


屋上からメアリーが飛び降りて人だかりが出来ている群衆を掻き分けマキナの元へと駆けつける。


「マキナ様! 返事をしてください! って重い……! マキナ様! ……オノレ!貴様!」

「次はお前か?」

「我バンシーノ名ノモトニ禁呪ヲ行使スル。世界ニ記憶サレシ魔ノ法を今。コールオブバンシー!」


メアリー・ベン・ニーアは元々バンシーと呼ばれた妖精であった。

だが、絶望し魔物へと変貌し封印された。

それをマキナが解き、ひれ伏した。

それに名を付けたのがメアリー・ベン・ニーアである。

本名を開放したということは今のメアリーは相当切れている。


メアリーの片目からは血の涙が流れ、瞳は赤黒く染まっていた。

バンシーは泣き女とも言われ、家族やそれに近しい者のしが近い時に現れ啜り泣く。

故にコールオブバンシーはメアリー自身の根源魔法であり、死を与える即死魔法である。

そして両目から血の涙が流れた時アイオーンに根源魔法が発動した。

だが、虫を払うかのように体にまとわりついた即死の根源魔法の魔力を振り払ったのだ。

さすがのメアリーでもこれには怒りより困惑が見て取れた。


「そんなエーテルなど私に纏わりつけても無駄だぞ? ああ、私が言うエーテルはお前らにとっては魔力と呼ぶのか」

「アアアアアアアアア!!」


メアリーは無詠唱で魔法を発動させる。

黒い槍が何本も生成されアイオーンに放たれる。

しかし、体にあたっても服にさえ傷も解れも起きない。

それでもメアリーは魔法を放ち続け、魔力切れになりマキナに寄り添うように倒れてしまった。


そこに建物から降りてきた3人が合流する。


「マキナさん! メアリーさん!」

「俺が時間を稼ぐ! アリサは転移の準備を!」

「俺もやるぜ。ハイエルフのちから見せてやるぜ」

「はい! 長距離飛ぶので魔力酔に気をつけてください!」


アリサが詠唱を始め魔力を高めていく。

その間にダリアとシュペルがアイオーンに攻撃を仕掛けた。


「ダイダロスオーバーノヴァ!」

「レ・ボイド・ハイエデルタ!」

「その程度の魔法で私がどうにかなるとでも? ファイアショット」


直径10センチほどの火球に2人の攻撃はかき消されてしまった。

しかも火球の勢いは衰えずこちらに迫っている。


「フェンリル! 根性出せ! ここで出さなきゃいつ出す! シンクロ率100%!」

「ハイエルフの本気見せてやるぜ!」


ダリアは初代アリスと同じく、白銀に染まると根源魔法の詠唱を始め、シュペルは魔力を全て開放し、魔法を発動させる。


「氷界 ニブルヘイム」

「オミクロン・ハイボイド・ディストラクションブライク」


2つの魔法が発動し、アイオーンの放ったファイアショットを打ち消した。

辛うじて残った魔法がアイオーンを襲ったが、服にダメージを与えるだけで終わってしまった。

2人は魔力を使い果たし、膝を付いてしまう。


「協会まで一気に転移します!」


5人はその場から消え失せ視線はアイオーンに集まった。

だが何事もなかったかのように群衆が散り始めた。


「逃げたか。まぁいい。神格化した存在もあの程度と分かった。次の計画に移るとするか」


アイオーンもまた何処かへ転移していってしまった。

その場に残ったものはマキナが持っていたノワールだけ。







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