表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/26

4-4


異なる属性の魔法が一定時間一点に集中した結果、それらは互いに融合しあい混沌とした魔力の塊となった。

それは模擬戦用の武器でもダメージを軽減できないほどに膨れ上がっている。

アリーナ内に居た冒険者達は皆こぞって逃げ出し、職員も逃げ出していた。


「うおおお! 俺だけ活躍できてないぞ! フェンリルもっと力だせ!」

【これ以上はまた引っ張られるぞ】

「大丈夫だ! 問題はない! 行くぞ! シンクロ率90%! ダイダロス・ツインアサシン!」


ダリアは引っ張られる意識を必死に繋ぎ止め大技を放つ。

それは魔力の塊を切り裂き大規模な魔力大爆発(マナ・バースト)を引き起こした。

その衝撃波によりアリーナを囲っていたシールドは崩壊。外部へ衝撃波が漏れ始めアリーナを構成しているコンクリートの壁にも亀裂を入れ始めていた。


“警告。魔力大爆発(マナ・バースト)が発生。”

“危険。外部の魔力と反応し、首都全体が吹き飛ぶ危険性あり”

「対抗魔術を発動」

“警告。出力低下”

“出力75%”

“自己保存領域からロード完了。シュワルツシルト・ブラックホール”


刹那の時間に光が消え、あらゆる物質が消失した。

魔法も例外ではなく全てが消失したのだ。

あっけにとられている3人。

だがダリアだけはエルランディア(マキナ)に迫っていた。


「魔力持ってけ! ダイダロスオーバーノヴァ!」

「っ! シールド」

“警告。魔力不足”

“出力100%”


ダリアの拳から放たれた光がエルランディアを包む。

次第にシールドに亀裂が入っていく。


「出力を渋ってたツケが来たか。流石に戦略級魔術5つと対抗魔術は大きすぎた」


そしてシールドが砕け、ダリアの攻撃が直撃する。


「はぁ……はぁ……。やったぜええええええ! 見たか! 俺の筋肉を!」

「筋肉バカがやりおった」

「マキ……エルランディア様大丈夫ですかー!」

「ダリアさんお見事です!」


そんな中エルランディアはダメージとして全身真っ赤になって壁に凭れ掛かっていた。

ガス欠、魔力切れなのだ。

魔導炉はフル回転で魔力を生み出し続け、体を保持する。


「よくもまぁ、人の可能性は計算の斜め上を行くものだ。その可能性に賭けてみるのも良いかもしれないな」

「エルランディア様~! 真っ赤です! 私達の勝ちですよね!」

「ああ。4人の勝ちだ」


その時アリサが叫んだ。


「マキナさん! 上!」


つい名前が出てしまっているが気にせず上を見る。

亀裂の入ったコンクリートが砕け、降ってきているのである。

咄嗟にメアリーを抱き寄せ、シールドを展開。

ガラガラと音を立て崩れ落ちたコンクリートの瓦礫。


「マキナさん!」

「ダリア! 出番だぞ!」

「よしきた!」


三人が駆け寄り、ダリアが瓦礫を退かしていく。

数個の瓦礫をどかすとシールドが少し見えてきた。

数分掛けて瓦礫を全て退かすとシールドを解除してマキナがメアリーを抱いて出てきた。


「ダリア、アリサありがとうな。魔力回復中で反応が鈍った」

「いえ。エルランディアさん体大丈夫ですか?」

「機体チェックシークエンス開始」

“EM変換装置がオーバーヒート”

「しばらく魔術が使えなくなるだけみたいだ」

「でもよう? この有様どうするよ」


シールドは破壊され、コンクリートの壁も亀裂が入り崩落している場所もしばしば見える。

アリーナから被害を出さないためのシールドは回復しておらず魔導機械の許容量を超えてしまい破損したと思われる。


「まぁ待て。後少しで1回くらいなら魔術が使える。正確には根源魔法だが」

「根源魔法とは何でしょうか? 聞いたことがありません」

「この際だから教えておこう。ダリア、お前もいずれ使うときが来るかもしれない」

「どういうことだ?」

【初代アリスが行使した氷界-ニヴルヘイム-がそれに当たる】

「本当か! ご先祖様すごいな!」


ダリアは喜びの筋トレを始めたがそれを無視して話を進める。


「根源魔法は世界線に記録された魔法。これは何処の世界でも共通であり不変だ。これを作り出した者は我々が言う神だ。神話に近しい生物、武具を持って発動させることが出来る訳だが、そこの筋トレしているダリアが着ている物、フェンリルの素材で作られた服。これが発動に必要なものだ」

「通常では使えない魔法という認識でよろしいでしょうか」

「そうだな。私はWLCS……World Line Connection Systemで世界線と接続することで一切の制限なく全ての根源魔法を扱えるが」

「なるほど。なんとなく理解しましたが、根源魔法とこの状態がどう結びつくのですか?」

「見てればわかる」


エルランディアはEM変換装置が1回分冷却が済んでいる事を確認するとWLCSを起動した。

魔導炉は2000年前は1200m/sだったが、現在は1500m/sで動いている。

WLCSを使ったことにより1500まで一気に跳ね上がる。


“自己保存領域からロード完了。ワールドタイムリターン”

「え? 瓦礫がもとに戻って?」

「今事故保存領域から根源魔術をロードした。指定した時間までこの建物の時間を巻き戻す」

「さらっとすげーことしてるな……」

「ちなみに根源魔法は魔力を大量に消費する。下手に使えばシュペルの様に生命維持に必要な魔力さえも消費してしまうからな」

「げ。あれだけは勘弁」


話している間に指定した時間までアリーナの時間が巻き戻り、亀裂、崩れたコンクリートの壁はもとに戻りシールドを発生させていた魔導機械ももとに戻り再び稼働し始めていた。


逃げ出した職員達もアリーナ内に入ってきたが、あれ程の魔法の激突にヒビ1つも入っていない壁や地面をみて首をかしげていたが、エルランディア達のもとに来てやりすぎだと注意をした。


その後、アリーナの使用料金を払いホテルに戻る。

エルランディアの部屋で今回の反省会を開いていた。


「はい、今回の反省会の時間だ。まず私から。出力を渋りすぎて魔力不足でダリアに負けた。以上」

「え? それだけ?」

「それだけだが?」

「そ、そうか。じゃ、次は俺だな、俺は完璧だった!」


シュペルが胸を張って言う。

それにメアリーがツッコんだ。


「わざわざ魔法の発動の前に場所を知らせるような事はしないほうが良いと思います」

「げ、それを言うか……」

「やはりシュペルには筋肉が足りない! プロテインと筋トレ、肉アンド肉が改善策だ!」

「お前と一緒にするな!」


シュペルとダリアが騒ぎ出したのを尻目にアリサが話し出す。


「私は新しい制御式で魔法を使ったのですが、うまく魔法が制御できず威力が落ちてしまいました」

「それは慣れだな。今までが古い制御式だったからな」


エルランディアがフォローする。


その後メアリーまで騒ぎ始め、3人をショックで気絶させると部屋の外に放りだした。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ