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4-3




扉が開く。

そこに居たのはメアリーだった。


「マキナ様! 私というものが有りながら! 1人でそんな危ない人物に会いに行くなんて何を考えているのですか!」

「メアリーおすわり」

「わん! じゃなくて! 今町中では話題になっていますよ。少女暴行事件って。話に聞くと、少女に殴りかかった少女が倒され、魔導機械に撃たれたと! 最後に空へと消えていき、爆発音が聞こえてきたという話です!」


ここでアリサが我に返った。

今の話を聞いて更にマキナへ詰め寄る。


「マキナさん! 1人でそんなことをせず私達を頼ってください! メアリー様もこう仰られていますし!」

「そうです! このことは皆様で共有しましょう! ダリア様とシュペル様に至急アリサ様の部屋へ来るようにと連絡します!」

「おい、何処で調べた!?」


数分後。


「結局皆集まってしまったか」

「では先程のCGをどうぞ! ……マキナ様!」

「あー。はいはい。見せれば良いのだろ」


再び先程のCG映像を仮想スクリーンで流す。

CG映像を見ていなかった2人は難しい表情をしていた。


「なぁ、マキナが勝てなかったら俺たち意味なくね?」

「何を言っているシュペルよ! 俺が居れば百人力だ! ハハハ!」

【慢心するからこの間やられたのを忘れたのか】

「……戦いは数だ!」


アリサほど唖然としなかった2人であったが、シュペルは少し弱気に見える。

以前不意打ちとは言え完全に魔導機械にやられたからだ。

更にCG映像を見てマキナでも勝てない相手にどうすれば良いんだっと言った感情も有る。


「数か……そうだな。今度から皆に頼ることになるかもしれない。その時はグループ電話で私から指示を出す。これでも対UNKNOWN兵器だったからな。並列に処理することは容易だ」

「マキナ様がやっと素直に……! 感激です! いつもツンツンのマキナ様がやっとデレた!」

「メアリー、ゴーホーム」

「私は犬じゃありません!」

「とりあえず明日、4人で私に挑んできてくれ。アリサの新しい制御式の慣れもあるし、私の体の最適化も更にできないかこの後試す予定だ。では今日は夜も晩いから解散だ」


そう言うと各自の部屋へ戻っていった。

そしてなぜかメアリーがマキナの部屋に居る。


「自分のホテルに帰れ」

「いやん。マキナ様のいけ……」


メアリーが言い終わる前に服を掴み、扉から放り出した。


「あべし!」


1人になったマキナはベッドに横たわり、システムの最適化を始めた。

現在要らない機能は全て圧縮し、リソースを戦闘へ割り当てる。


「戦闘用へリソースを割り当て、不要プログラムは圧縮しアーカイブ処理。リソースを最適化開始。末端センサー調整、最適化開始。駆動系にバイパスプログラム構築、コンパイル開始」


マキナはあらゆる機能を調節し、戦闘用へ特化させていく。

神化したマキナの出力と速度を上回る相手に勝つにはソフトウェアと魔術で差を縮めなければならない。


「タフネスと身体強化100%だな」

“自己保存領域からロード完了。タフネス、身体強化完了”

「明日の朝6時にスリープ解除」

“了解。スリープへ移行”


この日マキナは眠りへと落ちた。

そしてまた仲間たちも明日に備え、筋トレをする者、瞑想をする者、マキナ1/1抱きまくらで寝る者も居た。


翌朝。


“指定時刻によりスリープを解除”

「ん。朝か。さて更新プログラムはどうなっている?」

“インストール待機中”

「インストール開始」

“了解。戦闘システム更新パッチ適応中”


マキナの瞳ディスプレイに進行度を示すプログレスバーが表示された。

戦闘システム以外にも更新が入っているようで違う種類のプログレスバーも出てくる。

数分でパッチの適応が終わり、自分で調整した範囲と更新パッチの差異が出ないように再度システムの最適化を実行する。


“調整完了”

「さて、どうなってるか確かめるか。4人集めてアリーナにでも行くか。4人にメッセージ送信」

“送信完了”

「先行っているか」


マキナは一足早くアリーナへと向かった。

4人はそれから1時間ほど後にマキナと合流を果たす。


「マキ……エルランディア様! 今日はよろしくおねがいします! 私ことメアリーは久しぶりに本気を出させてもらいます!」

「エルランディアさん、お早うございます。今日もよろしくおねがいします」

「どーせ負けるんだろわかってる」

「最初から負けると思ってるから負けるんだぞ!」


朝から騒がしい連中だとエルランディアは思っていた。

5人ともギルドカードを渡し、模擬戦用の武器を受け取る。

アリーナに入ると早朝だからなのか人が少ない。

しかし居合わせた人は本当に運がないだろう。

これから怒涛の魔法、魔術ラッシュが始まるのだから。


「エルランディア様! 行きますよ!」

「アリサ、行きます!」

「まあ、行くかぁ」

「ワハハ! 筋トレの成果を見せる時だ!」


タンク役のダリアがエルランディアに向けて突っ込む。

いつもどおり氷結の拳が来ると予測したエルランディアは衝撃魔術で吹き飛ばそうとした。


「出力0.05%衝撃魔術」

「筋トレの成果! 見せて! やるぜ! シンクロ率85%半フェンリル化!」

「なん……」

「ツインアサシン!」


衝撃魔術を突き破り、氷結属性の攻撃がせまる。

それをとっさに剣で防ぐと戦闘システムが次の行動を予測した。


「予想外だ。出力0.1%衝撃魔術」

「読まれ……ぐっ!」

「ダリア! 避けろ! ラレ・ヴァーミリオンベータ!」


風と炎の混合魔法だ。

だが、発せられる魔力のパラメータ値に応じてシステムが回避距離を出す。

軽く跳ねると、右に腕を伸ばし魔術を発動する。


「出力10%衝撃魔術」


その反動で左へと瞬間的に大きく移動する。

それによりシュペルの攻撃は空発に終わるが、システムがさらに予測を出してきた。


「雷雨に灯る炎よ! 爆ぜよ! レ・チリストレイト」

「これは、範囲が広すぎる!」


エルランディアを水が包み込みそこに雷撃が降り注ぐ。

水は電気により、電気分解され酸素と水素に分かれる。

そこに火種が発生し大爆発を起こした。


「やったか!」


ダリアが発した。

そこにシュペルがツッコんだ。


「筋肉バカ! それはフラグだ!」

「追撃します! 闇ヲ喰ラウ者、無ヲ操リシ者。月ヲ穿ツ者今ココニソノ力ヲ顕現セヨ。ダークネスハード!」


黒い光が収束し、闇が爆ぜた。

爆ぜた闇は黒い水玉模様を残しつつ消えていく。


「良い連携だ。だがそれではBTには勝てないな」

「うっそだろ、お前」

「いいぞ! もっとだ!」

“シールド負荷40%”

「私からも行くぞ!」

“自己保存領域からロード完了。コンセントレイト”

“自己保存領域からロード完了。グランドクロス、カタストロフィー”


コンセントレイトで一定時間魔術に対してブーストが掛かり、2つの戦略級魔術が発動する。


「うわ! エルランディア様それは無いですよ!」

「散れ、メアリー」

「私ですか!?」


直撃する寸前ダリアが間に入った。


「うおおおお! 俺はこの魔術に試されている! ツイン・アサシン!」


半フェンリル化で身体能力が上がっているが、放出され続ける魔術に押されるダリア。

しかし、それだけ時間があれば十分だった。


「レン・アブレディングガンマ!」


他の方向からエルランディア目掛けて魔法が放たれた。

発動させたのはアリサだ。

制御式を最適化した結果戦略級魔法が早く撃てるようになったのである。


“自己保存領域からロード完了。スーパーノヴァ”

「主ヲ喰ラウ者、冒涜ナル言葉ニ耳ヲ傾ケヨ。我ハメアリー・ベン・ニーア、死ヲ予言スル者。涙ガ枯レ果テタ古キ妖精ガ親シキ者ヲ呪殺スル言霊ヲ。ティアーズオブバンシー」


メアリーはダリアの背から離れ戦略級魔法を放った。

エルランディアはその魔法に対処すべく新しく魔術を発動する。


“自己保存領域からロード完了。アルマゲドン”

「上が疎かだ! エン・ボイド・ガンダルフィアイオタ!」


シュペルは氷の柱を作り上からハイエルフオリジナルの新制魔法を発動する。

それにも対抗すべく魔術を発動。


“自己保存領域からロード完了。ショックブレイクアウト”

“警告。出力低下。魔導炉の出力上昇”

“出力30%”


4人を相手にするにあたって出力を10%まで上げていたが、戦略級魔術の連続起動により魔導炉が発生させる魔力量を超えてしまった。

そのため自動的に出力が跳上った。




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