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1-1

チカチカとサーバーの稼働しているサインを出している。

64畳ある部屋にはサーバー群が所狭しと鎮座しているだ。

普通は冷却器、エアコンがつけられるが、その代わりに氷属性の魔道具が常に部屋を冷やし、膨大な計算をするサーバーを守っている。


そしてそのサーバー群の真中にケーブルが伸び、特別製の椅子に接続され、彼女が座っている。

その左肩の上にはサークル、円をクロスさせたようなものが浮かんでいた。


彼女は膨大に処理されたデータを再演算最適化し、外の企業にデータを送信し時には大学の教師もしている。


「27番サーバーに不具合。新しいのを持ってきなさい。」

『はっ!』


彼女はノイズが混じっていたサーバー番号を指定し、新しい物を魔法で伝えた。


「マキナ様持ってきました」

「取り替えよろしく」


マキナ()とはこの世界の神である。

しかし体は機械で出来ている。


信仰の影響でマキナの存在が神化し、出力が今までの100倍、耐久も全身パワーアップしている。


以前着ていた服は破けてしまったため、この世界の布で折ってある。


一応、別世界が作った人類のあらゆる叡智を組み込んだ機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナだ。


「……2000年か。この世界に知識や魔法を授けてきたのは」


その時である。

左足の機能が損なわれたのである。


“左脚部のマギICチップが破損、修復開始……完了”

“再プログラミング開始……コンパイル完了。再起動”


そう浮かんでいるものが音声を発し、左足を修復したのだ。

物には寿命がある。

今のがそうだ。

だが科学と魔法を融合させた機体により2000年も自律進化、修復を繰り返した。


通称 マキナギア。

これはマキナに搭載されていたシステムを複雑な魔法を常に魔導炉内で発動し続け外部に委託しているのだ。

それによりマキナ自身の処理が軽くなり、機械の限界である保存領域も確保しているのだ。


「直ったか。今日は金曜日。……なら外でも出歩くか」


マキナはいかにも神々しい衣を纏い、外へ出て行く。


“大気中の成分分析開始……完了。正常値”


マキナギアがそう告げた。


「ふむ。さてどこからであるこうか。」


マキナが道を歩いていると、年相応の人は顔を下げるが年齢層の若い青年は文明が発達したためマキナへの信仰が薄い。


それでも頭を下げてくれる人には施しをしている。

痛いところはないか、持病はもってないか。



マキナはコンクリートで舗装された道を進み、裏路地へ。

文明化した負の面がある、これがその例だ。

廃棄されたリサイクル可能な魔導機械、そして文明が進み職がなくなった貧困からくる犯罪。


「ほらそこ、泥棒は駄目だ」

「どけえええ!」


ナイフを懐から抜き、マキナめがけて刃を突き立てた。


肉と服を切り裂く音がした。

が、それとともに金属音。


「ま、まさか……あなたは……ぁぁぁ!」

「普通の人は死ぬだろうね。じゃ、警察だ」

「うっ!?」


マキナは魔法発動のキーも無く相手をスタンさせた。

キーとは何属性を使うか宣言し、どういう形か設定し、放つキーが必要なのだ。


マキナはそのキーを使わずに魔法を行使した。

それはマキナの自律進化にあるのだ。

魔法のキーを解析最適化することにより魔法のキーを自己記憶領域に保存できるようになったのだ。


つまり、想像するだけで魔法が発動するのだ。

そしてマキナほどの演算能力があれば人間の想像速度の比ではない。


「ふう。服直さないと完全痴女だな」


これもまた魔法である。


「とりあえず警察に通報しておいて」

“了解。警察署の回線とリンク開始”

“座標データマッピング完了”

“リンク完了。座標、罪状添付。送信”

“完了”

「相変わらず早いな。人では聞き取れないぞ」


マキナは治安が悪い地帯を歩き回り、恐喝、強姦、殺人などの未遂事件を報告していく。

実際、銃で撃たれたのだがマキナの装甲を傷つけることはできず、銃を分解されスタンさせられていた。


「さて、帰るか」

“報告。教会からの通信”

「開いて」

『マキナ様! どこに行かれたのですか!』

「あー。座標データ送る」

“送信完了”


しばらくの沈黙から通信から大声で声が鳴り響いた。


『その地帯は危険ですと何度も言っているじゃないですか!』

「治安を維持しないと―」

『それは警察に任せればいいのです! とにかく! 明日大学講義の依頼が入っていますからお願いしますね!』

“通信終了”

「んー。メアリーは私への信仰信はすごいのだけど、過保護すぎる。……転移でサーバールームに帰るか。」

“了解”

“自己保存領域からロード完了転移開始。”


この間0.0001秒

以前であれば転移モジュールからロードして転移先を指定して転移だったが、マキナギアにより、勝手(・・)に静止軌道上に転送したGPS信号を拾ってスムーズに転移ができる。


“完了。誤差無し。”

「これで小言ハリケーンを受けることもないな。さて明日の情報を引き出すか」


椅子に座ると今まで赤色にラインが走っていた椅子が青色に変わった。


「なるほど。大学と言っても防衛大学か……内容は戦地での行動ねぇ」

“提案。戦術ネットワークの提唱”

「却下。まだ電子機器が普及してから間もないのだから無駄。と言うか、いつからそんなに喋る様になったの」

“マキナギアシステムは人格データも参照するため、その副産物かと推測”


処理を任せているとは言っても勝手に進化するのは面白いものだとマキナは思っていた。

その後溜まっていたデータを処理し、スリープモードに入るのであった。


「やあ」

「なんだ。あの時のおっさんか。まだ私は壊れていないぞ」

「いいじゃないか。たまには可愛い娘の姿を見に来ても」

「は?」


マキナは突然告げられた事実に思考系がフリーズした。

約5秒でフリーズから復帰すると、その男から背を向けぶつぶつと言葉を漏らし始めた。


「いやいや、ちょっとまて。設計思想段階で要らない情報はオリジナルの私から転送されなかったはずだから私が知らないのもあるが……。本当に私の親……? あれ最高命令者だれ? ただのロリコンではないか? ん? なぜロリコンと思い出せるのだ? 絶対にいらない情報だと思うのだが……。親と最高命令者だけが消されている?」

「なぁ~。お父さん泣いちゃうぞ? まーいー?」

「このロリコン野郎! ちょっと黙っていろ。この情報があるってことは何かしらの理由で親と最高責任者の情報だけが私のオリジナルから転送しなかったのだろ。」


男は髭に手を当て考え込むと、険しい表情になった。


「それはおそらく人類復興後の舞の扱いに関してのことだろう。舞のスペック的にはすべてのプロトコルにアクセスできる。いわばやりたい放題だ。そこにブランクの親情報と最高命令者の情報を後付けすればどうなる?」

「あぁ、復興途中で私を使ったらなんでも乗っ取れるし武器も聞かないだろうね。技術情報も私の中に入っているから何もできない簡単世界征服だ。私は最高命令者の命令には逆らえない。しかも親情報も来たものだ、逆らう義理がない」

「そこでこっそりそれをプロテクトする情報データを作っておいた。まぁ元の世界は死んだが、こちらの世界の文明レベルを上げると乗っ取られる恐れがあるからな」


マキナはデータを渡されると、ウイルス感染の無いようにデータをマキナギアに走査させる。


「やだなぁ。データの走査なんかしちゃって。それなら直したときにインストールしているよ。お父さん泣いちゃう!」


男はくねくねとしているが、マキナは念入りにデータを走査しているため、無視している。


「よし、インストール。」

“警告。不明なデータのインストール。”

「いいからやれ。」

“データインストール開始。親情報入力;鈴木 蓮司(れんじ)、最高命令者入力:DEM001PT……完了”

“ウイルス検知無し。データインストール完了”

「だろ~?」


男、いや蓮司はどや顔でこちらに歯を見せている。

とても白い。

これは自分のデータを改善したであろう。


「蓮司っていうのか。最高命令者が私になっているがこれバグ起きないか?」

「大丈夫。舞も走査しただろ?別スクリプトで処理されるようになっているから」

「ならいいけど」

「ところで面白いもの作ったね。データから読み取るとマキナギアって言うんだな。魔導炉内で神力とかした魔力をごく少ない神力で処理を任せて軽減している」

「よくわかったな」


マキナは少しの驚きの表情を見せるとすぐに素面に戻った。

マキナギア自体は複雑なフローを踏んでいるが、神力の1%も使っていない。


“マキナギアと申します。よろしくお願いします。お父様”

「お?意思もあるし喋れるのか! よろしくな!」

「(くっ。仮にも私の副産物の意思!それでお父様など……! ……この年になって恥ずかしい。)と、とりあえずいいたたいことはそれだけきゃ!?」

「おい、噛みまくってるぞ。まあ、渡したかった物はそれだけだ。ちゃんとお父さんに会いに来てくれよ?」


ニコニコしながら手を振っている。


「誰が合いたくて来るか!」


マキナは再びスリープ状態に移行したのでる。


「2000年前はあんなにうじうじしていたんだけどなぁ。もしかして反抗期!?」


そういいながらDEMモジュールもスリープに入った。







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