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4-2




「では行きます! 闇夜に輝く聖なる炎よ、漆黒の闇を聖火の炎で照らせ! エル・ファイグスダース!」


辺りが暗く、光の一つも入らなく暗黒に包まれる。

そこに光り輝く白い炎。

それがエルランディアに向けて飛来した。


「近距離戦闘モード改」

“近距離戦闘モード改プロファイル適応”

“出力1%”


飛来した魔法を模擬戦用剣で切り伏せる。

1つ、2つ、3つ。

すべてを切り伏せたが周りの闇は晴れない。


「サーモグラフィー起動」

“瞳のモードをサーモグラフィーに変更”

「そこか、出力0.01%衝撃魔術」

「! 魔力よ! 衝撃となりて我の敵を吹きとばせ! 衝撃魔術!」


2つの魔術が衝突し、衝撃波が辺りに届いた。

もちろんアリーナを使っているのはエルランディア達だけではなく他にも居るわけで。


「うお!? 今のなんだ? あの黒い空間で何が起きてるんだ?」

「貰った!」

「甘いぞ! どりゃあああ!」


闇の中エルランディアは、魔術が相殺されたことを検知していた。

瞳は現在サーモグラフィーモードになっているため周囲が暗くても正確にアリサを捉えている。


「今度は本気で行きますよ! 星々が十字に並ぶ時定の時は来たらん。すべてを破壊、抹殺、圧殺、焼死、水死、星を砕く力を今ここに! レン・アブレディングアルファ!」


アリサから大量の魔力が放出され、空気が振動し始めた。

周りを暗くしていた闇が消え、代わりに頭上から光が降り注ぐ。

それが迫ってくるごとに突風が吹き荒れ地響きが起き、更に振動が強くなる。


「新制魔法の戦略級魔法か。ここまで出来るとは少し予想外だ。出力10%」

“自己保存領域からロード完了。グランドクロス発動”


新制魔法とは、旧魔法が科学によって制御式が変更された新しい魔法である。

その扱いは旧魔法に比べると難しく、ほとんどの魔法使いは旧魔法を取得する。


エルランディアの戦略級旧魔法と衝突する。

刹那、大威力の魔法がぶつかり合い、一瞬にしてすべてを吹き飛ばした。

模擬戦用で殺傷能力は無いとは言え衝撃は凄まじく、外部への被害を防止するアリーナのシールド発生装置に極端に負荷を与え、それを運用管理していた職員は急いでサブのシールド発生装置にバイパスした。


アリーナ内に立っているのはアリサとエルランディアだけになった。

他の利用者は先程の衝撃で吹き飛ばされてしまった。


「アリサすごいな。ここまで出来るとは。しかもまだ魔力残っているなんてな」

「ありがとうございます。しかし、新制魔法を使う分は心持たないです」

「それで十分だ」


エルランディアは一気に距離を詰める。

アリサは振るわれる剣を杖で防ぐ。

しかし、怒涛のラッシュについて行けず致命傷にならない部分を捨て、重要な箇所だけを防御する。


「っ! 魔力よ! 我を守りたまえ! シールド!」

「出力0.5%衝撃魔術」

「きゃ!」


シールドが砕け、エルランディアの一撃が決まった。

勝負有りだ。


「負けてしまいました。さすがエルランディアさんですね」

「そうでもないさ。さて、帰って今回の反省会だ」

「はい。私ももっと魔法の制御を鍛えなくてはなりません」


2人はアリーナを後にする。

エルランディア達が去ったアリーナでは吹き飛ばされた利用冒険者が2人の噂をギルドで流し始めたとか。


「プロファイルのテストは終わったし、後はプログラム待ちか」

「エルランディアさん、何か有ったのですか?」

「んー。有ったと言えば有ったな」

「これが今回の手合わせと関係がお有りに?」

「そうだな」


ホテルに入るとアリサの部屋で反省会を2人で開いた。

主に話し合うのは魔法の制御、消費魔力の削減、立ち回り。


「アリサって誰に魔法教わった?」

「はい、私は専属の魔法使いに教わりました」

「使っているのは新制魔法だが、それも同じ人から?」

「はい」

「制御が甘い原因はそれか」


新制魔法は比較的新しい部類の魔法であり、専属の魔法使いでは最新の制御式について行けていないパターンがある。

アリサの新制魔法の制御が甘いのはそれのせいである。


「アリサ、新制魔法の制御式を開始から発動まで言ってみろ」

「はい。”開始”―”Main”―”属性”―”Function”―{”制御”―”座標指定”―”圧縮”} ―”発動準備”-”術式コンパイル”-“発動” です」

「うん。無駄があるね」

「無駄、ですか」

「ああ、最新の制御式は ”開始”-”Main”-”Function”-{”属性”and”制御”-”目視指定”}-”術式コンパイル”-”発動” になる。ここで重要なのが”Main”の後の”属性”が”Function”の中に入っていることだ」

「それだと属性指定ができず、破綻してしまうのではないでしょうか?」


旧魔法ではそうであったが新制魔法の場合はそれに限らない。

そもそも新制魔法は魔術体型を取った魔法である。

魔法と魔術のいいとこ取りが新制魔法だ。


「なるべく制御式を短くすることで魔法の発動と魔力の消費を抑えることが出来る。”属性”に関しては属性と制御を同じ関数に入れることでほとんどの新制魔法が使い回すことが出来る。もともと威力が高い新制魔法に圧縮は時間の無駄だと言うことでこれは削除。座標指定から目視指定になったのは目視から座標を演算することで正確に魔法を発動させるための座標指定と言う負荷を無くし、発動を早くしている。発動が早くなるため、遅くなる要因の準備は削除。これで発動速度向上と消費魔力の削減ができるわけだ」

「えぇ……。早口でしたけど大体わかりました」

「(マキナギアの癖が移ったか?)ならいいけど」


そんな考えもしつつ、カーテンを閉める。


「なら早速その制御式で魔法を使おう。光属性のレヴィッツで良いだろう」

「はい。行きます。光よ! 周りを照らせ! レヴィッツ」


部屋が魔法で明るくなり……過ぎたためエルランディアは遮光モード。

アリサは直接見てしまったがために目を抑えていた。


「魔力込めすぎね。今まで圧縮が過程に有ったから普通より過剰の魔力を要求していたが、なくなった分過剰の魔力がそのまま魔法として変換されるのだ」

「先に言ってほしかったです……目に光が残っています……」

「だろうな。アリサなら気がつくと思っていたのだが、これも予想外だ」


アリサは若干涙目になりながらも話し始めた。


「今更ですけど、服装が変わっていますね。持ってきたのですか?」

「いや、メアリーに買ってこさせたらこうなった」

「エルランディアさん……マキナさん、本当にどうしたのですか? 何か隠しているのでは無いでしょうか?」


カーテンを開けつつ、渋っていた内容を話しだした。


「実はだな、例の少女に会ってきたんだ」

「早いですね。それでなんと?」

「出力10%で殴りかかったら返り討ちにされた」

「え?」


アリサは困惑していた。

マキナの出力10%はよくわからなくとも、かなり強い状態であったと理解していたからだ。


「しかも出力20%にあげて挑んだが、逆に装甲貫通、内部機関を損傷した」

「ちょ、ちょっと待ってください。少女なのに何故マキナさんと同じ戦いが出来るのですか?」

「ああ、少女(あれ)は人間じゃない。私と同じ魔導炉を搭載したアンドロイドだ」

「え? え? 同じ?」

「ちょっと昔に世界線が分岐していたのだ。その時に紛れ込んだ異物だ。少女(あれ)は自分のことをDEM001BTと言っていた」


マキナは戦闘ログから再現したCG映像を仮想スクリーンでアリサに見せていた。

アリサは赤子の手を撚るかのごとくマキナを倒した映像に口を開けて見ている。


「そんな……信じられません」

「しかもこれには黒幕が居ると来た。おそらく黒幕はこれの比では無いだろうな」


そんな非現実的な話をしていると、扉のロックが解除された音が聞こえてきた。

レーダーには青色のアイコンが扉の前でうじうじしていたのを確認しているため、特に何もしなかったマキナである。


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