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4-1




転移でホテルの屋上に戻ってきたエルランディア(マキナ)

その体には戦闘の痕跡が残っていた。


“機体ダメージ40%速やかにシステムチェック、修復を推奨”

「分かっている。システムチェック開始、再起動シークエンス」

“了解”


エルランディアはホテルの屋上入り口にもたれ掛かると、システムチェックの為に再起動に入った。


“システムチェック”

“近距離マルチロックシステム……エラー。修復開始”

“近接戦闘プロファイル……問題なし”

“機体ダメージ修復開始”

“装甲亀裂修復完了”

“人工皮膚修復完了”

“骨格修復中……完了”

“ダメージセンサー及び各種センサー修復開始……完了”

“近距離マルチロックシステム修復完了”

“再起動シークエンス開始”

“各部オンライン、人格ロード完了。起動開始”

「ん。終わったか」


エルランディアは立ち上がり体を動かし、異常がないかチェックしていた。

あれだけ盛大に背負投され、装甲抜かれて衝撃魔術を行使、避けれない状態で銃弾を貰ったりしたからである。


「よし、異常はなさそうだ。さて服をどうにかしないとならないが……メアリーに任せるか」

“要注意”

「わかってる」


屋上の扉もハッキングして解錠する。

ホテル内に入ると人に合わないように自室へと戻った。

ベッドの上には涎を垂らしながら恍惚の笑みを浮かべているメアリーが居た。


「起きろ」

「うへへ……マキナさまぁ……そこはだめですぅ……」

「……メアリー!」

「はっ!? 夢!? そんなー。でも今から既成事実をってマキナ様! 服! 服!」

「服買ってきてくれ。いいか、普通の服を買ってこい。いいな? 絶対だぞ?」


そう言うとメアリーを持ち上げ外に出した。

扉を閉めると先程の戦闘の解析を始める。


「未来予測で避けられると言うことは人格以外に高度な戦闘システムがインストールされている可能性があるのか」

“可能性有り。疑問、DEM001PTではなくDEM001BT”

「BT……。私がPersonalTypeならBTはBattleTypeか?」

“不明。可能性は高い”


部屋を歩き回り、演算をしているエルランディア。

それに並行してマキナギアも演算をしている。


「戦闘ログオープン。……最初の背負投の時点で相手の反応速度が1秒早く、高周波ブレードを避けている時は1.5秒も早い」

“当機の出力10%でタイムラグ1から1.5秒での相手の出力は約87%。未解明な部分を含めるとプラマイ10%。更にパラメータ値のログには87%も記録されておらず、高等魔法使い並。結論、相手の出力はこちらより低い値”

「魔導炉の出力が違うのか。私は1500m/sだが、相手はそれ以上かつ未知の戦闘システムと四肢の反応速度の差」

“提案、お父様への助言を拝借”

「それしか無いか」


エルランディアはベッドへ横になるとDEMモジュール内に自我データをリンクさせた。

そこには相変わらず暇そうな父親が居た。

エルランディアを見るやいなや駆け寄ってくる。


「舞! 体は大丈夫か? 一時期オフラインになってお父さん焦ったぞ」

「損傷箇所は直した。それよりこの解析結果見て」

「何々? BT? ふむ。ちょっと待ってな」


蓮司はテーブルと椅子、コーヒーを2人分出すとデータ解析を始めた。

時々渋い表情をするときもあるが、コーヒーを飲みつつデータを読み進めていく。

DEMモジュールはそれほど高性能ではないため、蓮司の自我データの処理だけで70%を持っていっている。

残りの30%を使ってデータを解析している訳だ。


「これ、解析結果から見ると相手相当スペック高いぞ。魔導炉出力1500m/sだが、神力になって実質更に上がっているんだ。それで負けるなら相手が悪い」

「ではどうしろと?」

「明日までに戦闘システムの更新データを作っておく。これで未来予測が向上するはずだ」

「じゃ、任せた。んん? 今日は戻る」


そう言うと舞はDEMモジュールとの自我データのリンクを切断した。

目を開けると、服を脱がしているメアリーの姿が有った。

しかも夢中になっていてマキナが目覚めたのに気がついていない。

しばらく観察していると視線を感じ取ったのか目が合った。


「あ。マキナ様買ってまいりました! ぜひ着てみてくださ……ばふん!」

「まったく。何を買ってきたんだ? 紫のロングワンピースと黒のレースビスチェ? まあ良いだろう」


マキナはベッドの上で伸びているメアリーに破けた服を投げ捨てる。

そして服を着る。

メアリーは気絶しながらも恍惚の笑みを浮かべていた。


「まあ、こんな感じだろう。一応魔術掛けるか」


記憶領域から魔術をロードすると服全体に魔術をエンチャントした。

エンチャントした魔術はタフネス。

物の強度を上げる魔術であり、軽度の破れ、破損であれば自動修復するものである。


「さて、マキナギア。戦闘用に各部プロファイルを調整してくれ」

“了解。近接戦闘プロファイルを適用。調整開始”

“各部駆動区域調整。予備エネルギー供給ライン調整。出力リミッター上限値再設定”

“完了”

「ふむ。ちょっとは良くなったか?」

“このプロファイルでの長時間戦闘は非推奨”


当然のことながらリミッターやエネルギー供給量を上げ、無理な動作をする分各部にかかる負荷は大きい。


「そう言えば、アリサと手合わせしてないな。シュペルは治ったばかりだからよしておこう。そうと決まればなんとやらだ」


メアリーを放置してアリサの部屋へ向かう。

カードを渡した時に番号を覚えていたのでレーダーを気にする必要はない。

部屋の前まで行くとハッキングはせず普通にノックする。


「はい、どなたですか?」

「私だ。エルランディアだけど」

「あ、今開けます」


扉が開くとアリサの部屋へと入る。

エルランディアはアリサと手合わせしたいと言う示唆を伝える。

それに喜んで賛成する。

魔法を使う分普通の公園などでは被害が出てしまうため、ギルドが運営するアリーナへと移動する。


「エルランディアさんと手合わせするなんて初めてです」

「ちょっと色々あってな。体のテストをしなければいけないのだ。明日も付き合ってくれるか?」

「もちろんです」


色々話しながら歩いていると標識を見つけた。

どうやらギルドのちょっと行った先にあるらしい。

二人は世間話をしつつ、アリーナへと向かう。


アリーナに到着すると職員にギルドカードを見せる。

アリサは旧王家ともあり、戦時には冒険者として出陣することを家訓で示されているためギルドカードを持っている。

エルランディアは協会と政府特性偽造ギルドカードを提示する。

職員がカードをリーダーに通すと、ネットワークを通してシルフ大陸のギルド管理サーバから情報が表示される。


「確認いたしました。アリサ・アインス様、エルランディア・プロイ様ですね。ではこちらの利用券をお持ちください」

「ありがとうございます」


利用券には発行時間と部署が印字されていた。

アリーナは利用時間に応じて料金を取る方式になっており利用券がそれを示している。


「では模擬戦用武器をお渡しします。アリサ様には模擬戦用長杖、エルランディア様には模擬戦用剣を。では頑張ってください」


模擬戦用の武器には2つの特徴がある。

1つ目はあらゆる攻撃手段が全て非殺傷攻撃へと変換される。

ゴムボールが当たるぐらいの衝撃だ。

2つ目は攻撃があたった箇所が赤くマークされる機能だ。


「この辺でいいか。始めよう」

「はい。よろしくおねがいします」


そして2人の手合わせが始まった。






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