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3-8



メアリーを自分の部屋に残し、ダリアがいる部屋までレーダーを頼りに迫っていく。

するとパラメータ値が変動し始めたのだ。


「魔力が徐々に上がっていくな。これはダリアのものだ。……ちょっとまて、ダリアはまだあの形態に至れていなかったはずだ。と、言うことはフェンリルだな!」


エルランディア(マキナ)はダリアのいる部屋をノックする。

反応がない。

もう少し強くノックしたがやはり反応がない。

電子ロックにハッキングし扉を開ける。


その瞬間、ダリアが砲弾のように向かってきたが、エルランディアに頭を叩かれ通路へ頭から滑っていく。


「おーい、ダリア大丈夫か?」

「ぬお! 正気に戻ったぞ! ありがとな、エルランディア!」

「ちょっとフェンリルと話すから部屋に戻る」


ダリアの部屋に戻ると、ベッドに腰掛けた。

フェンリルの魔力波は既に知っているため、チャンネルをあわせ、ダリアにも聞こえるように声と通信両方で話しかける。


「フェンリル、なにか申し開きは?」

【……いや、なんだ、最近表に出て無くてな。ついつい力が出てしまったのだ】

「で、ホテルを切り裂いたと」

【陣の1部を破壊してやったのだ。感謝……】

「ボロ布にされたいか?」

【正直すまなかった】


それだけ聞くと、エルランディアは先程のホテル近くの屋上まで転移していった。

目的はブラウから聞いた少女だ。

レーダーを常に監視しつつ周囲にも目を配る。


「(まだ来ていない? それとも遅かったか?)」


しばらく待機していると、重機の音が聞こえてきた。


「(マキナギア、魔力探知)」

“了解”

「(ズーム。……ビンゴ。マントを羽織っている小さい者がいるな)」

“報告。高速魔力生成反応有り。魔導炉と推測”

「(何? 私の魔導炉は元の世界でも実験段階だったのだぞ。それが何故反応……)」

“推測。以前発生した世界線の変動時に元の世界に限りなく近い世界線からの侵入者”


重機が到着し、ホテルのオーナーと話している少女。

こちらからでは口元が見えないため読唇術は使えないが、オーナーが頭を下げたことはわかった。


「逃がすな!」

“了解。ディメンションロック”


エルランディアは出力を10%まで引き上げるとビルから飛び降り、少女目掛けて拳を振り抜いた。

完全に奇襲成功したと思われたが、寸前で腕を捕まれ背負投の勢いで地面に叩きつけられた。

ディスプレイに一瞬ノイズが走る。


「驚きましたね。私の後ろから奇襲してくるなんて」

「このっ!」


エルランディアは高周波ブレードをATSで転送すると少女目掛けて振るう。

当然避けられたが、目的は敵の拘束から逃れることである。


「近距離戦闘モード!」

“了解。駆動系プロファイル変更完了”


「よっと。おっと、危ないですね。ですが、DEM001PTでは私DEM001BT(・・)には勝てませんよ」

「何を!」


エルランディアは未来予測を持って高周波ブレードを振るっているが、少女に軽々と避けられる。


「(出力20%)」

「ふむ。出力を上げましたか。ですが……」

「うがっ!」


エルランディアの腹に少女の拳がめり込み衝撃魔術が発動された。


“内部機関損傷、装甲破損”

“修復開始。完了まで残り150秒”


ディスプレイにノイズが交じる。

更にエラーも表示され、損傷部分により動きが制限される。


「くっ。出力40%!」

「はぁ。相手になりませんね。サモン。それでは失礼します」


そう少女が言うと、3体の魔導機械が現れた。

それと同時に少女は転移阻害のディメンションロックを破り何処かへ転移していってしまった。


「マキナギア!どうなっている!」

“推測。術式のハッキングによる空間転移”

「だからそれがどうなっていると聞いている!」

“不明”

“修復完了まで120秒”


エルランディアは立ち上がるが、直ぐに膝を付いてしまう。

“左足接続部にエラー”

“修復まで残り30秒”

立て続けにエラーが襲いかかる。

魔導機械もガンブレードを持ってこちらへ歩いてくる。

パラメータ値も今までの魔導機械とは桁違いに高い事がノイズ走る瞳のディスプレイからわかった。


「時間さえ稼げばいいのだ。ディメンションシールド」


エルランディアの周りに空間属性のシールドが張り巡らされた。

しかし、魔導機械達は迷うこと無くガンブレードを銃モードにするとエルランディアに向け、発砲した。

銃弾はシールドに触れると、空間に波を起こしながら徐々に迫ってきている。

動かない左足を腕で支えると、動く右足でシールドを解除し後ろへ飛んだ。

それと同時に銃弾が地面を抉る。


「空間属性が付与されているのか。面倒だな。あと何秒だ」

“内部機関及び装甲90秒”

“左足接続部15秒”

「長いな。空間転移モジュール起動」

“エラー。接続されていません。推測。腹部の損傷による回路切断。”

「ってことはDEMモジュールもだめか。」


魔導機械達は第二射目を撃とうとし始めていた。

エルランディアは避けようとしたが、後ろには逃げおくれた市民が居る。

人類を守ると言う使命に縛られたエルランディアには避けることができなかった。


「うぐっ。各部チェック……」

“左腕オンライン、右腕オンライン、左足オンライン、右足オンライン、空間転移モジュールオフライン、DEMモジュールオフライン”

「足が動けばいい。さてやるか」

“出力60%”


高周波ブレードを振るうとガンブレードがいとも簡単に切り裂かれる。

それを見た魔導機械は距離を取り、銃モードで射撃してきた。

どれも性格に頭を狙っている。

処理装置が高性能だということだ。


「そんな弾丸切り落とせばいいだけの話だ」


出力の上がったエルランディアは先程とは桁違いの早さで敵魔導機械に接近すると高周波ブレードを振り抜いた。

胴体が2つに別れ、1体は機能停止。

残る2体は何やら魔術を使うらしく、手を向けていた。

「バインド」

「バインド」

「そんな初歩的な魔術で!」

「出力100%」

「出力100%」


2体とも出力を最大限まで上げて締め上げを強くしてきたのだ。

しかしまだ余力がある。


“修復完了。DEMモジュールオンライン、空間転移モジュールオンライン”

「オーバードライブ」

“制限時間20分”


DEMモジュールにはオーバードライブと言うリミッターを解除するシステムも含まれており、現在出力60%だが実際は80~90%に至る。

バインドが吹き飛び、反動で魔導機械が蹌踉ける。

そこにエルランディアの回し蹴りが入り込み、頭が潰れて2体目機能停止。

3体目がエルランディアを拘束する。


「リミッター解除。データ送信完了。自爆シークエンス開始」

「なっ!? 振りほどいて破壊して……はずれない!?」

「無駄デアル。空間魔術ニヨリコノ場ニ本機ヲ固定シタ。トモニ爆散シテモラウ」

「喋れるのか。そうかい、だがヒントをどうも」


すぐさま同じ空間属性の魔術を行使する。

世界を隔てない空間魔術は時に共鳴とも言える反応を示す。

先程の銃弾がその例となる。

すなわち、魔力量が大きいエルランディアが体に同じ様固定すると共鳴現象が起き、ハッキングより速い魔術の乗っ取りができるのである。


「上まで上がる!」

“ATS フォトンウィング”


一瞬にして音速を突破した衝撃で周囲のガラス窓が割れた。

エルランディアと魔導機械はほんの数秒で成層圏まで到達すると、魔導機械を成層圏外に投げ捨てる。

投げ捨て程なくして大爆発を起こす魔導機械。

それを見届けると宿泊先ホテルへと転移していったのだった。





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