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3-7



エルランディア(マキナ)はホテルの前まで来ると、ホテルの惨状に声を上げた。


「なんじゃこりゃ! この傷跡は知っているぞ。ダリアァ!」

「エルランディア、耳元で叫ばないでくれ……」


ホテルに入ろうとした時フロントマンに止められた。

曰く、ホテルが崩れる可能性が有るため他のホテルに移ってほしい。お金はお返しします。だそうだ。


「……(ここが崩れたら陣が崩れる。小さい女が現れる可能性もあるか?)」

「あの、お客様?」

「ああ、他のホテルに移るんだったな。荷物だけ取りに行っていいか?」

「はい。危険なので手早く戻ってきてください」


シュペルをフロントのソファーに寝かすと、アリサとシュペルの荷物を持ってフロントへ戻ってきた。

ダリアは既に居らず、他のホテルに移動したと思われる。

アリサの部屋には扉を蹴破り入り込んだのであった。


「さて、シュペル今は荷物しまえないから自分で掴まれ。ほれ。」


エルランディアは背中を向けると早く乗れと急かした。

シュペルはゆっくりだがマキナの背中へ。


「だりぃ、体痛てぇ」

「帰ったら治療してやるから少し我慢しておけ」

「さて、ダリアは何処にいるんだ?」

“ルートを表示します”


エルランディアはシュペルを背負いつつ、スーツケースを引っ張りながらホテルを出た。

当然のことながら148センチのエルランディアが高身長、しかも男性を背負いながらスーツケースを2つも引っ張っていたら周りの目を引く。


「なぁ、エルランディア、俺歩くからいいよ」

「ただ乗っかっているだけで精一杯なのにそれは駄目だ」

「なら転移で……」

「それも駄目だ。今の時代にも冒険者は居るんだ。うかつに高出力の魔力を使う転移は不味い」


そんなこんな人目を引きつつマキナギアのルート案内に従ってダリアが移ったホテルへと到着した。

中に入るとまたしても周りからの視線。


「部屋3人分、カードで」

「か、かしこまりました。……はい、カードの確認が取れました。エルランディア・プロイ様ですね。カード式オートロックの扉なのでこちらのカードをお受取りください。万が一無くされたり破損してしまった場合には弁償ということになるのでお気をつけください」


エルランディアはカードを受け取ると口に加えて部屋に向かっていった。

部屋の扉の前まで来るとふがふがと何かを言っている。

それをマキナギアが人に聞き取れる早さで喋りだした。


“シュペル、カード使ってロック解除して”

「あー。はい。これか?」


シュペルはエルランディアの口元からカードを取ると、オートロックのカード差込口に差し込んだ。

しかし、ランプが赤色に点滅しカードが違うことがわかった。


「じゃ、これか」


もう一枚を差し込むと緑色に点滅し、カチっと音がなった。

カードを抜き取るとドアノブをひねり、扉を開けた。


スーツケースを部屋の端に置くとテーブルの上にカードを置いた。

シュペルをベッドに寝かせると、再び心臓の上に手を置き、魔力を流し始めた。


「あ“~。生き返る~」

「今のまま襲われたら対処できないからな。それに面倒を見るのも私の役目だ」

「またまたツンデレだな~。ちょっと? その振り上げた左腕は……やめ、あっ!」


数十分魔力を送り続け、完全に回復したと判断したエルランディアは魔力を送るのを止め、シュペルを起こす。


「おい、起きろ。シュペル」

「はっ! お? 体がもとに戻ってるぞ! サンキューエルランディア」

「まったく。メアリーが居なかったら死んでいたぞ」

「怒るなって、俺だって何が起きたかさっぱりわからなかったんだから」


エルランディアは分かっているつもりでも、預かっていると言う都合上本人の不注意で死にましたでは済まないのである。

シュペルにカードを渡すとベッドに腰掛け、アリサへメッセージを作成していた。


「(ホテルが壊れたので、ホテルを移動した。場所は添付ファイルを参照)送信」

“送信しました”

「ダリアは後でいいか。まずはメアリーだ。メアリーを呼び出して」

“了解。メアリーの端末に接続”

“暗号化した添付ファイル送信”

“完了”


10分ほど待っていると電子ロックが解除された音が聞こえてきた。


「マキナ様来ましたよ!」

「普通に入れ、普通に」

「あとエルランディアだ」

「盗聴器、魔法、魔術の類いはありませんので大丈夫です! マキナ様!」


メアリーは魔法、魔術もさながら魔導機械の手ほどきをエルランディアから受けているため、エルランディアに酔狂的に惚れ込んでいるメアリーは魔導機械の扱いにも慣れてしまっているのだ。


「はぁ。まあ良いか。シュペルが襲われたときのことを話してもらおうか?」

「え、ええっとですね……。女性型のポンコツゴミクズ魔導機械がシュペルさん?でしたか、襲おうとしていたので倒させてもらいました」

「で、固有魔法を使ったと」

「そそ、それはその方が被害もなくていいかと思いまして」

「それが駄目だと言っているんだ。魔法に詳しい学者、魔法使いが居たらメアリーから漏れる魔力で一発で正体見破られるぞ」


生物には固有の魔力波が存在するが、魔物はほぼ全てが同じ魔力波となっている。

それは魔物を一番最初に生み出した人物が自分の魔力を与えたからである。

メアリーが教えてくれた内容である。


「すみません……。でも私はアンデットなので使える魔法もそっちよりに……」

「体術で行けるだろあんなオンボロポンコツゴミクズ魔導機械」

「それは嫌です。マキナ様に触る手であんな劣化オンボロポンコツゴミクズ魔導機械に触るなんて!」

「はぁ……。歴史改変で記憶が書き換わらなかったのはアンデットだからか。倒した時何か感じたか?」

「大きな魔力を感じました。術式はわかりませんでしたが」


エルランディアはこの歴史改変は魔物まで対象にしていないと確信した。

そもそもメアリーのように人語を話し、理性が有る魔物が居るほうが珍しいのでそちらにリソースを割かなかったのであろう。


“協会から暗号化メールを受信”

「開け」

“暗号化された添付ファイルを確認”

「それも開け」

“了解”

「……ふむ」

「マキナ様?」


メールはエルランディアが途中退席した物であった。

添付ファイルにはその少女の写真や筆跡などである。


「メアリー、この筆跡見てどう思う?」

「機械みたいな文字ですね。これがどうかしたのですか?」

「いや、追いかけている人物が少女から魔導機械とわかっただけさ」


このあといちゃついてくるメアリーを躱しながら暇をつぶしていると、スマートフォンが鳴った。

無線接続でメアリーを躱しつつ電話に出る。


「アリサか、部屋に荷物有るから取りに来て。それとゴメンな、途中退席して」

「いえ、こちらでお話をまとめておきました。ブラウ長官もよろしくと言っておられました」

「そうか。部屋番号は241号室だ。鍵は開けておくから入ってくれ」

「わかりました。では失礼します」


エルランディアは扉にハッキングすると電子ロックを解除した状態に固定した。

そしてそろそろ飽きてきたと言う理由でメアリーを掴みベッドへ放り投げる。


「マキナ様! ついに私と一夜を過ごしてくださるのですね!」

「違うわ! 沈め!」

「はうん」


その後アリサが来たが、ベッドで伸びているメアリーには特に追求しなかったという。


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