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3-3




「アリサ、頼みたいこと有るんだけど」

「何でしょうか?」

「警察庁のトップと話ししたいから大使館経由でアポ取ってもらえない?」

「可能ですが、数日先になるかもしれませんよ? 今防衛省侵入騒ぎで犯人探ししているみたいですから」

「耳が痛いな」


とりあえず、アリサに大使館経由で警察庁のトップに面会を求めてもらう事にした。

エルランディア(マキナ)は、何時でも行けるようにスタンバイしているだけとなり、ダリアは部屋でスタンバイ中のエルランディアとシンクロ率を上げる瞑想、シュペルは首都型魔法陣の調査にでかけた。


「さて、エルランディアさんに言われたとおり大使館に伝えないと」


アリサはホテルから出ると、大使館へ向かう。

一応旧王家のアインス家ということも有り、外交にも強い一面がある。

バックにエルランディア、協会もついているともありかなり強いアポイントが取れるだろう。


大使館前に到着すると、警備の人が門を開けてくれる。

アリサは笑顔で答えながら大使館へ入っていく。

大使館の中でも上質な部屋に通されると、職員が入ってきた。

アリサはそれに立って対応する。


「アリサ様ようこそおいでくださいました。今日のご用件はいかがなものでしょうか?」

「突然で悪いのですが、こちらの警視庁長官と本国からの協会関係者のお話し合いの席を設けてもらいたく来ました」

「それは、警視庁長官にアポイントをお取りですね。しかし現在防衛省に侵入した犯人追跡の指揮を取っておられていていつになるかわかりませんがそれでもよろしいでしょうか?」

「私達の滞在期間中と言いたいのですが、時間があまりないもので早めにとだけ宜しくおねがいします」

「わかりました。これからアポイントを取らせていただきます。少々お待ち下さい」


そう言うと大使館の職員は部屋の外へ出ていった。

それと同時にお茶菓子を出され、アリサはそれを摘んでいた。

職員は内線電話で大使に連絡を取り始めた。


「このお茶おいしいですね。こちらのお茶でしょうか」


その時持っていたスマートフォンが鳴った。

ポケットから取り出してみると、エルランディアからだった。

“そっちはどう? うまく行っているか?”

そして写真が添付されていた。


「……ふふ。ダリアさん大変そうですね。返信しておきましょう。今アポイントを取ってもらっているところですっと」


そう入力すると送信ボタンを押す。

すぐに既読マークが付き、返信を受信した。


“そうか、ありがとね。おそらくだが歴史改変の影響があると思うから話が食い違う時があると思う”

「エルランディアさんらしいですね」


しばらくお茶を飲みながら待っていると、扉がノックされた。


「どうぞ」

「失礼します。アリサ様、私は大使を勤めさせていただいているコーネリア・ウッドマンです」

「これはご丁寧に。私は知っているとお思いでしょうが、アリサ・アインスです」

「ご用件をお伺いし、警視庁長官と掛け合いましたが即日とは行かず、5日後という形で決着が付きました。場所は大使館としましたが宜しかったでしょうか?」

「はい、大丈夫です」


そしてここからは国の情勢について話を交換していく。

やはりここでもエルランディアに言われたとおり食い違いが多数有った。

そもそもこの国がエルランディア達の国、シルフ大陸には攻め入ったとは一言も言わず、どちらの国も外交面では問題ないという。


「(やはりマキナさんの言う通りでしたね……。5日後でしたね、後で連絡しましょう)」


アリサは話を終えると、大使館を出た。

近くのカフェテリアに入りコーヒーを注文し、テーブルに座る。

スマートフォンを取り出しエルランディア宛にメッセージを送信した。


「5日後大使館で決まりましたっと。送信」


またすぐに既読マークが付き、返信がすぐに受信した。


“了解。おつかれさま、気をつけて帰ってきなよ”

「飲み物だけ飲んだら帰りましょう」


一方シュペルと言えば、首都型魔法陣を調査している真っ最中だ。


「うーん? 確かに魔力は吸われているんだけど、中心がわからない」


魔法陣は中心に魔力が集結するわけで、そこに目標が居ると踏んでいたが魔力の流れを辿るといつの間にか同じような道をグルグルと回ってしまうのである。

慣れと言う物は非常に厄介だ。

この首都に生活している人間は微量に魔力を吸われていることに気が付かない。

それは毎日の日課の用に吸われているからだ。

毎日朝起きて朝食に何を食べていたかを覚えていないのと同じである。


「かと言って……首都を一周回るなんて何日かかることやら。ダリアみたいな筋肉の塊じゃあるまいし……ん? 閃いた!」


シュペルは街の人にある場所を聞いた。

そしてそこへと向かう。

ある場所とはこの町がどういう形をしているか分かる場所だ。

それは図書館である。

図書館ならば町の成り立ちや歴史、地図ぐらい置いてあるだろう。


歩くこと数十分。


「さて、ここが図書館か。歴史、地理の本棚は何処だ?」


シュペルは本棚から歴史と地理の本を抜き出すと、共同スペースのテーブルに広げた。


「さて、歴史からみていくか。何々……建国者は違う。都市の制定は違う。歴代大統領も違う。……あー! もう! やってられるか! ここまで来て勉強とか!」


図書館の中で騒ぎ散らした結果周りから白い目で見られたシュペル。

歴史の本をテーブルに投げ出した時たまたま数ページめくれた。


「ん? 街の建物のモチーフ? ……ちょっと待てよ? 首都型魔法陣ってことは力ある言葉が刻まれているはずだ。この記述通りなら……」


そう言うと地理の本をめくりだした。

そしてあるページで手が止まる。


「ビンゴ。しっかしまぁ大層なこった。首都に魔法陣を敷くんじゃなくて首都構造自体(・・・・・・)が巨大な魔法陣になってると」


地理の本には写真で首都の全体が載っていた。

それは建物が文字となり、通りが円となった巨大な首都魔法陣である。


「さて、後は解析だけだけど……エルランディアに任せたほうが速いだろ。写真撮って送りつけるか」


途中までは真剣だったシュペルだったが、ここに来ていきなりダレる。

エルランディアに画像を送りつけた瞬間に既読マークが付き一言だけ帰ってきた。

“仕事しろ”


「だってここまで来て勉強の延長とかやだしぃ~。これだけ見つけ出したんだからいいじゃん? 後はエルランディアに任せて漫画喫茶いこ」


シュペルは本来の目的を忘れて1人漫画喫茶へと入店していったのだった。



「201! 202! 203!」

「全く。シュペルは帰ったら仕置きだな。さて、画像の解析に入るか」

「204! 205! 206!」

「ん? 見たことがない文字だな。 言語解析からか」

「207! 208! 209!」

「ちょっとうるさい。静かに腕立てして」


エルランディアを背中に乗せながら腕立てをしているダリア。

一見罰ゲームに見えるだろうが、ダリアにとっては良い重りとなり筋トレとなるのだ。


“類似文字検出。子音、母音検出”

“文字列の整合性を確認……完了”

“首都魔法陣から文字列を抽出完了”

“アルファベットに変換完了”

「よし。……これは魔術か。だが、未完成だな……これでは魔力が循環するだけだ。何処かに魔力を供給するために循環させて濃度を高めているのか?」

“推測。惑星級魔術の行使に利用”

「それも有るな……記憶操作だと厄介だ。早めに潰して起きたいが……他国の首都を消し飛ばすなんてできないからな」


エルランディアはやはり元から絶たなければ意味がないという結論に至ったのだった。





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