表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/26

3-2




4人がホテルに戻り、しばらくすると外が騒がしくなってきた。

パトカーのサイレンが鳴り響き、防衛省へ向かっていく。

そんな光景を窓から見ていたエルランディア(マキナ)は、そっとカーテンを閉めた。


「各自何か情報は有ったか?」

「私から言います。大使館の皆様もすでに私達と同じように記憶が書き換わっていました。それと建国記念日にマントを羽織った小さな人がいつも出席しているようです。各界からのVIPからよく話しかけられているようで相当な立場にいる人物みたいです」

「次は俺だな!エルランディアが上から降ってきた事以外無い!」

「……あれは不可抗力だ」

「最後か、エルランディア、この首都のマップを出してくれ」


エルランディアは仮想スクリーンに首都のマップを表示した。

そこにシュペルが身振り手振りで事を伝えていく。


「まず前置きに言うと首都全体が大きな魔法陣になってるんだなこれが。実際に魔力の流れが感じ取れた。で、調べてみた結果は市民から常に微弱な魔力を吸い取って魔法陣に流し込んでて、魔力があつめられてるってわけだ」

「なるほどな。首都ともなると魔力が渦巻いっていて気が付かなかったが、まさか魔法陣になっているとはな……。シュペル良くやった。アリサもいい情報ありがとう。これは何処かのVIPに接触して話を聞いてみるのも良いかもしれない。後ダリア、クッションナイスだった」


お互いに情報の共有を夕飯時まで続けていた4人はエルランディアを除き、3人は夕食へ。

エルランディアは防衛省前までもう一度ステルスを起動し接近した。


転移で脱出した際、すべての機能が正常に戻ったのだ。

防衛省全体に何かしらのアンチシールドがはられていると見て間違い。


「(警察と公安か? すごい数だな……ちょっと、身長が、低くて、奥まで、見えない!)」

“提案。厚底ブーツ”

「(うるさいわ! ……後で文句言ってやる)」


エルランディアは再び裏路地に入ると、ひと目がないことを確認するとステルスを解除する。

そして何気ない顔で路地裏から表通りへ。


「さてっと。今日の調査は終わりかな。明日はアリサのコネで偉そうな人を適当に呼んでもらえばいいか」

“警視庁長官を推奨”

「いきなり呼び出しでくるかねぇ……。まあいい、他国の重鎮を無下にできないだろう」


ホテルに戻ると、そのまま部屋へ。

シャワールームに入ると、服を着たままお湯を出した。


「汗かかないけど匂いは着くからな……一応お湯で洗っておこう」


エルランディアは着替えを持ってきていないため必然的にそうなる。

全身ずぶ濡れになったエルランディアは指をパチンと鳴らすと濡れていた衣服が一瞬のうちに乾いた。

これも魔術である。


「さて、服も洗ったし寝るか。マキナギア、解析していたシステムの結果とシステムの最適化を頼んだ」


そう言うと時刻だけ設定し、スリープモードの準備に入った。



「ん? おや、舞じゃないか、どうしたんだ?」

「このくそオヤジ! もう少し身長高くして作れよ!」

「え! 何のこと?」


それだけ言うとエルランディアは

スリープモードへ移行した。



所変わって協会では。


「最近マキナ様が大人しい。やっと私の事を受け入れてくれたのですね! そうと決まれば!」


メアリーは颯爽とマキナがいる部屋へ突撃した。


「マキナ様っ! 入りますよ! え? いいって? じゃ入りますね!」


鼻歌交じりで電子パスワードを小型端末で解析していくメアリー。

ピッと音がなりパスワードが解除され、メアリーがマキナの部屋へ突撃する。


「マッキナ様ー! ……? 隠れているのですか? マキナ様ー!」


メアリーはお手製のサーマルゴーグルと魔力検知器を取り出すと、それを起動させ隅々まで探しだした。

そして……。


「マキナ様! 何処に行かれたのですか! こうなったらあのガミガミうるさい上司に聴いて……」


思ったら即行動がメアリーである。

部屋を出ると、すぐに上司の元へ駆け寄り、マキナの事を聞き出す。

それは鬼の形相で上司も少しビビっていたようだ。


「ゴルステア大陸!? ついこの間軍隊が来たばっかりじゃないですか! なんでそんな場所に行かせたのですか! マキナ様になにかあったらどうするんですか! 聴いてますか! これでは上司失格ですよ! わかります!? マキナ様は世界の救世主! 文明の親!」

「わ、わか」

「本当にわかっていますか!? 私の仕入れた情報だと武器に使われていたマギクリスタルエンジンの製法が漏れていたと言うじゃないですか! もしも! マキナ様になにかあったらどうするのですか!」

「何処でその情報を仕入れて」

「そんなことは今良いんです! 今すぐ私もゴルステア大陸に行ってきます。私はマキナ様の専属なんですからね! 行かせないとは言わせませんよ。こうしてこうで……はい! ゴルステア大陸行き飛行機の予約完了です。では、失礼します!」


怒涛の言葉責めに上司は引きつった表情をしていたが、周りにいた神官や事務員も釘付けになっていたのであった。


「待っててくださいね! マキナ様すぐ行きますから!」




“指定時刻、お早うございます”

「おはよう。なんだか嫌な予感がする」

“半径30km以内に敵影なし、大気正常”

「いや、そういう意味じゃないんだけど」


そう言いつつベッドから起き上がるとレストランへ直行した。

そこにはすでにダリアが座っており朝から高カロリー、高タンパク質な物を食べていた。


「朝から食うな。胸焼けしないのか」

「……おう! エルランディアも食うか!」

「いや、私はいい」

「そうか!」


エルランディアは呼び出しボタンを押すとすぐに店員が来る。


「ご注文お伺いします」

「水とチャーハンを」

「かしこまりました。復唱させていただきます。水とチャーハンですね?」

「ああ」

「かしこまりました。少々お待ち下さい」


注文を終えた後、ダリアが食べているのを観察してみた


「……」

「んむ……もぐ……」

「……」

「……食べたいのか?」

「いや、観察しているだけだ」

「そうか……もぐ……」


しばらくするとエルランディアが頼んだ料理が運ばれてきた。

先程注文した水とチャーハンが運ばれてきた。


「いただきます」

「よし食ったぞ!」

「人が食べ始めたときに大声で言わないでくれるか?」

「すまん!(そういえば……マキナの食べたものは何処に行っているんだ?)」


食事を済ますと、ダリアと組み手を行うことにした。

シンクロ率を上げさせるためだ。

場所はホテルの屋上にする。

ちなみに鍵はダリアが壊した為、新しいのを付けておいた。


「シンクロ率を71%から少しずつ上げていけ」

「わかったぞ! 行くぞ!」


71%で殴りかかってくる。

まだまだ甘い。


「これならどうだ!」


ダリアは後ろにバックステップするとスピードを付けて飛び蹴りをしてきた。

俗に言うライダーキックだ。


「(これは避けるとホテルに被害が出そうだな)」


迫るダリアの飛び蹴りを手で掴むと、その勢いを利用して後ろへ放り投げる。

だが、ダリアもタダではやられない。

床に叩きつけられる前に、体を捻りなんとかダメージを防いだのだった。


「よし、72%に上げろ」

「72%! ……くぅ! 意識が引っ張られる!」

「なら引っ張られる感覚を与える暇なく叩き込んでやろう」


その後エルランディアにボコられたダリアの姿が屋上に転がっていた。

しかし73%までシンクロ率を上げれるようになったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ