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3-1




“次は首都ガンドラ。終点です”

「降りるぞ」


エルランディア(マキナ)達4人は新幹線から降りると駅にあったガイドブックを手にとった。

首都ガンドラの施設や泊まる場所を調べるためだ。

衛星はハッキングされる恐れがあるため使用できない。


「とりあえず防衛省近くのホテルに泊まろう。拠点にしやすい」

「わかりました」


ホテルにチェックインした4人は明日の行動を決めていた。


「とりあえずダリアとシュペルは周辺の視察。私は防衛省内部に侵入する。アリサは大使館でなにか情報ないか調べてくれる?」

「わかりました」

「金髪は目立つから魔法で変えるとするか」

「俺はこのままで行くぞ! いざって時に動けないのは駄目だからな!」

「勝手にしてくれ……。歴史改変シールドを3人には掛けておくから、何かあったらホテルに戻るように」


一応の保険にシールドを掛ける。

細かい注意をするとその日は解散になった。

今回は4人共別々の部屋で泊まっている。


エルランディアとは言うと部屋にあるパソコンを弄っていた。

防衛省にハッキングをする下準備だ。


「これでよし。ハッキング開始……ん? エラー? プロトコル再ロード」

“再ロード完了”

「もう一度……エラー? おかしいな。もう一度再ロード」

“提案。初期シーケンスからの再ロード”

「よし、それで行こう」

“ネットワークシステム初期化中……完了”

“システム再起動中……完了”

“デフォルトプロトコルロード完了”

“ハッキング開始……エラー”

「駄目じゃん!」


エルランディアは自身で構築したシステムにアクセスできない事に首を傾げたが、すぐに思いついた。


「まさか……私のプロトコルと違うので動いている? 無理やり入ろうとすれば入れるが……」

“非推奨。プロトコル解析中に侵入を検知される恐れがあり”


これはデジタルでは無理だと判断して、当時の目的通り防衛省に侵入することにした。

そうと決まればさっさと寝ることに決めたエルランディア。

寝ると言ってもスリープモードへ移行するだけだが。

その際に各部のチェックを忘れないようにタスクに追加しスリープモードへ移行していった。


翌朝。


“各部異常なし。スリープモードから通常モードへ移行。お早うございます”

「おはよう」

“システムチェック結果を表示します”


エルランディアはチェック結果を見つつ、部屋を出る。

そのままホテルを出ると、辺りをぐるぐると回り始めた。


「追跡者はいないか。アンチサーモ魔術起動、ステルス起動、探知偽装魔術起動、対魔法障壁魔術起動」

“正常に起動確認”

「よし行くか」


エルランディアは防衛省に向かう。

そして堂々と真正面の入り口から入っていく。

監視カメラや金属探知機、魔法検知機などの防犯設備が備えられているが、エルランディアの対策魔術の前では意味をなさない。


楽々侵入したエルランディアは足音を消しつつ、階段で上を目指した。

流石に無人のエレベーターが動くのはおかしい。


「(余裕だな。セキュリティはまだまだ上げておかないと私みたいのに入られる)」


エルランディアは最上階1階下まで階段で上がってきた。

が、その先はエレベーターでなくては上がれない構造になっていた。


「(おかしいな。改築したのか?)」


キョロキョロと辺りを見るとトイレが有った。

エルランディアは女子トイレに入ると、個室の天井についているダクトに入り込む。

途中上につながる道を見つけたエルランディアは重力魔術で体を上方向へ。

そのまま上の階のダクトに入り込み、トイレの天井から降りる。


「(あーたのしかった。さて、この先に資料があると良いのだが)」


エルランディアは一歩踏み出そうとして足を途中で止めた。

僅かだが床が沈んだ感覚がセンサーにより感知したからだ。


「(感圧式のセンサーか。だとするとここを監視装置あるいは警報装置があるはずだ)」


エルランディアは隅々まで見渡し、警報装置らしき物と置物に偽造されたスイッチを見つけた。

置物に手を当てるとハッキングを仕掛ける。

床の感圧セキュリティを無効化し、警報装置との接続を断った。

ハッキングの過程で赤外線センサーの存在が出てきたが、ステルスを起動しているエルランディアには何の害もないのでそのままにしておく。


「(これでよし。さて奥の部屋に行くか)」


堂々と真ん中を歩いて行く。

感圧だろうが赤外線だろうが今のエルランディアには役に立たない。

扉の前に立つと瞳の機能をX線カメラに切り替え、中を覗いた。

中には更に扉が有り警備員が配置されているようだ。


「(さて、どうするか……。転移で扉を越えても良いのだが魔力が大きすぎる)」

“提案。ノック”

「(それが有ったか)」


原始的な方法だが、意外と気を引けると思い扉をノックしてみた。


「はいれ」


更にノック。


「どうした?入ってこないのか?」


もっとノック。


「遊びなら他所でやれ!」


更に激しくノック。

すると、扉が勢いよく開き中から警備員が出てきた。


「うるさいぞ! ……あ? だれも……いねえぞ?」

「どうした?」


出てきた警備員がいきなり呆けたような声を出した事にもう1人の警備員もつられて外に出てきた。

その真横をステルスで通過し、警備員が外に出ている隙きに奥にある扉をゆっくり開け入る。


「さて、探すか」


エルランディアは防音魔術を部屋全体に掛けると、資料とデータを探り始めた。

魔導コンピュータはマキナギアが遠隔操作で操作し、棚に有る資料はエルランディアが探す。

どちらも人間ではできないほどの早さで進めていく。


「これは違うな。これも違う」

“該当データなし”

「もう終わったのか。やはり昔のデータは残っていないか。資料なら残ってそうだけどな」


パラパラとページを捲っては次の資料に目を通していく。

そして何冊目かわからないほどの資料で興味深い記述を発見した。


「む、これは外部からの防衛省システム更新の通達?」


資料曰く、防衛省のシステム更新は政府が雇ったエンジニアらしく、通達が着てからほんの数日で届いたとのこと。

しかも以前とあまりインターフェイスは変わらず、ちょっとした所だけが変わっただけの更新だったようだ。


「おそらくエンジニアはエドワード・グリントだな。システムの解析を実行」

“了解”


解析を実行した直後、警報が鳴り響いた。


「何事だ!」

“解析中にブラックボックス化されたコードを発見。そのブラックボックスに解析を感知された模様”

“警告。魔力的干渉有り、遮断……エラー”

“警告。逆位相魔力波検知、アンチサーモ魔術機能停止、ステルス機能停止、探知偽装魔術機能停止、対魔法障壁魔術機能停止、防音魔術機能停止”

「なっ!? すぐ転移を……」

“警告。空間転移モジュール機能不全、転移不能”


それと同時に外が騒がしくなってきた。

見つかるのも時間の問題だろう。


「(DEMモジュールは生きてるな。なら面倒くさいが空間魔術で外に転移すれば)」

“転移先をダリア様直上に指定。術式ロード完了”

“警告。対転移阻害シールド確認。対転移阻害シールド上書きまで残り20秒”


エルランディアは棚の奥に身を隠すと外の声に耳を向ける。


「何が有った!? ……セキュリティがシステムに侵入を検知した? 最上階? ……了解、これから資料室を確認する」


扉が開く音が聞こえてきた。

足音が2つ。


「そういえば、警報なる前に扉が誰もいないのに叩かれていたな?」

「その時侵入されたか。俺はあっちの棚を調べる、お前はそっちな」

“残り10秒”


徐々にエルランディアが隠れている棚に迫ってくる。


「(ここで姿を見られるのは得策ではないな。後何秒だ?)」

“残り5秒”


そして足音が隠れている棚の眼の前で止まった。

警備員が棚の奥を覗き込む。

そこには誰もいなかった。

間一髪のタイミングで転移することができたエルランディア。

そしてダリアの上に落ちる。


「うおおお!?」

「すまん、ダリア。緊急事態だったんだ」

「なら良いが、これはホテルに戻ったほうがいいいか」

「賢明な選択だ。ホテルに戻ろう、他の2人にもメッセージを送信しておく」

“文章作成、送信”


相変わらず仕事が早いマキナギアと思いつつホテルに戻る2人であった。





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