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異世界創龍記  作者: 夜月霞楓
第零章 現実との別れ
1/1

プロローグ 別れは突然に

初投稿

よろしくお願いします。

 

 ──この世界は一体、誰が創りあげたのだろうか。


 ──どうやって、生まれてきたのだろうか。


 ──創られ、生まれた先に何があるというのか。


 ──何故、存在するのだろうか。















 ────終焉おわりは、いつ訪れるのだろうか。




 誰もが知らない謎。


 永遠にわかることは無いかもしれない暗黙しんじつ




 なら、、、、、、、、



















 ──────────自分が創ればいいじゃないか。







 ────────────────────────



「大学卒業、かー。……ふぁー。……あーー早いもんだなー」



  ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 俺の名前は瀧原(たきはら)神楽(かぐら)。年齢は二十四。父親と同じで黒髪黒眼。身長は百七十五センチ、体重六十三キロ。普通の大学生だ。容姿は……まぁよく可愛いって言われる。母親に似てるんだとさ。……まぁ端麗という事にしておこう。


 大学の友人からは「かぐっちゃん」とか「かみたのさん」と呼ばれていた。


 前者はともかく、後者は馬鹿な話だろう?


「楽」を「たの」だってさ。……いやまぁ国語的には合ってるけれども。


 昔小学生のときに「楽」という字が級訓に入ったからその字の意味を「楽するーー」って言う奴居たよなー。

 それで先生が「じゃあ〇〇君はそういう意味で生活しようねー」……って。


 ……はぁ。

 ……まぁ見た目は変わっても心は変わらず餓鬼のままなんだってことで置いておこう。




 自己紹介の続きをしようか。


 今俺は大学内の敷地を歩いている。

 先程も口に出したが、何を隠そう今日は大学の卒業式だった。


 とはいえども特に荘厳な式など無かったのだが、まぁそうだな……学友との別れを惜しんだ会ってところかな。



 なぜ別れなのかって?また遊んだり飲みに行ったらいいじゃないかって?



 それは俺もしたいさ。

 でも……進路がそうさせてはくれないんだよね。



 まぁ何というか。


 自慢じゃないが……とは言っても自慢にしか聞こえないが……俺はこの間海外への研究所に行くことになった。






 ……研究医……としてね。



  ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




  * * *


 神楽には偉大な医者である父親、行平ゆきひらがいる。

 その腕はというと国内の各地から予約が入り、ほぼ毎日、一日中患者を診ている。

 予約が入りすぎるため、ずっと電話が鳴っており受付の人達も常に忙しくしている、という有様だ。


 噂では国内一の名医とまで言われているそうな。



 ──とまぁそんな父親の元に生まれた子供なのだから将来医者になりたい!と思うのは当たり前だろう。


 無論、神楽もその一人だった。


 大体の子供は小学生の間に一回は将来の夢を思い描くだろう?

 神楽も同じように、医者になる、という夢を抱いた。




 ──お父さんみたいなすごいお医者さんになるぞ、と。




 しかし、何時いつだっただろうか。





 これじゃあ父、行平のコピーになろうと宣言しているんじゃないのか。


 自分、神楽は何処かに無くなってしまうのではないか。




 そう思ったことがあった。



 確かに父親は偉大だ。

 誰にだって、どんな場所でだって、誇ることができるような人物だ。

 こんな親を貰えて、こんな親の元に生まれて、本当に自分は幸せな奴だなと神楽は思っている。




 ──でも。





 ────神楽は神楽だ。

 ──────自分おれ自分おれだ。

 ────────行平の分身コピーなんかじゃない。




 ………………だったら。





 ────父さんより偉大になってやろうじゃないか。



 ────父さんが使う方法どうぐを発明して……だ。




 と、決意したのは神楽が高校受験を控えた中三の一月だった。


 正月に祖父、祖母、父、母、妹がいる前で神楽はこう宣言した。





 ──俺、研究医になるよ。

 ──新しい治療法を発明して、世界に名前を轟かせるよ。

 ────カグラ==タキハラ、ってね。




 皆、唖然としていた。



 特に行平は一番驚いていた。

 しかし、一番嬉しそうでもあった。



 そして俺に一言、こう言ってくれた。




 ────あぁ、待ってるぞ。



  * * *



「そうだなー。特にやることも無くなったし。

 ……親父に電話するか」


 友人とも一通り別れの挨拶をしたし、どうせだから親に連絡でもしようと考えたのである。


 いかんせん大学に入ってからは家族と会う機会がほとんど無かったし、あの心配性な両親のことだ……普段はそんな雰囲気ないけど……俺の声を聞きたがっているだろう。


 プルルル……プルルル……プル……


「もしもし? 神楽か?」


「久しぶり、父さん。今卒業式終わったよ」


「そうか。……卒業おめでとう。……今まで、短かったな」


 行平は祝いの言葉を告げた。しかし、その調子は低い。行平にしては歯切れが悪かった。


「どうしたん? なんかいつもより暗いよ? 父さん」


「あぁ、いやな。神楽が遂に海外に行くのかってな。嬉しい気もあれ、寂しい気もあれ。色々と複雑なんだよ」


「あれ? 何で俺が海外に行くこと知ってんの?言ってたっけ?」


 覚えがない。決まってからはその準備の為にさらに勉強に励んだから。


 ……まぁ、伝えてなかったら割と迷惑な話になるが。


「言ってたさ。急に電話掛けてきたから焦ったよ。何事かと思って出たら、開口一番── 父さん! 俺、海外行く事になった!──ってな」


「そうだったっけ?……それより、父さんもそれほど暗くなる事があるんだな。そんなにショッキングなの?」


 普段どれだけ疲れていようとも、口には決して出さない行平だった。一日ずっと患者さんを診ているのに疲れない人間なんか居ないだろうに、一言も弱音を吐いた事がない。



 

  * * *



 母さんは昔、こう言っていた。

 ──自分より辛い人はたくさん居る。

 特に重病の患者など死にたくなるような病を負った人は本当に辛い。

 それなのに、そんな人達を救い出す人が負の感情を表に出すと思う? ──と。



 ──なるほどな、と思った。



「辛」を抱えた人を助ける仕事なのに、逆に陥れてどうする、という意味だろう。


 でも俺なら、その分家の中では表に出して自由になろうとするだろう。

 唯一の休憩所なのだから。



 母に、

 ──でも家の中くらい良いじゃん。患者さんだって居ないし、疲れを取るのが家って物でしょ?

 なのに家でもその調子だったら……いつか擦り切れるよ?


 と言った。


 でも、返ってくる答えには予想がついていた。


 きっと、




 ──家だからこそ、だよ。一番大事な家族にこそ幸せで居て欲しいのよ。

 自分を犠牲にしてでも皆に幸せで居て欲しいとする。

 それが、医者って者じゃない──



 と。



 だが俺にはそれだけが理解出来なかった。


 親が言っていることは全て正論だと感じていた俺なのにそれだけは、間違っていると思った。



 自分を犠牲にして皆を幸せにする。


 格好良い言葉で素晴らしい人間だなと思う。


 でも、、、、、、



























 ────────幸せになった人には何が残る?





 答えは一つ。
















 ────「負」だ。





 己を犠牲にしてまで助けてくれても、残された人はやるせない気持ちが残るだけだ。



 助かって良かった


 でも代わりに助からなかった人を生み出してしまった


 申し訳ない



 普通の倫理がある人はこうなるんじゃないか?




 ──俺はそれが嫌だ




 ──皆が救われなければ




 ──皆が救われる世界でなければダメなんだ




 ──そんな世界を俺は望む






















 ──ただの綺麗事に過ぎないような世界を




  * * *



「当たり前だろう。大事な子供が俺たちの目が届かない所に行って生きるんだ。不安に思わなきゃ親じゃないだろ」


「まぁそうだけどさ。でも向こうの言葉も生活出来る程度には話せるようになったし大丈夫だって。後は現地の環境に慣れるだけだよ」


「それが難しいから言ってるんだが……。まぁいい。

 それでお前に伝えたい事があったんだ」


「俺に伝えたいこと?」


 何だろうか。頑張って生きろよとか? でかくなって帰ってこいよとか?


「あぁ。お前さ、今日の内に帰ってこれるか?」


 全然違った。


「今日!? それは無理だって。今日は友達と遊ぶ約束が入ってるからさ。明日の朝だったらそっちに向かえるけど」


「わかった。じゃあ明日な」


「いやちょっと待ってよ! 明日何かあるの?」


 まさか誰かの御通夜とは言わないよな?家族だったら笑えないんだが。


「明日はお前の祝賀会を開こうと思うんだ。海外おめでとうってな」


 祝賀会ッ!? ……あの頭が固い親父がか?……ありえない……。


「祝賀会って……。あんた、本当に父さんか?不審者じゃないのか?」


「馬鹿もん。そんな訳あるか。──っと、姫鶴ひづるがお前と話したいってさ。──今代わr「もしもし神楽? お父さんから何か酷いこと言われたりしなかった? 一人暮らし上手くいってる? 詐欺とか犯罪に巻き込まれてない?」


「………………お、おぉん、母さん。俺は大丈夫だよ。だからそんなに切迫詰まった感じで話さないでくれ。驚くから」


 あまりにも母、姫鶴の勢いが凄かったからしばし唖然としてしまった。



 にしても、母さんの声久しぶりに聞いたな。何というか、安心するよな。


「本当に? ならいいけど。……では改めて。大学卒業おめでとう。今まで長かったようで短かったわね。でもこれからは本当に長くなりそうね。だって海外でしょ?母さん寂しいわ……」



 何となく返答が予想できるけど、一応訊いてみよう。



「母さんも? 海外に行こうが行かまいが、どの道親の元を離れるじゃん。普通のことじゃないの?」


「普通だけど寂しいものは寂しいわよ。……でも、神楽はもう覚悟が決まっているみたいね。なんていうか、すごく活き活きしてる」


「そりゃそうだよ。だって夢が叶ったんだよ? これで喜んでなかったり沈んでたりしたら、世の中の夢を叶えられなかった人にしばかれるよ」


 と、冗談めかして言ってみる。

 すると、携帯の向こうから笑い声が聞こえてきた。

 しかし、その原因は神楽が思っていたのとは違って……





「──神楽、貴方の夢は研究医として海外に行く事だったの?──新しい治療法を発明して、世界に名を轟かせる。じゃないの? いつからそんな小さな夢になったのかしら」





 ──どうやら俺は久しぶりに母さんに関わったから姫鶴という人物の人柄を忘れていたのかもしれない。


 普段は明るくて天然な姫鶴だが、いざとなると大事な事をポンッと言う。


 そんな人だったよな。父さんも「それも母さんの美点の一つだ」って言ってたっけ。



「──そう、だったな。研究医になるだけじゃ全然物足りない。新たな治療法を見つけて、幸せになる人を増やす。父さんよりビッグになって家に帰ってくるよ! 母さん。」


「そうそう、それでこそ神楽よ。まぁ何はともあれ頑張りなさい。辛くなったり寂しくなったりしたら、昔みたいに抱きしめてあげるから」


「……ちょっと冗談やめろよ母さん……」


 聞いて母さんの言葉に苦笑する。

 俺は餓鬼か。……餓鬼か?……まぁいい。



 しかし、海外に行く前にまた決意を固められたような気が神楽はした。


 ──やっぱり父さんに並ぶぐらい母さんも凄い人だな。俺はこの二人より優れた人物になるって宣言しているのか……と、嘆息する。



 だが、もう覚悟は決まった。


 場も整え終わっている。


 ──後は、、、実行に移すだけだ。



「あ、そうそう。今、左雪(さゆき)が家に居るから代わるね。──さゆきぃぃぃ……神楽よぉぉ」


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 左雪こと俺の妹は十九歳。黒髪茶眼で俺と同じ。身長は百六十一センチになったって言っていた。俺は地元から上京して大学に入ったが、妹は地元の大学に進学した。

 ……当時は俺と同じ大学に進学して俺と暮らす、とか抜かしてたっけな……。



 左雪は昔からお兄ちゃんっ子だった。


 原因は……なんなんだろうな。今でもわからない。


 ただ、小さい頃、よく俺と妹を間違えられたんだよな。その頃は妹はショートで髪色も眼色がんしょくも同じだったし、特に俺が可愛いかったから本当に瓜二つだったらしい(母親談)。


 ……まぁ今は妹も女性らしくなったし、髪もロングでポニテなので流石に間違えられないが。


 なんだかんだ大きくなった今でも左雪は兄が大好きらしい。本当に珍しい妹だ。


 ……言ってて恥ずかしいけどね。



 ──ここだけの話、左雪は兄と間違えられるのが嬉しくてショートのままで居たが、神楽がロングの方が好きだと聞いて渋々、長くしたのである──



 ……ダダダダダダダ……。この音は……階段k「もしもし兄さん!?」


  …………階段か。


「あぁ俺だ。左雪、今すごい勢いで階段降りてきただろ? 転けたら大怪我するぞ」


「いやぁ、急いでたからね! 部屋から四秒で代われたよ! すごいでしょ」


「そんな事で褒めても嬉しくないだろ。もう十九だろ?」


「明日で二十になるね。もう大人だよ、私」


「えっっ?? お前明日誕生日だっけ?」


 確か左雪の誕生日はもっと後のはず。まだ二カ月ぐらい後だった気がするが……。


「明日だよー。だから明日誕生日会するんだ。お父さんから帰って来いって言われなかった?」


「言われたけど。…………親父に代わってくれるか」


 今の妹の言葉に何か引っかかったので脳で咀嚼すると、直ぐにピキーンときた。


 あの親父何考えてるんだ。俺の祝賀会だ言ってただろ。今の左雪の発言からすると、俺はおまけみたいに聞こえるんだが。ちょっと親父に対する評価を改めたというのに。見直したというのに。……裏切られた気分だ。


「……フフフ。何そんなに怒ってるの?」


「いや怒ってなんかない。早く代わってくれ」


「そんな怒んないでって。ジョーダンだよ。私の誕生日は明後日。明日はちゃんと兄さんのための祝賀会だよ」


 ……………………ねぇ、妹にキレていいかな。。。

 何かすごく恥ずかしい思いをさせられたんだが。。。


 ……はぁ。……我慢大事……我慢大事……っと。


「なら良かったよ。でも誕生日明後日なんだな。忘れてたよ。じゃあ明後日までは絶対そっちに居ることにするか。せっかくの二十歳、お祝いするよ」


「……えっ!? 祝ってくれるの!? ありがとう兄さん!」


 妹の声が急に明るくなった。すぐさま気分が有頂天になった様だ。


「当たり前だろ? 家族なんだからさ」




 ──まぁ、理由はケーキ食べたいのが八割なんだが

 な。


「家族……ねぇ。……兄さん、ここだけの話さ、私もついて行っていい?」


 ──すまない雪左。この後の展開を読めてしまった。

 防げない兄を許せ。


「……左雪」


「なに?」


「……うしろ」


「え?」


 ――バシーん。


  。 。 。 。 。



「……痛い。心も体も痛い」


「それはお前が悪い」


 現在左雪は膨れっ面で話している。

 口を尖らせているからすぐわかる。


 何をされたかというと、姫鶴に後頭部を叩かれ、尚且つ兄について行けないことが絶対になった、この二つだ。

 まぁ後者は兎も角、前者は只の自業自得だな。


「……で。他に何か言っときたい事あるのか? もう切りたいんだけど」


 話しているのが楽しいのか、気づけば通話時間が二十分にも到達していた。

 今までの通話時間の中で最長かもしれない。


「あぁ、そうだね。あるよ。えっと……まぁ……その、気をつけて帰って来てよ? 事故で死んだとか洒落にならないからね?……本当は面と向かって言いたいけど兄さんおっちょこちょいだから一応言っとく。

 ……夢、叶ったね。おめでとう。でもこれで終わったら意味ないからね? 大発明してお父さんよりも偉大でスッゴイ医師になって帰ってきて! 私も、皆も応援してるよ!」


「っ……。」


 妹の何時もに無い程の早口でまくし立てる様子に神楽は苦笑する。


「あぁ。次の次会う時は世界に名の知れた人物になってくるよ。本でもそうかな?」


「……フフフ。それもいいかもね!じゃ、お父さんに代わるね」


 妹からの激励も受けて神楽はまた行平と話した。

 とは言え、帰宅中の事故喚起とか明後日の雪左の誕生日会の事とか、これからの予定について話した。


 そして、最後に別れを告げると電話を切った。


 時刻を確認すると、、、


「やっべ。集合時間に間に合わないぞこりゃ」




 そうして神楽が友達に怒られたことはまた別のお話。



 ────────────────────────


 ──翌日の帰宅途中。


 ──事件は起こった。



 神楽は実家の最寄り駅に着いたら、高校時代に駅に置いてあった自分の自転車で家に帰ると、行平に伝えていた。



 しかし、鍵は実家に置いたままだったことに気づき、仕方なくバスで帰ることにした。




 バスには俺と若い女性の二人が乗っていた。


 ──バスは、やけに静かだった。


 ──通過するバス停。


 ──増えることも減ることもない乗客。




 窓の外を見て久しぶりの地元の景色を楽しんでいると、、、




 ──────?




 ────神楽は急激な浮遊感を覚えた。



 体が宙に浮いている。

 頭に衝撃が走った。

 フロントガラスに突っ込む。

 ガラスが割れて地面に放り出される。


 ここまで点々とときが過ぎ去っていく。


 まるで、コマ送りにされた映画を観ているようだった。


 地面にうつ伏せになった俺。


 目の前には大量の血で作られた水溜まり、ならぬ血溜まり。




 その先には同じ乗客だった女性の人が。


 その顔は血に濡れていてよく見えない。



 


 ──あぁ。死ぬのか……俺は。この女の人も……か。





 ──父さん……母さん……雪左……すまねぇな。










 ──()()()、行けそうにねぇわ。







 ──すると、神楽の目の前にいた女性が淡い光を放ち始めた。



 ──なんだぁ? 血が無くなりすぎて幻覚でも起こしたかぁ?………………いや、確かに光ってるなぁ……。




 朦朧とする意識の中で神楽はこの世の物とは思えないものを見ていた。

 そして、その時の神楽の口元は、微かに綻んでいた。




 ──まるで、良い夢でも見ているような心地良さを感じていたのだ。




 ──そしてそのまま意識は消えてゆき。。。



 ────────────────────────




「○○月××日夜のニュースをお伝えします。

 今日の五時過ぎに〜〜通りの交差点を通り過ぎようとしたバスに、反対車線から右折しようとした大型トラックが衝突し、運転手二人が重傷を負う事故が発生しました。

 しかし、バスの運転手は乗客が二人居たと述べており、辺りに運転手のものではない血痕が見られますが、他に手掛かりは無く、現在も警察による捜索が続いてます。

 次のニュースです。…………」





「…………兄さん遅いね」


「そうねぇ。……ねぇあなた、この事故って家の前の通りで起きてない?」


「あぁ。それは俺も思った。もしかして……と思ったが、アイツは自転車で駅から向かうと言っていたからな。この件には何も関係ないとは思うが。……事情聴取されてるとかなら分かるが……」


「…………にしても、携帯に電話してもメールしても応答無しって……おかしいとは思わない?」



「…………………………。」

「…………………………。」

「…………………………。」




 ──それからずっと、神楽の大好物ばかり並べられた食卓には、沈黙が降りた。















 ──バスの下に落ちていた神楽の携帯は夜の間、ずっと鳴っていた。
























 ──そして、警察によって発見された時には、既に電源が切れていたという。





























 ──今も尚、玄関には神楽の自転車の鍵が、皆が気づくようにと、一つ寂しく金属の輝きを放っている。






なんとかプロローグ終わりました。

悲しいですね。

次の話もよろしくお願いします。

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